第41話 毒されていく魔王
眠い〜とにかく眠い。夜遅くまでゲームすると数日影響がある。睡眠時間4時間は確保してるんだけど(・〜・)
翌日以降は8時間確保!w
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ありがとうございます(*'ω'*)
今日はテスト当日。私はいつもより遅い朝ごはんを……
「んぐっ!?」
「はい。牛乳です」
「ごくごく……ぷはっ!危うく食パンに殺されるところだったわ」
「だからもう少し落ち着いて食べて下さいと言いましたのに」
「ん?」
急いで歯磨きして、着替えはすんでるから寝癖もない。今日もばっちり。
「ふぅ。あとは学校まで私の体力が残るかって問題ね。いってきます!」
「車に気をつけるんですよ」
爺やに見送られて家を後にする。
「今日も元気にいってらっしゃい」
「いってくるね!」
「車に気をつけるのよ」
「うん!」
車に気をつけるのよって、朝はお決まりの挨拶なのかな?あー今は学校に行かないと。車は……大丈夫。
走り始めて周りに人が少ないことに気がつく。時間が遅いから学校に向かう人も少ないのかな。車は……ないね。
「そこの人」
「はい?」
知らない男の人に声をかけられた。本当は話していたいけど信号待ちだから仕方がない。でもこの人は誰だろう?私に声をかけてくるって、道にでも迷ったかな?この辺りじゃ見ない顔……
「見つけた……貴様が魔王……」
「真桜!信号変わったぞ!走れ!」
「え?あ、本当だ。ごめんなさい。今日はテストで遅刻しそうなんで!」
「え?あ、ちょっと!待て魔王!」
なんか私のことを知っているみたい。私のことを真桜と呼んでくる男の人……ダメだ。テストと祝君で頭がいっぱいで思い出せない。ごめんなさい知らない人。
「俺を無視して背を向けたことを後悔させてやる」
「っち。このタイミングで襲うとか。おい!クソ野郎!」
「あ?なんだ貴様は?」
後ろで叫び声が聞こえたような?
「おはよう真桜」
なんて気にしてたら横に祝君が並んできた。気のせいだったかな……その手にある剣は気のせいかな?
「朝から災難だな。だけどこれで問題はない」
災難?なんのことだろう?あ、挨拶しないと。
「おはよ祝君。祝君も寝坊?」
「一夜漬けの代償だな。少しだけ寝るつもりだったんだが」
「私も。ちょっと眠れなくて勉強してたら朝だったよ」
本当は祝君に言ったことが頭の中でずっと繰り返されるから、頭の中を勉強に切り替えるのに時間がかかっただけなんだけど。
「あ、すまん。少し電話するな…………もしもしナギか?」
走りながら電話とか祝君は器用だなぁ。そもそも走りながら喋るのも……今はあまり辛くないな。私って体力ちゃんとついてきてるってことかな。
「そう。信号渡った先に1人ぶっ飛ばしておいたから。処理頼む」
え?さっきの人倒されたって?
「悪いって。でも時間がないから瞬殺コースで……え?地面に刺さってるから分かると思う」
地面に刺さるってどう言うこと?
「それじゃ頼んだ!」
「……ナギさん?」
「あーそうだ。多分あっちの世界のやつだろう。槍も持ってたし」
槍を持ってた?声をかけられたけどその時はただの男の人としか……
「おそらく。あのワイバーンにくっついて来たやつだろう。まぁ龍に乗らない騎士は機動力皆無だから。倒すのは簡単だったけどな」
多分それが出来るのは祝君だからだと思うけど。
「それでナギさんに?」
「あぁ。処理を任せた。朝から何してんだって怒られたけど。俺達のせいではないし。気にしないけどな」
「そっか。守ってくれてありがとう祝君」
「どういたしましてだ。それより門が閉め始めている。少し早く走るけど。抱えても良いか?」
「それはやめてって言ったでしょ。私も鍛えてるんだから大丈夫。着いていくよ!」
「おっしゃ。俺のすぐ後ろに。風の抵抗はなくなって走りやすくなるぞ」
言われるがままに祝君の後ろにつく。1人で走るより走りやすい。
「ん?あれ…………」
「おざます!それじゃ急いでるんで!」
「遅刻ギリギリだぞ神野!っと深淵!?」
「おざます!」
祝君と一緒に校門を抜ける。そして門を閉めようとしてた先生に挨拶。なんか急いで挨拶したら何言ってるか分からなくなった。祝君が言ってる言葉がおはようございますに聞こえたから、つい真似しちゃったけど。先生に対して失礼だったかな?
