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生きたい魔王と逝きたい勇者  作者: みけな
第1章 出会う2人の道
32/52

第32話 知りたくないことを知った勇者

前期のアニメでガンダムが凄かった。ガンダムらしい描写かと思えば、12話最後にあれをもってくるシナリオ。

1話とお菓子で使ったトマ……(°艸°)伏線回収ってね?


読んでくれた皆様!

ブックマーク、評価、いいね。くれた方々も。

ありがとうございます(*'ω'*)

 真桜達がすんなり帰ったあとの大神家。俺はまだここに呼ばれた理由が分からず。面倒だし早く聞いて帰りたい。


「それでナギ。俺はなんで呼ばれたんだ?」

「貴様。神である私を呼び捨てか?」

「何か問題が?この世界じゃナギで通した方がいいんだろ?」

「それはそうだが。貴様に呼び捨てされるとか癪に触る」

「ナギ。いいから早く要件を言ってくれる?私との時間が減るわ」

「……いいかよく聞けシュウ」

「俺はこの世界じゃ祝なんだが」

「では祝。魔王は見つかったか?」

「見つかってない。てか、この国にいるって情報で見つけるのが無理ないか?」


 伊邪那が一言で本題に入ってくれたのはいいが。魔王捜索の話だったら、急いで呼ぶ必要はないんじゃないか?別に期日を決められた訳でもないし。


「そんな難しい事でもないだろう。鑑定スキルはなんのためにある?それに範囲はこの周辺だぞ」

「この周辺?」

「ん?伊邪那から聞いているはずだ。転移の条件は魔王の魔力の残滓を追った上で行ったと」

「……あれ?言ってなかったかしら?」

「残滓がどうのとか東京にいるって聞いた気がするが。それでも広くね?」

「トウキョウとは、この辺りのことじゃないの?」

「東京も広いぞ。歩いて探せる距離じゃない」

「……伊邪那はここに来て間もない。分からなくても仕方がない。では改めて言おう。魔王はこの辺りにいる!」

「この辺りとは?どの辺だ?」

「この辺りはこの辺りだ」


 結局範囲は狭まったが、この辺りとしか言わないナギ。この2人は、地理がよく分かっていない。


「窓から外を見れば見つか……あの娘は違うのか?」

「娘?真桜と陽のことか?」

「違う。煎餅の味が分かる娘が魔王であるはずがない。隣にいる娘もレベル1であるし、何より巫女であろう?その横にいる娘だ」


 煎餅基準で魔王じゃないとか、この神は一体何を言っているのか。まぁ真桜は魔王ではないがな。陽も昔から知っている仲だし違う。


「娘ってどこだよ。真桜達の近くにいるのは母さんしかいないぞ」

「あの娘は貴様の母か。溢れる強者のオーラに、隙のない身のこなし。レベルも高く只者ではないと思ったんだが」


 強者のオーラが何か知らん。それに隙のない身のこなしって、ただ自転車に乗ってるだけに見えるんだが。


「てか。ナギも鑑定ができるのか?」

「神であるぞ?貴様に出来て私に出来ないはずがない」

「伊邪那は出来ないんだよな?」

「私は必要ないから取ってない。相手の強さなんて戦えば分かるし」


 戦えば分かるしって。そもそも戦う必要があるのかいまいち分からん。


「伊邪那は戦闘特化した依代だからな。仕方がない」

「ナギは伊邪那に甘いよな。神様ならある程度のスキルが使えて当然だと思ったが」

「そうでもないわ。この魂を定着させる依代だって育成が必要なのよ。育成する時間が面倒じゃない。だから最低限楽しめるように戦闘特化させるでしょう?」

「そう言うわけだ。貴様みたいに魔物を四六時中倒すほど暇ではない」


 おーおー言ってくれるな神様。誰の命令で俺が強くなるために努力してると思っているんだ?


