第8話 徘徊する勇者
電車で疲れて寝ていたら……ストックに投稿が追いつきそう!(*・ω・)φ書かねば〜
ブックマーク、読んでくれた皆様!
ありがとうございます(*'ω'*)
今日は色々あった。久々の学校で校内を回ったり、諏訪の家にお菓子を頂きに行ったり。最後に真桜を家に送ってもんだから、家には夕方前に着いた。
「おかえり祝。今日は遅かったのね」
「ただいま母さん。今日は転校生に校内案内したり、諏訪の家行ったりで忙しかった」
「また諏訪さんのとこに行ったの?昔から神社とか好きよね」
「神社と言うか。そこにある物に興味があるだけで」
「興味……お供物は食べちゃダメよ?」
「そこまで罰当たりな事はしないよ」
「ならいいけど」
母さんは俺が興味あると言うだけで、すぐ食べ物に繋げるんだから。間違ってないけど。
「ただいまって、兄貴も今帰り?」
「おかえり恩。今日は色々あってな」
「彼女でも出来た?」
「何でそうなる?」
「別に。帰る時に兄貴が女の子と歩いてたとか見てないし」
「え?え?祝に彼女出来たの!」
母さんが話を聞いてキッチンから出てくる。こう言う話好きだよな〜
「ついに陽子ちゃんと?」
「そこで何で諏訪が出てくる?」
「あれ違った?」
「黒髪のすらっとして、胸の大きい子だったよ」
「あらあら。祝も男よね」
「そこで男認定されても。それに真桜はそんなんじゃない」
「真桜ちゃんって言うのね?どんな子?」
「どうなの兄貴?」
2人で言い寄られる。今までもこんな事なかったのにどうしてだ?
「ただの転校生だ。それで先生に案内を頼まれただけだ」
「なんだ。また頼まれごとか、兄貴ってそう言うの多いよね」
「祝は面倒見がいいからね。先生も使いやすいんでしょう」
「使うって息子がそんな扱いでいいのか?」
「いいんじゃない?いい事だし。内申点も稼げるわ!」
「……そう言う打算はしてないんだが」
「そこが信用出来るのよ」
よく分からん。俺は別に好き好んで頼まれごとをしている訳じゃない。かと言って母さんの言う内心にも興味はない。だって俺は異世界に帰りたいからな。
「めぐちゃんも祝も、いつまでも制服でいないで。ご飯できる前には着替えて来なさい」
「「はーい」」
そうして俺は家族とご飯を食べ、いつも通りベットイン!明日は学校だから早く寝るか……
「今日も何事もなく1日が終わる。はて?俺は何か忘れているような……」
目を閉じると暗闇の中に眩い光りに、俺は目を……
「閉じてんですけど?」
「知ってます。それでいつ魔王を探しに行くんですか?」
「何でイザナミがいるんだよ」
「ここにはいませんけど」
「そう言う事じゃなくて。何で普通に会話出来てんの?」
「……神ですから?」
あ。説明するのが面倒だって思ったな。俺もいちいち聞くの面倒だからどうでもいいけど。
「てか、いきなり元の世界に送っておいてよく言うぜ」
「魔王の向かう先に送っただけで。そこがたまたま元の世界だっただけです」
「たまたまで元の世界に戻せるの?前に聞いた時は、元の世界には戻れないって言ってたよな?」
「はい。なのでこれはたまたま。偶然と言う奇跡です」
「都合がいいんだよな……」
異世界に呼ばれた時もそうだったが、この自称神様は奇跡とか簡単に使うよな。
「ちゃんと違う世界でも問題ないように、レベルやスキルは使えるようにしましたよ。感謝して下さい」
「偉そうだな。おい」
「偉いですけど?」
神様だからな。そりゃ偉いだろうよ。
「しっかり転移魔法と魔法創造は禁じてるけどな」
「貴方なら魔王退治を放置して、こちらの世界に来てしまう可能性がありましたので」
「でも魔法無いって、結構不憫じゃないだろうか?」
「その点は問題ないです。マナがその世界には足りないので、使えても使えません。それは魔王も同じ事です。なので問題なし!」
マナ足りない……って事は使おうとすれば出来るはずなんだよな。
「マナを探して集めれば使えるって事だよな?」
「どうでしょう。そんな事しなくても私は使えると思うので。考えた事も試した事もありません」
「今俺と会話してんのは?」
「こちらの世界のマナを使ってます。だいぶ燃費は悪いのであまり多用は出来ませんが」
「多用は出来ないって、今やってるじゃん」
「なので……あま…………」
―ブツ!
何か切れたような音がすると、目の中の光は消えている。
―ドンドン!ガチャ!
