表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

3:A.パーティーの危機だから

登場人物が多いと、個性が被らないようにするのが大変だけど面白い。



「・・・バ、バイオレットさんは大丈夫なんですか?!」

「ああ。今は気絶しちまってるけど、命に別状はないと思うぜ」


 タイガーとの戦闘を全員が生き残ることができたパーティーだったが、その代償は決して小さくはなかった。


「僕のせいだ・・・」


 ミツルギの顔が青ざめる。


「ミツルギくんは悪くないですよ。だって、ミツルギくんがワイルドタイガーの挟み撃ちに気づかなかったら、もっと危険だったと思うよ」

「違う!僕のせいだ!!」


 メリッサが優しい声で心配するも、彼はそれを大きな声で振り払う。


「・・・」

「僕がもっとしっかりしていれば、バイオレットに怖い思いをさせずに済んだんだ・・・」


「おい、ミツルギ」

「?」

「歯ァくいしばれ!!」


 クレアがミツルギの顔面に向かって全力の頭突きをする。

 ゴッ!、という鈍い音が響く。


「「痛ってぇ~?!」」


 ミツルギは衝撃で尻もちをついてしまう。

 そして、お互いに頭を痛める。そんな光景を見ていた星水は、


(クレア・・・バイオレットを背負った状態でよく頭突きできるな。器用なのかな?)


 と、マイペースなことを思っていた。


「なんでもかんでも()()()()()にしようとすんじゃねえ!」

「! 違う、僕はパーティーのリーダーだ!みんなを守る義務がある!」

「・・・たしかに、ミツルギはパーティーのリーダーで、アタシ達に指示もだす」

「なら・・・!」

「でもな、お前の指示にOKしたのは自分だ。自分の責任で決めたことだ。それが原因で死んじまったとしても「それは仕方のないことだ」って、割り切る覚悟でオレはこのパーティーにいる」


 クレアの目には「覚悟」があった。

 それは、いつ死んでもおかしくない人生を、悔いのないように生きるための彼女なりの信念だった。


「・・・」


 クレアの強い決意の眼差しと真剣な声で、ミツルギは言葉が出なくなる。


「それにバイオレットも・・・・・・いや、バイオレットは死ねない理由があるって言ってたけどよ。少なくとも今回のことで、ミツルギに責任があるなんて思ってねえよ。多分な♪」


 にッ!と白い歯を見せながら、クレアは何事もなかったかのような、いつもの陽気な笑顔に戻った。


「そうですよ~、1人だけで頑張ろうとしないで、もっとみんなと一緒に頑張ろう?」


 メリッサも、いつもと変わらない優しい雰囲気で話す。


「なあ、別に俺はミツルギが責任を感じてることを悪いと思わないし、みんなだって思ってるはずだ。責任を感じてるってことは、それだけ真面目だってことだと思うから」

「星水・・・」

「なら、その真面目さを自分を責めるために使うんじゃなくて、反省して次に活かすように考えることに使ったほうがいい」

「・・・うん、そうだね」

「むしろ、俺みたいに責任を感じない人間になると、毎日の寝坊が当たり前になるほどのダメ人間になるからな!アハハ!」

「・・・アハハ、それもそうかもね」


 思いつめていたミツルギの表情は暗いままだったが、先ほどよりも柔らかくなっていた。

 そして彼は尻もちをついていた状態から立ち上がる。物理的にも、精神的にも。


「で、でしたら!ギルドに戻って反省会をしましょう!」

「お、いいなそれ!オレも作戦とか連携の見直しときたいぜ!」



 ♢ ♢ ♢



 ここで「ダンジョン」についての軽い説明だ。

 ダンジョンに入れる場所は1つしかない。

 ゆえに入口でもあり出口でもある「扉」には国の正式な警備員がおり、ダンジョンから出てくるパーティーが採取した資源やクリスタルを、規定以上の量を採取してないかの検査をしている。

 なぜか?それはダンジョンのルールに関係がある。


 "国が規定した「量」までしか採取してはいけない"


 ちなみにダンジョン内でのルールはこれだけで、後は自由である。


「なあ、クレア」

「ん?珍しいな、そっちから話しかけてくるなんて」


 ダンジョン1層の木々が生い茂っている「ジャングル地帯」の帰路を歩いてる最中、星水がクレアに話しかける。


「ミツルギを立ち直らせてくれて、ありがとう。おかげで助かった」

「お、おう。まあ、仲間だから当然だろ。っていうか、なんで星水が感謝するんだよ?」

「そりゃバイオレットが戦闘不能になって、ただでさえ戦力が落ちたのに、ミツルギまで戦えない状態で襲われたらヤバイだろ」

「あ、たしかに」


 もうすぐ家に帰れる。

 この命がけの探索から解放される安心感から、他愛のない話をしてしまう。





「みんな、とまって・・・!」





 だが、その空気はミツルギの低い声で一掃される。


「どうしたの?」

「分からない・・・でも、なんだか嫌な予感がするんだ」


 幸か不幸か、仲間が危険な目にあったというトラウマのせいで、ミツルギの危機察知能力は限界まで引き上げられていた。


「へっ!バレちまったぜグレ兄さん!」

「おい、なにやってんだレグ!まだ向こうは疑ってる段階だっただろうが」


 木の影から2人の大男が現れる。


「あれ、もしかしてフラグ立てちゃった俺の責任?」


 星水は少しだけ冷や汗が出てきた。

この先、少しグロ展開があるので注意です。


よかったらブックマーク登録と高評価お願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