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生きたい魔王と逝きたい勇者  作者: みけな
第1章 出会う2人の道
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第9話 四苦八苦する魔王

今日!ワンピースの映画を観に行くんだ!

見た同僚からめっちゃいいって言われて……世の中はウタの曲は予習バッチリだ!

いくぜ〜╰(*´︶`)╯


ブックマーク、読んでくれた皆様!

ありがとうございます(*'ω'*)

 今日から学校の授業が始まります。休みの時間に書物は全て読みました。覚えきれていないものもありますが、周りの皆様の足を引っ張らないようにしないと。


「よし!」

「真桜ちゃん張り切ってるね」

「はい!皆様の足を引っ張らないよう頑張ります!」

「真面目だなぁ〜ね?いっくん」

「勉学はあって困るものじゃないからな。真面目に受ける事は良いことだ」

「そうだった。いっくん見た目によらず秀才だった」


 意外です。だるそうに過ごしているので、あまりやる気はないのかと思ってました。


「別にそんなつもりはないけど。無知は罪だからな」

「無知は罪なり、知は空虚なり、英知を持つもの英雄なりって?いっくんがソクラテスを語るなんてね〜」

「ソクラなんだって?俺の知る言葉は、無知は罪で馬鹿は罪じゃないだ」

「何それ?」

「なんかで見た気がするが……」


 レベルが高いです!?諏訪さんはソクラテスと言っていましたね。後で図書館で調べましょう。


 ―キーンコーン……

 ―ガラガラ


「はーい。座って。学活後にそのまま1時間目だからね〜」

「姫先生。もっとゆっくりしようよ〜」

「新学期早々にアクセル踏んだら、後半失速しちゃいます」

「はいはい。それじゃ2人のエンジンを鍛える為に、今日は多めに当てますね」

「マジかよ!?」

「うわぁ。巻き込まれた!」


 クラスが笑いで包まれています。


 これが学校……私が行っていたところとは、全然違います。


 ―キーンコーン……


 そう……私の行っていた学園とは全然違う。


 ―ふしゅ〜


「真桜ちゃんから煙が上がってるように見える」

「まだ1限目だぞ?しかも姫先生の授業は、分かりやすいと思いがな」

「そうだね。頑張ってる姿が微笑ましいよね」

「言葉の歴史の奥深さに……」

「それを言うと次は社会だぞ?歴史の深さで言えば……」


 ―キーンコーン……

 ―ふしゅ〜


「やはりこうなったか」

「真桜ちゃん。転校してきたばっかりだし、まだ授業に慣れなくても仕方がないよ」

「海外の学校だったからな。国語や社会は教え方が違うのかもな」

「この国の歴史は凄いですね……」

「今の授業じゃそこまで時代は遡ってないけど」

「次は数学だけど大丈夫?」


 ―カツカツ……カツ


「転校生と聞いていたが……正解だ。戻って良いぞ」

「ありがとうございます」


 数学の時間。私は諏訪さんと神野さんの心配を払拭する為、積極的に問題を解く事に手を挙げた。先生は転校して来た事を知っていたので、無理をしなくて良いと気を遣ってくれましたが。私は是非!と言うとやる気を認めてもらえました。


「あの問題さらっと正解するとか凄いよ真桜ちゃん!」

「そんな。簡単な問題だっただけですよ」

「簡単ね〜くっくっく」


 神野さんがニヤニヤ笑ってます。何かあったのでしょうか?