「兄貴。ゲームの会話はもっと小さくしてよね!」
「あーすまん」
「あれ?ゲームしてたんじゃ?神様とか魔法がどうのって聞こえたんだけど」
「あーえっと。電話してたんだよ」
スマホを恩に見せる。
「どっちにしても夜なんだから静かにしてよね!」
―バタン!
おー怖い。ってか神様との会話ダダ漏れだったのか。これ気をつけないと、頭おかしい人じゃんか。
「ったく。イザナミ。妹は行ったから話の続きなんだが」
少し声のトーンを落としてイザナミに声をかける。しかし声は返ってくる事はなかった。
「何を伝えに来たんだよ……」
ただの暇つぶしか?でも魔法は使えそうだって事が、分かっただけ収穫と思っておこう。
「なんかこのまま寝るのもな……」
変な時間に起こされたから、気になって仕方がない。
「少しだけ夜の街に繰り出してみますか」
クローゼットから服を取り出して着替える。夜で目立たないように黒っぽい服にしよう。誰かに会ったりしたら面倒だしな。
「……靴どうしよう。普通に玄関から外に出たら怪しいよな」
裸足と言うのも……魔法が使えれば空飛んだりするんだけど。靴とか玄関にしか置いてないしな。持ち歩いたりするもんでも……あ。
「これ使えるかな?《空間収納》!って使えないだろ……」
―ブーン
目の前に黒い四角い箱が出てきた。
「使えんのかよ。てか、俺これに何入れてたっけ?」
箱を触るとアイテム欄が出てくる。使い方は向こうと変わらんのか。まぁ使えるならいいか。
「結構溜め込んでるなぁ。手頃な靴あれば……火炎龍の長靴は炎のエフェクトがカッコいいけど。夜じゃ明るすぎるな……ってこんなとんでもない装備ダメだろう」
この世界でこんなの装備するって、こんなの履いて街を歩いてたら変人だ。
「漆黒のシリーズとか夜には丁度いいかな……あった。漆黒の脚半」
空間収納から出して装備してみた。
―ガチャガチャ
「上私服で足だけこれ装備とか変だし」
前衛だった俺の持ち物はほぼ全て鎧。防御力やスキル重視で、間違って足の装備だけ買った人みたいだ。スキル?そう言えば装備のスキルはどうなるんだ?
「(鑑定)」
自分を鑑定してみると、スキル欄には黒く【隠密】が書いてある。これはセットで装備すると発生するスキルだから黒いのか。一式装備したら発動したりして。
と言う訳で、漆黒シリーズを一式装備してみた。見た目は黒騎士って感じで俺は気に入っていた。中盤までは使い勝手も良かったけど、防御力的にそこまで高くない。
「国の視察でスパイ活動してる時来てたよな」
鏡の前でポーズをとってみる。うん!カッコいい!
「スキル欄は……黒い文字が白くなっている。それにスキルはアクティブ状態だ。発動してるの?」
その場で足踏みしてみる。鎧特有のガチャガチャした音はしない。
「行けそうだな……よし!ちょっと夜の街を徘徊してみるか」
窓を開ける。戸建ての2階から下を覗いてみる。夜だからか人は誰もいない。
「とう!」
―……!
地面に着地した際の音は聞こえない。さすが漆黒シリーズ。隠密騎士と言われるだけの装備だ。
「あまり大通りには行きたくないな。隠密装備とは言え、あんな明るいところで堂々と歩いてたらバレるかも知れない」
俺の家の周りは住宅街。街灯が何個かあるが、そこまで明るい訳じゃない。
すると前から誰か来る。
「うー飲み過ぎた……」
家に帰る酔っ払いか。ふらふら歩いているから、ぶつからないように道の端に寄る。
しかし酔っ払いは予想外にも、俺のいる方へとふらふら歩いて来る。俺は反対側に歩いて移動すると、酔っ払いも俺の方へと歩いて来る。
「見えてんのか?」
「んー?なんか声がする気がするぞ〜?ひっく!」
しまった。つい声に出してしまった。
「んー?なんかここだけ暗い?」
暗闇に手を伸ばす酔っ払い。流石に触られれば気づかれてしまう。触れられないように後ろに下がると、酔っ払いの手は空を切る。
「気のせいか……あー俺、酔ってるからか」
ぶつからないよう細心の注意を払って、酔っ払いを無事回避!