「よし真桜。こっちだ」
そんなことを考えながら祝君に着いていく。違うことを考えてたからかな。
―キーン、コーン……
予鈴が鳴っている。あと5分で試験がじ始まっちゃう!
「よし真桜!俺の手に足をかけろ」
「え?うん」
いつの間にか私の前からいなくなったと思ったら、こっちに振り返り手を前に組んでる。手に足をかけろってどう言うことだろう?
「ここに右足乗せて!」
「はい!」
「そして着地は頑張れ!」
「え?」
―ブワッ
祝君が見えていた景色が一気に変わり私は気がつけば空中にいた……
「着地?着地ぃぃ!?」
―スタッ!
無我夢中で迫る地面に綺麗に立つことが出来た。高すぎず低すぎず、絶妙な高さを跳んだなぁ。
「おはよう真桜ちゃん。そろそろやる頃だと思ったよ」
「諏訪さん?」
「あー、あといっくんが来るから中に入った方がいいわよ」
諏訪さんに手を引かれて私は教室の中に入る。
「どっせい!」
私がいた場所に祝君が降ってきた。どう言うこと?
「いっくん。真桜ちゃんを巻き込んでこんな危ないことしちゃダメだよ?」
「すまん!一夜漬けの代償だ」
「それで毎回済ませないでよ」
「しかし今回もちゃんと皆を離してくれたし。真桜も中に入れてくれたじゃないか」
「予測地点にいたら真桜ちゃんが危ないから」
「まぁいたら避けて着地するけどな」
「人として出来る限界超えてるのよそれは。そもそも2階の教室までジャンプする跳躍が人としておかしいけどね」
2階までジャンプ?諏訪さんに言われて振り返ると教室のベランダから見えるお空が見えて、もう一度振り返れば教室で皆が私を見ている。
「あー天使が毒されていく……」
「何言ってるんだ?空から降ってくる姿とか天使そのものだっただろう?」
「その鼻血は拭きなさい。神野が見たら殺しにくるわよ」
「おっと。これは失礼。俺達にはあの至高に脳が追いつけなかったみたいだ」
「……やっぱり神野に殺される?」
教室では男女で何か話している。朝から殺すとか物騒だなぁ。男子は何人か鼻血出てるし、テスト前に流血沙汰はいけないよ。
「真桜ちゃんもちゃんと体づくり頑張ってるのね」
「そうなの!ここまで走ってきたけど倒れなかったの!」
「そんな笑顔で言ってるけど。もうやっちゃダメだからね?」
「え?あ、はい」
ちょっと顔が怖かったのは言わないでおこう。確かに下から飛び越えるのは危ないよね。
「まぁお姫様抱っこで登校ももう見れなくなるのは残念だけど」
「もう!あれ、すっごく恥ずかしいんだから!」
体力作り真面目にやってよかった。もしまた途中でへばってたらと思うと……ちょっと残念だと頭の端っこで思うけど。ちょっとだけだからね?
―ガラガラ
「はい。皆さん予鈴は鳴ってますよ。座ってテストの…………神野君?もしかして窓から?」
「何を言っているんですか姫ちゃん。少し換気をしてるだけですよ」
「……あとで職員室帰れば分かるんだよ?」
「申し訳ありませんでした!テストを受けたくて頑張りました」
「もう。そう言う頑張りはテストだけにして欲しいです」
朝から少し走ってきたから、脳みそが冴えている気がする。これならテストもバッチリだと思う。
そしてテストが配られる。テストが始まって内容を見ると、祝君と一緒に勉強……
「うぅ……」
「っく……」
いけない。テストなんだよ!今は一文でも多く問題を解かないと!
だけど考えれば考える程、頭の中に繰り返されるあの夕方の教室でのこと。
「うぅ……」
「っく……」
私が頭を抱えると隣の祝君も何か悶える声がする。私だけじゃなくて祝君も一緒なんだろうか?そうだと嬉しいな……
「ああああ!」
「うるさいぞ〜神野君」
「すいません!気合いを入れたくて」
「そんなの試験前にお願いします」
ふふ。気合いを入れないといけないのは私もだね。よし!頑張ろう!
