(東の辺境伯領へ)4
ジョニーの脳内でピロロ~ン、ピロロ~ン。
「《マップ》を取得しました。
【始祖龍の加護】の下に置きます」
名前、ジョニー。
種族、人族。
年齢、六才。
性別、男。
家族、ニコール、イリア、リリー、トム。
生国、ダイキン王国。
職業、なし。
HP、∞。
MP、∞。
スキル、なし。
ユニークスキル、なし。
加護、【始祖龍の加護】。
《サーチ》、《飛翔》、《電撃》、《転移》、《並列処理》、《召喚》、《念話》、
《マップ》。
召喚したデストリシアンのスキルに《レーダー》があった。
《マップ》は、その《レーダー》に内蔵されていたもの。
眷属の上位者であるジョニーは当然、共有できた。
さっそく、性能を確認する為、《マップ》を起動した。
すると、脳内に色鮮やかな3D地図が出現した。
お母さんとお父さんの現在地が表示された。
領都を離れたばかりであった。
念話でデストリシアンを大きく右旋廻左旋回させ、マップを広げた。
その念話も一日の距離で圏外になった。
ただ、マップだけはオン継続で、どこまでも広がった。
ニコールとイリアは騎乗の人。
長旅なので馬は急がせない。
馬なりに任せた。
本当は急ぎたいのだが、それでは馬が途中で潰れる。
それを慮っての馬なり。
加えて、東へ向かう街道は王都とも結ばれているので石畳舗装。
見た感じ、整備が行き届いていた。
馬にとって石畳はどうかと思うが、平坦なので、差し引きはトントン・・・。
とにかく、馬だけでなく、自分達も焦らないようにした。
二人は夜営は避けた。
盗賊や魔物に備えるは徒労なので、市町村の宿に泊まった。
そして三日目、街道の様相が変わった。
昨日までの辺境伯領とは段違い。
ここまでは街道周辺の草木が切り払われていた。
ところが、目の前の景観は鬱蒼としたもの。
盗賊や魔物が隠れ易くなっていた。
ここを治める領主の心根が風景に現われていた。
イリアがニコールを見た。
「ここから先は要注意だな」
ニコールは辺りを見回した。
「しっかり盾しなさいよ」
「うちの奥様は相変わらず辛辣だな」
二人の警護のデストリシアン五匹は周辺高度を飛んでいた。
小さい上に離れている為、二人には気付かれていない。
ポーラの《レーダー》に不審人物の集団が映った。
《レーダー》内蔵の探知と察知で相手を視た。
ポーラは判断を下した。
『ポーリンとポールは継続して警護。
ポレイシャとポロポロは付いて来て』
言うや否や、ポーラは斜め前方へ降下した。
ポレイシャとポロポロが続いた。
《レーダー》で盗賊十二名を見つけていた。
先の大きな岩陰に六名。
更に先の雑木林に六名。
挟み撃ちするつもりのようだ。
おそらく二人の荷物が少ないのに目を付けたのだろう。
マジックバッグ持ちだと。
人の身体は魔物に比べて防御に適していない。
為に、防具で身を守る。
その強度は通常、財布の中身による。
目の前の盗賊団は粗末な防具を身に付けていた。
武器も似たような物。
お粗末の一言。
デストリシアンは人の都合などに関心はない。
六名の後方へスッと降下、草丈に合わせた低空飛行に移行した。
音もなく背後から迫った。
狙うは無防備な太腿。
彼等は胴や頭は守っていたが、足までは気遣っていなかった。
その両足に容赦なく《ウィンドスピア》を放った。
小さな身体のデストリシアンから放たれた小さな《ウィンドスピア》だが、
威力は小さくはない。
あっさりと貫通した。
余りの痛みに三名は失神した。
残った三名は状況が読み込めない。
仲間が倒れたのを理解しても、肝心の敵の姿がないのだ。
「「「なにっ、どうしたんだ」」」
その三名もデストリシアンの反転しての再攻撃に晒された。
訳の分からぬまま、三名は痛みで失神した。
三匹は振り返ることなく急上昇した。
急加速なので人の目では捉えられない。
先の雑木林へ向かった。
そこは疎らに木々があるだけだが、手入れされていないので、
身を隠すには最適の場所。
もっとも、六名に身を隠す意志はないようだ。
藪の陰に居るだけ。
デストリシアン三匹はここでも後方へ迂回した。
先の初戦闘で人間を理解した。
ノロマ。
それでも攻撃の鉄則は破らない。
不意討ち。
余裕を持って彼等を攻撃した。
守られていない太腿だけを狙った。
唯一の攻撃スキル《ウィンドスピア》。
彼等が倒れても仕留めない。
そこまで求められていないからだ。
六日目には《レーダー》に魔物が映った。
オーク八体。
こちらへ向かっていた。
このままだと警護対象とかち合ってしまう。
それをポーラは危惧した。
『ポレイシャとポロポロは継続して警護。
ポーリンとポールは付いて来て』
言い終えるより先にポールが先頭を切っていた。
オーク八体に向けて下降して行く。
思わずポーラは注意した。
『ポール、連携よ連携』
『連携、了解』
ポールはオークを視界に捉えるや、低空飛行に移行した。
迂回して背後を取った。
その後ろにポーラとポーリンが続いた。
オークは全く気付いていない。
オークの外皮は厚い。
その上、人族から奪ったと思える防具を身に付けていた。
ただ、似合っていない。
人族に比べてオークの体躯が大きいので、羽織っている感じ。
ボタンもベルトも無用の長物と化していた。
まるで、子供服を無理して着ている大人。
なので脅威は防具より手にしてる武器だろう。
大太刀や長槍を無造作に、肩に担いでいるのだ。