「フギャ!?」
「およ?」
避けた先で何かを踏んづけた。俺は慌ててその場から足を退ける。
すると猫が道の端にいた。
「フシャァァァ!!!」
猫は毛を逆立てて威嚇をする。
「うわぁ!」
猫は踏んだ俺ではなく、近くに居ただけの酔っ払いを威嚇している。
「俺が何したんだよ?」
「フシャァァァ!!!」
「ちょ!うわぁぁぁ……」
酔っ払いはびびって走っていく。猫はそれを追いかける。
「これはあれか?スキルが発動しているから、踏んだのがあの酔っ払いだと思われた?」
猫を踏んだのは俺だが、レベル差があり過ぎて猫は俺に気づけなかった。
「すまない猫さん。そして罪なき酔っ払い」
「……ぎゃぁぁぁ!?」
酔っ払いの断末魔が聞こえた。そしてその方向から猫が1匹歩いて来る。俺に気づく事なく歩いていく。
さすがに俺のせいで猫にやられた人が気になる。猫が歩いて来た逆方面へと歩いていく。
「いてて……俺、何かしたか?」
顔に引っ掻かれた後が見える。すまんな酔っ払いの人。
「《空間収納》……これでいいか」
―キュポ。パシャ!
「冷たっ!何するんだ!?」
1番程度の低いポーションを振り撒いてみた。酔っ払いの人が暗闇の中にキラキラと光る。
「効果は出ているようだな。傷は痛むか?」
「あれ?猫に引っ掻かれた傷がない?」
「問題ないようだな」
「あぁ。ありがと……お!?」
雲に隠れた月が覗き、月明かりが俺を照らす。
「すまんな酔っ払いの人。これは酔ってみた幻覚だと思ってくれ。じゃ!」
「幻覚って……そう言えば俺、かなり飲んだのに酒も抜けてる?」
月明かりから逃げるように俺はその場を後にする。ポーションは傷だけではなく、酔い自体を治してしまったらしい。
もう俺の事は見てないよな?影から酔っ払いの人のステータスを確認する。
「(鑑定)」
HPは満タンだな。状態異常のステータスは……困惑。そりゃそうだな。俺だって突然目の前に、全身黒い鎧の人が来たらビビるもん。
「体に異常はないな。やっぱり普通の人はレベル1なんだよな……」
レベル7の母さんって凄いんだろうなぁ。何か過去に格闘技で全国行ったりしてんのかな?棍棒を使う格闘技…………
「考えるのはやめよう。人には言えない秘密の1つや2つあるもんさ」
気を取り直して、街を徘徊する。
「月明かりがなぁこのまま道歩いてたら、いつか曲がり角からばったり……」
「わぁ!?」
俺とした事が!フラグを立ててしまうとは!
「え?何?黒騎士!?」
「……しー」
口に人差し指を当てるように、静かにと言うゼスチャーをする。道で出会った人は、理解したようで慌てて口を塞ぐ。
「騒がずいてくれてありがとう……少年?」
―ブンブン
首を横に振る。違うと言う事だな。
「では少女か?」
―コクコク
月明かりがこの子の目に反射でもしているのか、何かを期待したキラキラした目で見てくる。
「あの。黒騎士様は街の平和を守る人ですか?それとも街を侵略する人ですか?」
「侵略はせんよ。俺は……魔王を倒す使命があるからな」
「魔王!?この世界にいるんですか!」
あ。これ言っちゃいけなかったのか?まぁいいか。
「いるぞ。しかし恥ずかしい事に、討伐目前で転移で逃げられてしまってな」
「転移!?それでそれで!」
「お、おう。神に倒してこいとこの世界に転移されたのだ」
「おう!神様!?」
俺が言うのも違うかもしれんが、夜にこのテンションとか変な人に出会ってしまった。
「では黒騎士様は魔王を探す為にここを歩いていたんですか?」
「あーそうなるな」
弁解するのも面倒だから、この謎の少女に話を合わせる事にした。
「そしたら僕も魔王を探してみるよ!」
「それは危険だぞ。そんな無理をす……」
「大丈夫!僕、強いから!それじゃ黒騎士様!」
「あ、おい…………強いって言ってもな。(鑑定)」
レベル5!?本当に強かった。
「よく分からんけど仲間が1人できたな。てか連絡手段ないけど……まぁいいか。今日はこれ以上人に出会うと危ないし。帰ろっと」
結局何しに外に出たんだっけ?
ん〜……あ!魔法の検証だ。マナを探す目的だったけど忘れてたわ。次でいっか。今日は装備の確認って事で。
「道歩くの怠いな。屋根つたって行けばいっか」
―ターン!
「え?消えた!?」
何か声が聞こえた気がするけど。俺にじゃないからいいか。早く帰って寝よ。夜更かしは肌に悪いからな。
祝「この回……俺やばい人じゃね?」
恩「え?今更?」
祝「今更ってどういう事だし」
恩「兄貴は割と初めからやばい人だし」
祝「なんと……でも主人公だし。多少の特徴は必要じゃん」
恩「フルメイルの鎧着て、夜徘徊する主人公とかやだよね」
祝「今度はもっと普通に……目立ってやる」
恩「目立つなし」