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転生したら没落貴族だったので、【呪言】を極めて家族を救います  作者: メソポ・たみあ
第2章 フォレストエンド領の危機

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第16話 不穏の始まり


「魔法の練習はどう? 順調かしら?」


 ――お昼時。


 母が昼食をテーブルへと運びながら、僕やクーデルカに聞いてくる。


 ちなみに父は領民たちと狩りに出掛けているので、今は不在。


「それは勿論! この私が家庭教師を務めているのですから、超順調ですとも!」


 ドーンと胸を叩くクーデルカ。


 ちなみに彼女の胸部は、小さい背丈に比例するように慎ましい。


 なので拳で胸を叩くとトン!と絶妙に硬い音がする。


 それでも堂々と胸を張ろうとする辺りが、見ていてなんとも愛くるしいのだが。


 自信満々な彼女の返答を聞いた母は席に着き、


「なら良かったわ。さあご飯にしましょう」


「頂きます! はぐはぐはぐ……やっぱり奥方様の豆のスープは美味しいですねぇ! 百点満点です!」


 クーデルカはなんとも美味しそうに料理を掻っ込む。


 どうも母の手料理が舌に合うらしい。


 そんな彼女に母もご満悦。


「ウフフ、先生が来てから家も賑やかになったし、なんだか娘ができたみたいだわ」


「それは重畳! ……ですが私、奥方様よりもだいぶ年上なのですが……」


「それだけクーちゃん先生が子供っぽく見えるってことだよ」


「な、なんですってぇ!?」


 そんな僕とクーデルカのやり取りを見てほっこりとした笑みを浮かべる母。


 ――彼女がやって来てから、ウチが賑やかになったのは本当だ。


 爵位や貧乏暮らしなんて気にも留めず、ただ好奇心の赴くまま僕の練習に付き合ってくれる。


 そんな無邪気な性格なので父や母ともウマが合い、関係は良好。


 僕としても、家庭教師になったのがクーデルカで良かったと心から思ってる。


 一緒にいて楽しいしさ。


 ……ぶっちゃけると、容姿も性格も好みだし。


 実は転生前から、ゲームやアニメだと幼女キャラが好きだったなんて口が裂けても言えないが。


 なんて俺が思っていると、クーデルカはふと思い出したかのようにスプーンを置く。


「ああ、そうだ。奥方様、一つお尋ねしたいことが」


「ええ、なにかしら?」


「子爵殿――ゲオルク殿は、剣術を修めておいででしたね? それも達人と呼べるほどの」


「? そうね、確かにあの人の剣術は凄いけれど……」


「そこでご相談なのですが――ゆくゆくはリッドに、剣術を学ばせては如何でしょう?」


 クーデルカがそんな提案をすると、僕も母も「え?」という顔で目を丸くした。


「この子に剣を? で、でも魔法があれば――」


「昨今の貴族たちは魔術万能論をもてはやしがちですが、大いなる間違いです!」


 フン、と不満そうに鼻を鳴らすクーデルカ。


 テオドール校長に推薦されるほどの魔術師である彼女が剣を推すとは、なんとも意外だ。


 いやまあ、僕も以前父に剣を教えてと頼んだことはあるが。


「私は魔術師こそ護身の武芸を会得するべきと考えています。リッドが【呪言使い】であるなら、尚更です」


「? どうして尚更なの?」


 不思議に思って僕は聞き返す。

 そんな純粋な疑問に対し、


「考えてもみてください。〝呪言〟というのはそもそも――」


 クーデルカが答えようとする。


 だが――その矢先だった。


『――ゲオルク様! ゲオルク様はいらっしゃいませんか!』


 そんな大声と共に、玄関ドアがドンドン!と叩かれた。


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