第45話 女の子の気持ちを教える魔王
鬼滅の刃がテレビでやってたから見てみたら、映像がやばい綺麗だったわ〜(・∀・)
そう言えば映画でやったんだっけか。これからの話で同じ画でやれるのか、頑張れ制作会社!
読んでくれた皆様!
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ありがとうございます(*'ω'*)
森にまた戻るって聞いた時はもしかしたらいるかも?心の中で少しは思ったよ?でも、本当に居るとは思わないよね。声に出して言ってないんだけどなぁ
「なんでここに居るんだ?」
「なんでとはご挨拶だな。てかお前は誰だ?」
あ、祝君が鎧を装備してない。今から鎧を装備したら勇者ってバレちゃう!
「この人は友達だよ!たまたまそこで会ったんだ」
「友達……」
「勇者だよファイブ。魔力の波長で分かるでしょう?」
「勇者?あの黒いやつの中身がこんなのなのか?」
「こんなのって……」
「気にするな勇者。それより隣にいる魔王だぞ?なんで勇者が行動を共にしている?」
「ん?それは俺が彼女を守ると決めたからな」
「魔王を守る勇者とか……」
あれ?なんか祝君が悲しそう?こんなのって言われたのが気になったのかな?大丈夫だよ!祝君はカッコいいから!
そんなことよりも魔族からしたら、勇者が魔王を守るっておかしな行動に見えるのは当たり前だよね。でもそれで言えば、魔王を殺しに来る魔族もどうかと思うけど。
「師匠。あっちの赤いのは僕が相手をしてもいい?さっきの戦いで中途半端だったから」
「お?やるかちっさいの。今度こそ灼熱の業火で焼き尽くしてやろう」
「そうはさせないよ。僕はこれから強くならなきゃいけないからね」
「いやいや。戦う流れになってるけど。いきなり戦闘とか危険すぎるから桐花」
「師匠!可愛い子には戦いをさせろって言います。今は見守って欲しいです」
旅だよ桐花ちゃん。そんなキラキラ顔しても……あ、魔法が欲しいのかな?
「また水でいいかな?」
「お姉さんは分かってる〜それでお願い!」
「真桜も何を付与している?戦うことを止めないと、また森が壊れるぞ」
「大丈夫じゃないかな。今回はあの魔法使わないし」
「どこに大丈夫な要素が?」
「だって祝君がいるもん。私が無茶をする必要はないかなって。違ったかな?」
「っぐ!そうだな。真桜は俺が守るからな」
「そこーいちゃつくなー」
べ、別にいちゃついてなんていない。私は当たり前のことを言っているだけ。
「さぁやろうか!灼熱の……」
「そんな溜めの長い魔法が僕に撃たせてもらえると思ってるの!」
「な!?距離を詰めてくる!」
「ファイブ!?」
私達のことはお構いなしに戦闘は始まっていた。
「くそ!速度上昇のエンチャントも出来るのか!」
何それ?私は手を覆う魔法しかしてないんだけど。
「桐花に何かけたんだ?」
「手を覆うだけだよ。あの速さは桐花ちゃん自身の力だよ」
「さすが勇者のパーティ。基礎ステータスが高いのか……」
「別にパーティではないけどな。そんなことより助けなくていいのか?」
「俺がファイブを?一対一に横槍入れたら嫌われるかもしれないだろう」
そんな理由だったんだ。私なら助けてもらうならありがたいと思うけど。確かにファイブって子は戦うことが好きそうだし、邪魔とかしたら怒りそう。
「仕方がない。それじゃお前の相手は俺がしてやろう」
「馬鹿を言え。勇者であるお前と魔王の二対一で勝てるわけがないだろう。それにいつでもファイブを助けられるよう、体は空けておきたい」
「……俺がそれを許すとでも?」
「え?人数的不利な相手に攻撃するのか?俺の知る勇者は、単身で不利な状況でしか戦わないはずだ」
「なんだよその変な縛りは」
「拠点を壊滅して時も、魔王城に来たあの時だって馬鹿みたいに単身で突撃してきたではないか」
「馬鹿は余計だ」
なんか2人とも案外仲良し?祝君も攻撃しようと思えば出来るはずなのに、剣だって出してないくらい無防備。
「せや!」
「甘い!魔法を使うからと言って、近接戦闘が出来ないヒヨッコとは違うのだ!」
「やるねファイブ!でも僕はまだ本気を出してないんだから」
「俺だって出してないさ!おっと!今の蹴りは中々だったぞ」
「今のを避けるなんて。口だけじゃないみたいだね」
あっちはあっちで仲良く戦ってる。なんか私だけ蚊帳の外って感じ?
