第51話 お約束を恨む魔王
ドラマとかアニメや漫画に小説。世の中には面白いものが溢れています!時間が足りません!
そして真面目に愛とは何か。考えて行き詰まっております( ・∇・)
人それぞれ。それは分かります。なので自分の好きで突き進むことにしようかと。_φ( ̄ー ̄ )
読んでくれた皆様!
ブックマーク、評価、いいね。くれた方々も。
ありがとうございます(*'ω'*)
怪しげな手の動きをした変態を羽交締めにしてた。
「よいではないか」
「よくないわ」
「そんなこと言って〜私が揉んでたのをしばらく眺め……」
聞かれちゃまずいことがあるのか祝君はシャムさんの口を塞ぐ。何かあったのかな?
「ありがとう祝君」
「いや。問題ない。すべてはコイツが悪い」
「むぐ〜」
「話は変わるが。ここには何日居られるんだ?」
「っん?む〜むむ!」
「それ外してあげないと分からなくない?」
「3日だって」
「……よく分かるなレト」
「付き合い長いからな」
「むふー」
付き合いが長ければ色々と分かることがあるのかな?2人は私が知らない祝君を、どれくらい知っているのかな。
その後、4人で夕食を食べました。作ってくれたのは、祝君とレトさん。私も手伝おうとしたけど、まだ魔力が戻ってないからって休んでって言われた。この世界の食材もよく分からないから、変なの作ってお腹を壊されてもやだから言葉に甘えた。
こんなことなら、魔王城にいる時代に料理を習っておけば良かったなぁ。
後で聞いた話だけど。シャムさんも家事全般をできないみたい。聖女様と幼い頃から崇められてきたらしいシャムさん。家事と言うものをやったことがないって、なんだか私と似ている気がする。
最終的にはレトさんは、遠征などで野営する時などに自分で作るくらいご飯に思い入れがあるみたい。そして食事をして気づいたけど割と空腹だったんだよね。お腹鳴らなくてよかった。
「はふ。ご馳走様でした」
「口にあったようで何より」
「レトはご飯にうるさいからな〜まぁうるさいだけあって、どれも絶品だったわ」
「すまんレト。休暇に来ただろうに飯を作らせて」
「シュウが謝る……だと!?あの無鉄砲に突っ込んで、数々の迷惑を顧みなかったあの勇者が!」
祝君はきちんと謝れる人だよ?そんなに驚くことなのかな。祝君は別に迷惑をかけるようなことなんて…………ふと、さっき助けてもらった時のことを思い出した。お城の屋根を壊してたなぁ。
「これも女の力だろうな。凄いな魔王って言うのは」
「それは魔王だからじゃないと思うけどー」
「んー?」
なんか考えごとしてたら、私の話をしていたのかな?分からないからとりあえず首を傾げとく。祝君が私を見てるけど、何も言われないってことは違ったのかな?
「それじゃ今日は寝ましょう。真桜もまだ全快じゃないでしょうし」
「待て待て。何さらっと真桜を連れて行こうとする」
「え?どうして?寝るなら女子同士でしょう?男どもは違う部屋を適当に使ってくれていいから。ベッドメイクは前もって頼んであるから、どの部屋も使えるはずよ。それじゃおやすみな」
「急に口が回るのはやましいことがあるからか?そんなお前に真桜と2人きりにできるか」
「そんなこと言って、自分が真桜と寝たいだけでしょう。いやらしいわ〜」
「っぐ」
シャムさんがものすごい早口で話した後に、私の手を掴んでどこかに行こうとする。
「真桜も寝るなら女子同士がいいよね?」
「え?私?私は……」
「真桜もシュウと寝たいの?」
「あ、えっと!あぅ〜」
別に女の子同士が嫌って訳じゃない。でも祝君と2人でって言うのは……嫌じゃない。ってそう言うことじゃなくて!
「俺もシャムと真桜は離した方がいいと思う」
「レトもそう思うだろう?真桜みたいな可愛い女の子をシャムと2人きりとか、冬眠から起きたばかりの熊より危ない」
「なのよ。私は別に腹ペコ熊さんじゃないわよ。胃は満たされてるもの」
「そう言う意味じゃなくて」
「あらー?それじゃどう言う意味かしら?」
「コイツは知ってて言わせようと」
ニヤニヤ顔のシャムさん。祝君が言い負かされてるのは、なんだか新鮮だけど少しだけ寂しく感じる。でも可愛いって言ってくれたことは少し嬉しい。
でも女の子同士の何が危ないんだろう?