「む。あの娘は魔王か?」

「今度は誰だ?」


 窓の外を見ると、今度は妹の恩と桐花がいた。


「あいつは桐花。格闘技をやっているから、人より強いが魔王ではない」

「なぜそう言えるのだ?」

「鑑定で種族は人族だし」

「もしかしたら種族を偽っている可能性だってあるぞ」

「そんなこと言われたら鑑定じゃ見分けられないだろう。それに桐花は勇者である俺と何度か会っている」

「そうか。ならば違うのか」


 適当に言えばいいってもんじゃない。俺だって遊んでたわけ……もあるが、探す努力だってしているんだ。


「なあナギよ」

「なんだ伊邪那?」

「種族を見れば分かると言っていなかったか?」

「そうだな。鑑定で魔族と出れば1発であろう?」

「でもさっき種族を偽るって言ってたよ?」

「魔族には隠蔽スキル持ちがいるかもしれないからな。その可能性を言ったまでだよ」

「ちょっと待てナギ。なんだ隠蔽って?」

「知らんのか?隠蔽とは鑑定を阻害したり、見える情報を操作できるスキルである。高位の魔族であれば、あおのスキルを持っていてもおかしくないだろう」

「あーそう言うこと」


 おいおい。そんなのもっと早く言えし!それじゃ鑑定して探す意味がないじゃないか。


「今までのことが意味がなかったのでは?って顔だな」

「まさにその通りですよ」


 分かりやすく顔に出したが、ナギは当たり前のように読みとってくる。


「祝の鑑定なら隠蔽も見破れると思っていたのだ。まぁ予想でしかないがね」

「それで言うならナギの方が出来るんじゃないか?」

「残念ながら私には出来ないのだ。必要になるだろうで鑑定をとったが、相手のレベルくらいしか分からないからな。きっと適正ではないのだろう」

「スキルに適正とかあるのか?」

「それはそうだろう。スキルは誰でもとれるが、全てを極めてしまったらそれは人ではなくなる」


 確かにそうだな。小説やアニメにあるようなチートや無双も、人ではない者として見られる描写が多かった。


「人は不完全だから面白いのだ」

「それならナギや伊邪那の依代くらい最強にしてもいいんじゃないか?」

「神とて一緒だ。完璧な者なんてつまらないではないか。足りないから足掻き努力するのだ。そしてお互いを支え合う……私達のようにな」

「ちょっとナギ……祝が見てるわ」

「俺は気にしない」


 俺は気にする。ベタベタするなら俺を解放してからにしろ。あ、そうか。もう話は終わりっぽいし、これを理由に帰ろう。


「これ以上2人の時間を割くのは申し訳ないな。俺はこれで失礼する」

「祝!?」


 自分で2人の時間がなくなると言ったんだぞ?なんで言い出した伊邪那本人がそんな顔を赤くするんだよ。


「空気が読めるようで何よりだ。最後に一つだけ言っておく」

「はい。なんでしょう?」

「1人で探すのが難しければ、増援を呼ぶことも可能だ。魔導士や騎士団くらいなら1部隊くらい呼べるからな」

「今は大丈夫だ。絶対に呼んだりしないでくれ」


 1部隊がこの世界に来たら混乱するだろうな。この世界では戦争している訳でもないのに、魔導士や騎士団の連中がうろつけば目立つ。ローブを着て杖を持つ集団に、剣と鎧を着た集団とか……ここは秋葉じゃないし、ゲームショウの会場ではないのだ。


 そして2人から解放された俺は、家の前で立ち止まる。


「家には恩と桐花が居るんだよな。少しそこら辺を散歩でもするか」


 桐花に会えば何故か疲れそうな気がした。そうでなくても今日は色々とあって頭が痛いのに。


「隠蔽のスキルか……」


 俺の鑑定スキルで分かるのは、相手のレベルと種族にスキル。戦う上ではこれだけあれば十分だし、これ以上知りたい情報なんてない。てか、これ以上って何が知れるんだろうか。


「…………この辺にいるって言ってが。殆どがレベル1なんだよな」

「おや?彼氏君じゃないか」

「どうしておばちゃんが?」

「どうしてって、ここは私の家だからね」


 気がつけば真桜の家まで歩いていた。無意識でここまで歩くって俺は……


「今上には真桜ちゃんとお友達がいるわよ。寄っていくかい?」

「あー今は大丈夫です」


 女同士で部屋にいるのに俺がそこに入るのはどうかと思う。それに伊邪那の家で別れたのにここで会ったら、俺がわざわざここに足を運んだと思われる。なんて言い訳をするか全然思いつかない。


「む?神野君じゃないか。こんなところで何をしているのかね?」

「あー学校に忘れ物を」

「そうか」

「じゃ、俺は急ぎますので!これで失礼致します」


 会話が途切れた今がチャンスだと思い、俺は急いで学校の方へと歩く。


 その時俺はなんとなく鑑定をした。伊邪那達と魔王の話をしたから?ここに来るまでの道中で鑑定スキルを使ってたから?


「(鑑定)…………は?」


 思わずでた声に慌てて口を塞ぐ。おばちゃんがレベル7だと!?母さんと同じレベルなのか。それに【騎乗】のスキルがSランクとか何をすればそこまでいくんだ?俺は何故か動物に怖がれるから馬には乗れない。せいぜい乗れて自転車くらいだ。


「この世界の主婦ってもしかしたらレベルが高いのか?」


 それにしても謎が多い。でも母さん同様に聞いてはいけない気がする。まぁ年齢的に魔王ではないから、気にしないでおこう。


「どうしたのかね?」

「へ?おわ!?爺やさん!どうしてここに?」

「何をそんな驚いている。学校へ行くのだろう?私は買い忘れたものがあって、買い物へ行く途中なのです。それに突然立ち止まったのは神野君ですよ」

「あーすいません」


 流れで爺やさんと途中まで一緒に歩く。なんか空気が少し重い?


「神野君。真桜は学校では楽しそうにしているかね?」

「え?あ、はい。いつも元気で楽しそうです」

「そうか。今、部屋に友達が来ているのですが」


 そう言えばおばちゃんが言ってたな。多分一緒にいるのは陽だろう。


「陽は面倒みも良くて、真桜とよく笑っているのを見ますよ」

「そうですか。それは良かった。では私はこれで」

「はい。お気をつけて」


 横断歩道を渡る爺やさん。そう言えばおばちゃんはレベル7で真桜が5だけど、爺やさんは一体どんなレベルなのか。


 始めはただの好奇心だった。


 俺は知りたくなかった……


「レベル9の…………隠蔽スキル持ち」


 そしてそこから考えられる可能性を。


「まさか……真桜が魔王?」


 これは一体どう言うことなんだ?あまりにも突然のことで俺の頭は完全に思考停止していた。

ナギ「どう思う伊邪那」

伊邪那「どうって?」

ナギ「シュウだ。アイツもしかして魔王を見つけていて、それを知らないフリをしていないか?」

伊邪那「それはないと思うわ。文句は多いけど魔法の練習や鑑定で探してはいたから」

ナギ「伊邪那が言うのならそうなのか」

伊邪那「何か引っ掛かるの?」

ナギ「今の生活に満足して見えるからな。もしや探すことをやめたのかと思っててな」

伊邪那「真桜と言う子のせいかもね。女の影響って言うのは大きのよ?」

ナギ「それには私も同意だ。私は伊邪那なしでは生きていけんからな」

伊邪那「……あなたはそう言うところがありますよね」

ナギ「ん?なにがだ?」

伊邪那「なんでもないわ〜」

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