「まぁいいけど。俺も何かあればフォロー出来るし。何かあるといけないから、真桜は俺の側を離れるなよ」
「うん!」
「だからいちゃつくな。羨ましいだろう」
「ウォーブさんはファイブさんとはどう言う関係なの?」
「聞いてくれるか?俺は何度もアプローチはしているんだが、向こうは、気の合う学友としか思っていないんだ」
「そうかな?ファイブさんはウォーブさんのこと頼りにしてそうだけど」
「そう見えるか!」
なんか凄く嬉しそう。そんなに不安なのかな?
「私には分かるよ。そうじゃなきゃ、知らない異世界に2人で来たりしないでしょう」
「放っておいたら1人で行きそうだったからな……半ば無理やり着いてきたんだ」
「あー……」
「だから、俺を頼りにしてるって見えてるなら嬉しいなって」
「なんで恋愛相談してんだよ」
「は!俺は倒すべき魔王に何を言っているんだ」
現実に戻しちゃダメだよ祝君。
「くそ……魔界じゃこんな話が出来ないからつい話してしまった」
「いいよ。2人は仲良く戦ってるし。こっちはこっちでお話ししてようよ」
「そうか?」
「お前……」
「祝君。しーだよ」
何か言いたそうな祝君の口にそっと指で触れる。
「あ、はい」
「くそー仲良しかよ!どうすればそうなれるんだ魔王!俺に教えてくれ!」
必死さが凄い……本当に私を殺しにきたのか忘れてしまいそうだよ。でもこのまま話せば、もしかしたら戦わなくても済むかも?
よし!ここはお姉さんが人肌脱ぎましょう!
「まずはですね……」
「待て!メモする。どうぞ」
「本気か……あっちはどうするんだよ」
「すまんが、2人が怪我をしないよう観ていてくれ勇者」
「よろしくね祝君」
「まぁそれでいいなら見てるけどさ……」
桐花ちゃん達は祝君に任せれば大丈夫。これで心置きなく話せる。
しばらく私が恋愛相談で話していると、辺りが静かになった。気になって桐花ちゃん達を見たら、2人とも地面にへたり込んでるところだった。
「もう気が済んだか?」
「このスキル……凄いや。相手の攻撃が手に取るように分かる」
「やるなちっさいの。俺様の攻撃をここまで回避したやつは初めてだ」
「ちっさいのじゃないよ。桐花だよファイブ」
「そうか。いい戦いだったぞ桐花」
なんか握手までしてる。もうすっかり仲良しさんだね。
「ファイブと握手だと……俺だって手すら握ったことないのに」
「あれは友情だよ。共に本気で戦って相手を称えた握手」
「俺も本気でファイブと戦えば……」
「ウォーブが目指すのは友情じゃないでしょう?」
「そうだったな真桜。では手を握るにはどうしたらいい?」
「そうだな〜まずは雰囲気作りからかな。一緒に公園を散歩して、転んだら危ないとか。誰かにぶつかりそうだからって、言って握るんだよ」
「なるほど……さり気なく、そして雰囲気作りだな……勉強になる」
全部祝君がやってくれたことだけどね!私は嬉しかったから、少しでも気がある女の子ならきっと大丈夫。話が聞こえたのか、祝君が少しだけ照れてる。可愛い。
「それじゃ、僕は帰るね。いい汗かいたし、お風呂入りたいから」
「自由だな。まぁ危険なやつはここにいる訳だし。それでも他の魔族が来ないとも限らないから気をつけるんだぞ?」
「はーい。ファイブまた戦おうね!」
「ふん!相手になってあげてもいいわ」