あそこから私の集中力も元に戻った。気がつけばテスト1日目は無事に終わった。
「終わった……」
「終わった〜!」
「真桜ちゃんとえらい違いだね。いっくんはヤマが外れてたの?」
「もう何を書いていたか分からない。頭の中に……」
「ふむふむ」
諏訪さんが私と祝君を交互に見る。そして私の目をじっと見つめる。
「どうかした?」
「真桜ちゃん。昨日はちゃんと勉強できた?」
「勉強出来たよ。覚えたところもバッチリだし」
「ふむ。それならいっくんのそれは……真桜ちゃんと何かあったな」
「ぐっ!?」
「いっくんは分かりやすいね〜真桜ちゃんはしっかり切替できてるのに」
「うるさい……」
諏訪さんは何かに気がついた感じだけど。昨日は何もなかった。そう、何もなかったんだ。
「まぁいいや。これは2人の問題だし。明日もテストあるからね」
「明日もテスト……」
「祝君。勉強しよう!」
「いっくん頑張れ〜私は今日も家で勉強するから」
「ちょっと俺を置いて行くのか!?」
「……こそ」
カバンを持って帰る諏訪さん。帰り際に祝君に何かを言っていなくなった。
「何を言われたの?」
「い、いや。なんでもないよ。少しだけヤマを伝えられただけだよ。さぁ勉強をしようか!」
「ん?そうだね。勉強しよう」
今日も一緒に勉強出来て嬉しいな。昨日はダメだったけど。もしかしたら……チャンスがあったりなんてして?
いけないいけない。今は勉強しないと、テストをちゃんとしないとこっちの世界で暮らしていけなくなっちゃう。将来はきっとこっちで生きて行くなんてことも。
「おーい。真桜?」
「あれ?ここは?」
「ここは教室だ」
「あれ?皆は?」
「クラスのやつらは帰ったぞ。何度か呼びかけたが、反応なかったぞ。何か難しいこと考えてたのか?明日は数学もあるから覚えるの少ないから。そこまで気負わなくても大丈夫だよ」
「あ、そうだね。うん。勉強しよう」
勉強。勉強。勉き……あー祝君かっこいいな。教科書をめくって、真剣に向き合ってる姿が。マーカー引く姿も様になってる。
「おーい。真桜」
「ん?」
「そんな見られても困るんだが」
「あ、ごめんなさい」
せっかくの2人きりだからって、私は一体何をしているんだ。まずは教科書を開いて、重要そうなところをマーカー引いて…………なんか、見られてる?
「あのーそんな見られてると」
「な?気になるだろう?」
その笑顔は反則です!これは勉強どころじゃない。
「もう祝君!」
「あはは。さー勉強しようか」
「分かってるよー明日の勉強をバリバリやって、目指せ100点満点!」
「目標高いな〜俺も負けてられないな」
―ガラガラ
「また2人で遊んでるの?」
「姫ちゃん。俺は勉強してるんだぞ」
「ふーん。まぁこれも青春?でも2人でこんな夕日の教室にいたら……私だって相手いないのに!」
「姫ちゃんどうした?」
「あ、いけないいけない。生徒を僻んではいけないわよね。私は大人だから。ここは寛大にならないとね!16時までのは学校出てね。それじゃ!」
姫ちゃん先生が教室を出て行った。一体何をしに来たんだろう?
そんなこんなで、時間まで一緒に勉強しました。
何事もなく終わったのは少し……少しだけ。残念だな。
真桜「祝君。ここなんだけど」
祝「あーここはこの公式を使って……」
神無月「放課後の教室で2人きりだと言うのに、勉強しかしてないじゃないか」
櫛田「学生ですよ?それに明日もテストがあるんですし」
神無月「せっかく私が許可を出したのに……」
櫛田「理事長は一体何があるとお考えで?」
神無月「またまた〜分かってるくせに」
櫛田「私が学生時代に男性と何かあるとお思いで?」
神無月「……すまない」
櫛田「謝らないで下さい。泣きそうです」
真桜「先生も大変なんだね」
祝「姫ちゃんの見た目だと、何かしようにも罪悪感がついてきそうだからな。中身はあんなに腹ぐ……良い人なのに」