「もしかして、魔王城から刺客が来た時に危ないってこと?」
祝君はそんなことまで……
「いや。コイツは女の子を襲う可能性がある」
「女の子を襲う?そんな訳……」
「っさ」
視線を向けるとすぐに逸らされた。
「コイツの趣味みたいなものだ」
「人聞きの悪い言い方しないでよ。しょうがないじゃん。聖女だから純潔でなんて、古臭いしきたりがあるんだもん」
「え?それで女の子?」
「違うのよ真桜。私は皆を平等に愛しているだけ」
「シャムのどこが聖女なのか疑いたくなる発言ばかりだ」
「何をー!」
ふざけて私を揶揄っている訳じゃなさそう。ってことは本当のこと?私もしかして危なかったの?
そして話し合い?の末に、私と祝君。シャムさんとレトさんの部屋割りになった。個別の部屋で寝るって話もあったけど、シャムさんを見張らないといけないからってそれはなくなった。
「私と2人きりにして、真桜が危ないならシュウだって危ないじゃん!いやだよ。私の憩いの場所で逢瀬とか認めないんだから!」
「逢瀬って。別に俺はそんなこと……」
「は?そこはしろよ。ひよるな勇者だろう?」
「レトまでそんなことを……」
「ちなみにシャムは俺がいるから安心しろ」
「その笑顔なんだし!私を食う気か!?」
「魔物の肉も飽きてきたんだよなぁ……お前は胸の脂肪はないけど。それ以外の……げはぁ!?」
鋭いストレートがレトさんのお腹に炸裂する。今のはレトさんが悪い。でもなんだかそれだけじゃないような?なんだろう2人から感じるのは、ただの仲がいいってことだけじゃない気が。
「…………」
「どうした真桜?」
「へ?あーえっと……仲良いなって」
「付き合い長かったからな」
「そっか。それは少し嫉妬しちゃうな」
「え?」
「あ、えっと……嫉妬しちゃうな」
言い直そうとしたけど、やっぱり言いたくてもう一度言ってみた。顔を赤くする祝君を見て、私は少し悪い子になった気分。
「あーこれどうするべきかしら。空気を読んで少し離れた方がいいかしら〜?」
「そうだな。俺もその方がいい。俺はひよる勇者とは違って、やる時はやるやつだ」
「そんな発言する奴と一緒に寝れると思う?鎖で縛り上げるよ?」
「そんなの力でぶっちぎる」
「ねー2人とも。私を少し助けて欲しいのだけど」
声をかけられて2人を見ると、顔を真っ赤にしたシャムさんがレトさんを手で押さえつけている。側から見れば戯れようとしている犬を構ってあげるご主人様の絵だけど。
「祝君。あの2人はもしかして?」
「それはないはずだ。シャムは同性を好のむ自称聖女だし。レトは女より剣の稽古を愛する変態だぞ」
「自称じゃねーし」
「変態じゃ……いや、襲うから変態か?んーどっちでもいいや」
「シュウ〜真桜〜助けて!ヘルプ!分かる?」
「これは珍しい光景だな。そんな嫌って訳でもなさそうだ」
「やっぱりそう見えるよね?」
「2人にはそう見えるか?俺はシュウと冒険してる時から、ずっと変わらないんだけどな」
レトさんの距離感がおかしいと思ってたのは、もしかしてシャムさんだけに近づいているとバレないためのフェイク?それが癖がついちゃってこうなったのかな?それって結構純愛だよね。
「その妙な距離の詰め寄るのは、聖女に好悪があるとバレないようにだったのか」
祝君も同じことを思ったのか、レトさんに聞いていた。
「そんな考えはしたことない。おそらく剣を使うからか、間合いを詰めるからな。それが日常でも出ているだけだろう。って、親が言ってた」
「言われてみればそんな気がする。レトはゼロ距離で魔物切り裂くから、いつも返り血浴びてたもんな」
「あれは毎度のことながら気持ち悪かったな」
「それなら距離感を学べ!」