「何か面白い事が?」

「あー悪い。真桜が問題を簡単に解いちゃうから、先生悔しそうだな〜って」

「やっぱり?あの問題難しいよね?」

「どう言う事ですか?」

「あの先生。皆の気を引き締めるつもりで、あの難しい問題作って来たんだよ」

「それは……解いてはいけなかったと?」

「良いんだよ。試す方が悪い」


 なんだか申し訳ない気持ちになります。私に転校生だからと気にかけていただいたのに……


「それじゃ次はこの問題だ」

「これは私は見ているべきなのでしょうか」

「さすがにこれは転校生でもお手上げだろう」

「先生大人気ないぞ〜」

「ふん!」


 これはどうしたら良いでしょうか?問題を見る限りでは、少し先のページ内容ですが。解けない事はない。


「諏訪、行って来いよ」

「……」

「はぁ〜陽、行って来いよ」

「え?出来ると思ってるの?明らかにまだ習ってないやつじゃない?」

「まぁそうだな」

「これ解いちゃうとダメなやつですか?」

「真桜は解けるのか。偉いな。でも先生に目をつけられるから……俺がギャフンと言わしてくる」


 ―ガラ


「来たか神野」

「先生。新学期1発目から張り切りすぎじゃない?」

「油断大敵って言葉を教える為の問題だ」

「先生は数学教師だよね?まぁ良いけど」


 ―カツカツ……カツカツ……カツ


 先生と数回やりとりしてから、神野さんは問題に向き合い始めました。そして快調に黒板に数字が埋まっていきます。


「正解だと……応用問題だったんだが」

「でしょうね。でも基礎があれば解けない事はない」

「ゲームばっかりやってる訳じゃないんだな〜」

「甘い物食べてるから脳は常にフル回転?」

「妹に教える為に勉強はしてるって噂は本当だったか」

「お前ら俺をなんだと思っている」

「「「ゲーマーで甘党のシスコン」」」

「ハモるなし」


 席に戻って来る神野さん。


「いっくんやる〜」

「これでしばらくは普通に授業してくれるだろう」

「そうだと良いけど。真桜ちゃんにも解かれたから、もっと難解な問題作ってくるかもよ」

「私、やってしまいましたか?」

「ん?良いんだよ。問題は解くためにあるんだよ。それにヘイトは分けといた方がいいしな」


 問題は解く為にある。素晴らしい言葉です。神野さんに負けないよう勉強を頑張ろうと思った。この後の数学の授業は、とても分かりやすかった。難しい問題を作る人だから、意地悪をされるかと思ってました。


「あの難解問題なければ、教え方のうまい先生で印象も良いんだけどね」

「そう?俺は難問含めて、良い先生だと思うよ。教え方だって理に適ってる感じ」

「私もそれは思いました。解けない問題は数学にはないよって感じました」

「2人は数学得意なんだね……私はノートとるので必死だよ」


 諏訪さんのノートを見せてもらいました。文字は見やすくて、重要な部分は色がついています。公式などには四角い枠をつけて、例題や問題は線で区切ってる。


「ノートってこうやって書くんですね」

「人それぞれじゃない?私はなんかこうなってるけど」

「陽のノートは凄いぞ。これは教科書にした方がいいんじゃないか?ってレベルの完成度だ」

「神野さんはノートどうしているんですか?」

「俺か?これだけど」


 神野さんのノートには、綺麗な公式だけが書いてある。問題や例文と言ったものは一切ない。そして教科書に書いてある太文字だけ1番下に書いてある。


「公式と語句だけ憶えれば十分だし」

「いっくんのノートは参考にしない方がいいよ。もはや試験前に確認するくらいの感じだから」

「これはこれで……効率的?」

「そうだな。問題や例文は教科書に書いてあるし。見れば分かるからな」


 2人のノートを見るだけで、両極端ってこういう事なんだろうな。って思える。


「ねー藤宮君。ノート見せてあげて」

「なんで僕が……転校生と仲良くしたら殺されない?」

「今はいっくんと一緒だからセーフだよ」

「ならいいけど」


 前の席の藤宮さん。諏訪さんと一緒で、学級委員なんだと後で知りました。

 ノートを見せてくれるとの事で、せっかくなので中を見せてもらった。


「うわぁ〜……普通です」

「ぐふぅ!?」

「ぶはぁ!」

「ふふふ」


 諏訪さんと神野さんが吹き出して、藤宮さんは何か胸を抑えています。どうしたんでしょうか?もしかして!


「ノートがないと死んでしまうんですか!?さっきの私にノート見せようとしてて、そう言ってましたし!」

「い、いや。その、そんな近づかれると……殺されるかもしれないから」

「私が近づくとダメなんですか!?すいません!」


 胸を痛めた原因は私が近くにいたから?慌てて距離をとります。あ、でもそれだとノートが返せません。困りました。


「勇者様、真桜困ってるぞ。素直なやつだからちゃんと説明しないと、明後日の方向に誤解されるぞ」

「ゆうしゃ?今、勇者って言いましたか!?」

「僕は勇志だ。分かっているなら、祝君がフォローして下さいよ」

「えー俺は保護者じゃないんだが」

「頼むから僕を保護して。変な噂がたってヘイトを稼ぐのだけは避けたい」

「仕方がない。この場を和ませる面白い話題で手を打とう」

「いっそパンとかジュースせがまれる方が楽なんだけど!?」


 勇者と呼ばれて?え?勇志さん?どっちが正解?