そして桐花が公園を後にする。俺達はどうするかな……
「帰るか」
「だね」
「ウォーブ。これからどうする?」
「ほら。頼られてるよ。とりあえずこの辺歩くかって、手を差し出すんだよ」
「お、おう」
「まだこの辺りを知らないからな。少し歩こう」
そう言って手を差し出すウォーブ。それを見つめるファイブ。
「手なんか出してどうした?」
「っぐ!」
「ほら、諦めないで!」
「は、逸れたら困るだろう?」
「子供扱いしてるのか?俺様が迷子になると思っているのか?」
「…………少し」
「はぁ!?少しじゃないわ!」
あれーなんで手を差し出すだけでこんな展開に?これは思った以上に強敵なのか。どうしよう、このままじゃ2人と仲良くなれない。
「仕方がない……ファイブ知ってるか?近しい者と手を繋ぐことで、魔力の回復が少し早くなるのを」
「そうなのか?」
「あぁ。桐花との戦闘でそれなりに魔力は使っただろう?」
「まぁそうだな」
「これからこの森を2人で探索するのに、座って休むのは非効率じゃないか?」
「そうだな」
「だからウォーブは手を出しているんだ。お前のためにな」
「そうだったのか。いつもしない行動をするから、なんだと思ったぞ。そう言う目的があるなら言えばいいのだ。ほら、行くぞウォーブ」
祝君に言われたことを信じたファイブは、ウォーブの手をとり公園の奥へと歩いて行った。曲がり角で見えなくなる前に、ウォーブが振り返ってお辞儀をしてきた。
「ちょろいな」
「何が?」
「さっきの手を繋ぐあれだが……」
祝君が会話の途中で話を止めた。
「真桜も魔法使ったよな」
「そうだね」
「その……回復が必要だろう?」
「あ。そうだね!」
差し出した祝君の手をとる。
でも私は知っているよ。手を繋いだからって、魔力が回復に影響はないって。
「久しぶりにあんな大きい魔法使ったから、これで回復が早くなるならありがたいよ」
「そ、そうだな」
でも言わないんだ。もしかしたら祝君は、私が気づいてることを気づいてるかも知れない。でもそんなのはどうでもよくて。
隣を歩く人の顔を覗き込む。少し顔が赤い気がしなくもない。これは夕日のせいかな?それとも私に照れてくれてるのかな?
「ふふ。なんか祝君の顔赤くない?」
「それは……」
「夕日のせいって言うつもりかな?」
「真桜が可愛くて、手を繋ぐのが少し照れくさいだけだ」
「あ、あぅ。へぇ!?」
「はは。俺をからかいたかったのか?だと思って考えてなさそうなこと言ってみた」
「も、もう。意地悪だよ……」
私の顔も赤いのは夕日のせいではない。
隣にいる人のせいだ。恥ずかしいけど、私は見事にやられてしまった。せめてもの反撃で、繋ぐ手を少しだけ強く握る。
ファイブ「ここは何も出てこないな」
ウォーブ「そうだな……」
ファイブ「この木のどれかが動き出したりするかも知れないから、一応気をつけるのだぞ」
ウォーブ「そうだな……」
ファイブ「ふぬ!」
ウォーブ「いた!?いきなり背中叩いたら痛いって」
ファイブ「魂が抜けてたからな。俺様が繋ぎ止めてやったんだ。ほら、早く探索して寝床を探すぞ」
ウォーブ「あ、そうだな」
ファイブ「ほら、また魂が抜けてもいけないし。手を出すのだ」
ウォーブ「……そうだな。俺を繋ぎ止めてくれ」
ファイブ「し、仕方がないやつだわ」