今もシャムさんを抱き寄せようと近づくレトさん。言葉では否定してるけど、その行動は嫌がっているようには見えない。これは、レトさんに任せても大丈夫かな。
「行こっか祝君。邪魔しちゃ悪いし」
「ちょっと真桜!?邪魔ってどう言う!?」
「そー言うことだ。邪魔者は退散するぞ〜」
「ちょっと!なんで抱きあげるのさ!歩けるよ!」
「聖女様だからな。この方が楽だろう?」
「いや、そうだけど。でも恥ずかしいじゃんか……」
「大丈夫だ。見てるのはシュウと真桜だけだ」
「見られるのが恥ずかしいって意味だけど?」
始めはバタバタ抵抗していたシャムさん。びくともしないレトさんに諦めたか、おとなしく抱えられていった。なんだかんだ言っても信頼しているんだろうなぁ。
隣を見るとその様子を見た祝君が微笑んでいる。こっちでは2人と仲良しだったのかな。仲間はいなかったとか言ってたいつか言ってたのに、本当のところはこんな顔が出来る仲間がいたんだね。
「ん?どうかしたか?」
「ふふ。なんでもなーい」
「あーそうか。真桜も抱っこして欲しいのか」
「ちが!?って、恥ずかしいよう」
「はは。誰も見てないって」
「お姫様抱っこが恥ずかしいって意味なんだけどー」
もう祝君は…………私重くないかな?
部屋に到着したらベッドに優しく下ろしてくれた。もしかしたら私は……
「俺はそっちのソファーで寝るから」
「え?一緒に寝ないの?」
「え……」
「あ。はふ」
つい口から出た言葉を手で覆い隠そうとしたけど。絶対聞こえちゃったよね?
「「…………」」
少し沈黙の後、近づいて来てベッドの端っこに座る。余裕そうな態度で座っているけど、耳が少し赤いのは知ってるよ。そこは言わないでおくけど、だって可愛いから……
沈黙の時間。でもこの時間が辛いことはない。何処かもどかしくくすぐったいくらい。でもいつまでもこのままって訳にはいかないから。
「「あの……」」
「あ、どうぞ」
いつもは私が後に言っているけど。今日は私が始めに話したい。
「今日はありがとう。助けてくれて」
「あーいや。当たり前のことだ」
「んーん。当たり前って言ってくれるけど、私はとっても嬉しかったの。あの時が終わりを感じて、その時ね……ずっと祝君のことばかり思い出したの」
「……」
「それでね。私はもっとあーすればよかった。こんなことすればって後悔したんだよね」
「ああ」
「今も私の話をちゃんと聞こうとしてくれる。それは……」
「「当たり前だろ」」
「でしょう?ふふ」
祝君が照れたように頬をかく。そんな仕草ひとつ愛おしいと感じてしまう。
「だから私は……祝君と、その……」
「……」
「ずっと一緒にいたいの。今日も明日もその次も……」
「俺も同じこと言いたかった。先に言わせてカッコ悪いな」
「「そんなことないよ」」
「だろ?真桜ならそう言ってくれると思って言ってみた」
「ふふ。なにそれ〜」
これ以上の言葉はいらない……よね?
ベッドから立ち上がって祝君の隣に座る。祝君にも伝わったのか、目と目が合い……
どちらから?そんな順番はどうでもいいの。
祝君の息が顔にかか……
―ドゴォォォォン!!!
「きゃ!?」
「真桜!」
何か大きなものが落ちて来たような地響き。何事かと窓から外を見る。
夜に浮かぶ真っ赤に光る赤い眼。月明かりに照らされたその形は、長い首に大きな翼。
「ドラゴン……」
私達の前に突然ドラゴンが現れました。
真桜「ドラゴン……(なんて空気が読めない)」
祝「ドラゴン……(おのれ……骨すら残らんと思え)」
ドラゴン「グルゥ……(あの屋敷からさっきが1、2……4。ここで合っているのか?)」
レト「ドラゴン……(許さん……)」
シャム「ドラゴン……(なんだか複雑な心情だなぁ)」