「くそ……あ、これはまだ確かめた訳じゃないし。妹の虚言かと思うんだけど」

「お。いい前置きだな。妹ちゃんはいい感じに、ぶっ壊れてるから期待できるな」

「おい。人の妹を……否定はしないけど。それで話はこうだ……夜、月夜の晩に現れる。1人の黒騎士の話」

「ぶふぅ!?」

「黒騎士?何それそんなの現代であるの?」

「黒騎士……」


 この人は勇者ではないのかな?でも黒騎士ってもしかしてそっちが……


「その全身フルメイルの男は、甲冑や鎧があるのに音がしないんだ」

「ホラーじゃん。夜な夜な徘徊する黒騎士。音がしないならその中身は空っぽとか?」

「中身まではどうだって聞いていないけど。使命は聞いたらしい」

「使命……まさか」

「そう。『魔王を倒す使命があるからな』と言ったらしい」

「おぅ……痛い人じゃん」

「だろ?面白くない?今後もその人を探すと妹が言っているから、また続報があったら教えるよ」

「藤宮君。その方はどこへ行ったんですか?」


 魔王を倒す。それに全身黒いフルメイルは聞いた事があります。こんなところまで追いかけて来たと言う事なんですか。


「それがな。道歩くの面倒だなとか言って、消えたらしいぞ。どうやら転移とかその辺の魔法でも使ったんじゃないかって」

「へーそれが本当ならいいな。転移とかどこかの夢の道具より便利そうじゃん」

「転移魔法……それが本当であれば」


 まずいです。この世界に勇者がいる。これは早く爺やに報告して、何かしらの対策をとらないと。せっかく学校に入れてこれからと言う時に……


「な?面白いだろう」

「本当だったら興味はあるわね〜」

「し、そうだな。でも変な人かもしれないから、夜に妹を出歩かせたりするなよ」

「それな。どうしても夜にアイスが食べたいとか。少し目を話した隙にいなくなっててな」

「危ないね。真桜ちゃんも夜で歩くのは気をつけるんだよ?真桜ちゃん?」

「は、はい!?」

「どうしたの?ぼーっとして、何か考え事?」

「違います違います。えっと、そう!ノートです。藤宮君生きていますか?」


 これ以上この話を膨らませないよう、話の話題を無理やり元に戻す。


「そ、そうだな。勇志は普通と言われる事が弱点なんだ。だから初見の真桜がそう言って、俺と陽は思わず笑ってしまったと言う事だ」

「面白いよね〜やっぱり分かるんだって思っちゃった」

「それは大変失礼を……」

「いいんだ。祝君みたいに目立つ事は苦手なのは事実だし」

「俺は別に好きで目立つ事はしてない」


 話はどうやら逸れたみたいです。これ以上の話題で魔王がってなれば、私がボロを出しそうです。


 その後の授業は正直頭に入ってきませんでした。何か体育の授業をどうするかって話し合いでした。


 ―キーンコーン……


「終わった〜」

「始まったばっかりなのにハードな授業だった」

「今日は4時間だからこのまま帰ろう」


 クラスの人達がそれぞれ帰り支度をしたり、机に突っ伏したりとしています。私は今日は……


「真桜ちゃん。今日はどうする?」

「申し訳ありません。今日は早く帰らないといけなくて」

「そっか。それじゃ今度は部活でも案内するよ。いっくんが」

「なんで俺?俺、甘いもの探しに行ったりで忙しんだけど」

「それ暇だから行くんでしょ?」

「何を言うか陽。甘いものを中心に世界は回っているんだぞ」

「それは絶対違う」


 この2人は本当に仲良しさんです。出来れば皆ち一緒に居たいですが。今は勇者が現れたと爺やに伝えないと。今後も皆と一緒にいる為に、今は我慢よ真桜!


