(ジョニー・ビー・バッド)1
すまんです。
ヤマトを主人公にしていた筈なのに、何時の間にかジョニーに・・・。
黒猫ヤマトの大冒険から大きく脱線してしまいました。
ほんまに、すまんです。
そろそろお題目を変更した方がよかろうかなと、
今日まで色々と考えました。
ジョニーと言えばジョニ黒、赤・・・。
いやいや、ジョニーへの伝言・・・。
ジョニー・ビー・グッド・・・。
まあ、面倒なので再開しまっせ。
ほな。
ジオラールはシンシンコ川の河口にあった。
港湾都市で、小さいながらも独立都市国家。
商人達が海軍力と議会で治めていた。
そもそもの始まりは河口付近に堆積された砂であった。
その積み重なりに目を付けたのが廻船を持つ商人達。
廻船の中継地として活用する為に土魔法使い達を雇用した。
土魔法で砂を材料として活用し、堤防を築かせて港とした。
それからは早かった。
砂は上流より運ばれてくるし、木材は目と鼻の先の大樹海にあって、
資材には事欠かなかった。
日を追うごとに港は広がった。
ジョニーは目覚めた。
十才になって少々。
カーテン越しに朝日が差し込んで来た。
寝た姿勢のまま、伸びをした。
それに合わせたかのようにノックの音。
返事を待たずにメイドのソフィアが入って来た。
「ジョニー様、朝ですよ」
ジョニーは反射的にベッドから飛び起きた。
カーテンを閉じ、窓を開けた。
強い海風が飛び込んで来た。
長い髪が揺らされた。
ジョニーの目はオッドアイ。
左が黒で、右は赤。
それで持って視界に入る全てを視た。
自然に《サーチ》が発動した。
それに気付いたソフィアに尋ねられた。
「ジョニー様、今日のお天気は」
「日中は洗濯日和だね。
たぶん、夜中から少し雨が、パラパラかな」
海風に混じる空気や雲の流れから、そう判断した。
今まで外れたことはない。
ジョニー達家族の住まいは第二区画にあった。
第一区画がジオラールの始まりの区画。
大樹海寄りで、港とそれに伴う港湾施設が集中していた。
比べて第二区画はその南で住宅地になっていた。
第三区画はさらに南で街として諸々の施設が建てられていた。
そして今、新しく沖合の埋め立てが進められていた。
朝食の席に家族が揃った。
母のニコール、33才。
父のイリア、49才。
妹のリリー、7才。
弟のトム、4才。
何故、母が筆頭であるかというと、姓名が理由であった。
ジオラールの成り立ちが独立した港湾都市であるので、
当然ながら貴族はいない。
そこで議会が国民全員に、姓名を付ける事を勧めた。
これに国民が湧いた。
それぞれが縁のある姓を名乗った。
父のイリアはそれまでは父方に縁のある姓を名乗っていた。
しかし、ニコール達家族が引っ越して来たの機に、それを抹消し、
母方の姓を名乗る事にした。
まあ、他にも理由があったのだが・・・。
それでこの家は母の実家の姓、ルルーシェとなった。
つまりジョニーは、ジョニー・ルルーシェ。
当然だが、爵位を意味するミドルネームはない。
家族それぞれの後ろにはお付きが控えていた。
母には執事のダミアンと侍女のアマリア。
父には秘書のプラトン。
リリーにはメイドのマリア。
トムにはメイドのヒラリー。
ジョニーには当然ソフィア。
この朝食の席でそれぞれの予定が口に上った。
所謂情報共有であった。
それは本日とは限らない。
明日明後日でも、その先でも、
分かっている予定はテーブルに乗せられた。
ジョニーには本日、家庭教師が来る。
ジョニーの家庭教師だが、これに妹のリリーと弟のトムも参加する。
リリーはまだしも、トムとなると手間がかかるのだが、
この家庭教師は尋常ではなかった。
人誑しなのだ。
初日で手懐けてみせた。
その家庭教師は初日、庭先を見て、やおら言い放った。
「あそこを教場にしましょう」
魔法で庭先に小さな小屋、教場を造り上げた。
僅か一時間ほどで。
土魔法で基礎を均し固め、煉瓦を造り、床と壁を組み上げた。
そして屋根もまた魔法。
お手軽に丸太を並べ、雨水が染み込まぬようにコーティングした。
内装もそう、魔法で。
三人は教場で遊んでいた。
遊びと言っても、勉学に通じるもの。
文字や計算を覚える為のカードゲーム。
所謂、人生ゲーム。
これも家庭教師のお手製。
教場だが、それぞれのお付きはいた。
教場の後ろのソファーがメイド達に用意されていた。
子供達に何かあった時に、家庭教師一人では間に合わないからだ。
刻限、侍女のアマリアが家庭教師を案内して来た。
「さあ、先生ですよ」
ジョニーが立ち上がって号令をかけた。
「起立」
リリーとトムが競うように立ち上がった。
「はい、先生ですよ」
その先生がにこやかに皆を見回した。
引っ越しの最中の船で知り合ったあの老婆だ。
二属性持ちの魔物、アルカビルと戦うのを鑑定でサポートしてくれた。
あのアルカビルはあの後に港で、アルカビルキングと格上げされた。
皺くちゃの顔で、杖をついて背中を丸めているその姿は御婆ちゃん。
でも性格はそうではない。
色々と難儀だ。
その老婆、何を思ったか、母が引っ越して来ると、
ジョニーの家庭教師を買って出た。
「このままでは拙いわ。
この子、何かの切っ掛けで魔法を暴走させるかも知れない。
だから私がこの子の面倒をみましょう」
老婆はこの国随一の魔法使いであった。
若かりし頃は土魔法で埋め立てに参加した。
が、それだけではなかった。
土魔法の力量を意識して上げながら、伴って生活魔法を磨いた。
その積み重ねが今日の彼女。
土魔法だけでなく鑑定魔法等をも取得した。
この教場造りが良い例。
現役を退いた後も、その力量は変わらないそうだ。