「それじゃ。私は急ぎますので。また今度一緒にお願いしても宜しいでしょうか?」

「全然いいよ〜じゃ、気をつけて帰ってね」

「気が向いたらな」


 2人に見送られて私は教室を出る。


 ……私が生きる為に!




 自宅であるアパートに着く頃。私は死にかけていた。


「おや。真桜ちゃんおかえり」

「ぜぇーぜぇー。はぁ〜……」

「無理に喋らなくても大丈夫よ」


 走り過ぎて喋れないので、お辞儀だけおばちゃんにする。そして私は自分の家に帰る。


 ―ガチャ


「おや?早くご帰宅ですね。すぐお昼の準備をします」

「ぜぇーぜぇー……」

「はい。お水を用意しましょう。はいどうぞ」


 ―ゴクゴク……


「ぷはぁ!死んじゃ……う」

「何か買い食いでもしたんですか?それで喉に詰まらせて、飲み物を買うお金がなく走ったとか」

「どんだ、けよ。ただ、走った。だけ」

「学校から?近いと思いましたが?」


 はいはい。体力ないのは知ってますー。だってしょうがないじゃない。魔界にいた頃は走ったりなんて、あまりした事ないんだから。今はそんな事、どうでもいい訳で。深呼吸して無理やり息を整える。


「勇者が出たわ」

「……その情報は確かですか?」


 茶化していた爺やも、勇者のワードを出したら真面目な顔になる。私達はお母さんの魔法で転移してきた。それで終わりとは考えていなかったけど、まさかあの世界の勇者がここに来るなんて。


「学校の人の話だと全身黒いフルメイル。それは音がしなかったと。そして魔王を倒す使命があると言っていたそうよ」

「全身が黒いフルメイル……あの世界の勇者で間違いないでしょうね」

「やっぱり……どうしよう。私達を探してるんだよね」

「おそらく。しかしここ数ヶ月、全く情報がなかった。もしかしたら、この世界を彷徨っていて、たまたまこの街を通っただけかも知れません」


 そうか。向こうもこの世界に来て、あまり時間が経っていないのは一緒。私達みたいに誰かに拾われる可能性もあるけど。全身フルメイルなんて、誰かが拾ったりするとは思えない。そうなれば勇者は1人で街を彷徨っている。爺やの言う可能性が濃厚かも知れない。


「勇者は鑑定スキルを所持していたはず。たまたま来たとは言え、私達の事を見られたらバレてしまいます」

「それはまずいんじゃ?」

「そこは私のスキルを使えば……ちょっと失礼します」


 爺やが何やら空間に手を出して、何かボタンのようなものを押す動作をする。


「これでこうして……種族部分は人間に変えて。レベルは……少し出てきます」


 何をしているんだろう。爺やのする事だから何か意味はあると思うけど。


「戻りました」

「おかえり。何してきたの?」

「少しおばさんに鑑定を。この世界のレベル基準が分からなかったので参考に」

「あー成る程。おばちゃんと同じか低く設定しておけば、万が一勇者に鑑定されてもバレないって事ね」

「そう言う事です。ではレベルは5にしておきます」


 レベル5かぁ。まぁ戦わない人ならそんなもんよね。


「一つ聞くけど。おばちゃんはどれくらいなの?」

「おばさまはレベル7ございました。なので真桜さんは5で、私は男性ですし9くらいにしておきます」

「それくらいが妥当ね。これで不安は一つ減ったわね」

「それでも気を付けて下さい。怪しいと思われて鑑定の上位スキルがあればバレてしまいます」

「分かったわ」


 ここまでしておけば、とりあえず大丈夫でしょう。私の命は繋がれたはず。後は勇者が何事もなくこの街を去ってくれれば……

爺や「それにしても全身フルメイルとは、勇者はこの世界に無知すぎますね」

真桜「手ぶらで彷徨う私達よりイカれてるね」

爺や「そのおかげでこうして情報を得られたんですけどね」

真桜「これだけ目立つ格好してたら、どこにいるかすぐ分かりそうね」

爺や「その点、我々は種族もレベルも一般人レベル下げましたから。バレる確率は減ってますね」

真桜「完璧ね。所詮勇者は脳筋って事ね」

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