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生きたい魔王と逝きたい勇者  作者: みけな
第1章 出会う2人の道
30/52

第30話 揺れ動かされる勇者

スラムダンクの映画を観ました。

ありこれ色んなシーンで感動の嵐!とにかく観た方がいい映画です!漫画を知らない人でも楽しめるはず。


読んでくれた皆様!

ブックマーク、評価、いいね。くれた方々も。

ありがとうございます(*'ω'*)


 イザナミが転入してきて数日。学生は出来ないだろうと思っていたが、案外クラスに馴染んでいる。


「伊邪那ちゃん!今日の課題やった?」

「勿論よ。勉強をこんなにやったのなんて久しぶりだったけど。案外私も出来た事が分かったわ」

「さすがだね〜」


 勉強を久しぶりにとかおかしな発言も、クラスの皆が笑って流してくれる。始めのうちはぼろが出たら、その度にフォローを入れていたがそれも今はない。ありがたい事である。


「すっかり伊邪那ちゃんも慣れましたね」

「真桜が色々と面倒を見てくれたからさ」

「本当ですか?祝君みたいに出来てたら嬉しいです!」

「俺は別に特別な事はしてないぞ。真桜の場合は素直だったから、大変な事なんて一つもなかったしな」

「そ、そうですか?」


 何故か照れる真桜。可愛いいんですけど。


「おい。祝に真桜」

「なんだ?皆と話してたんじゃないのか?」

「どうかしましたか?」

「話してたけど。分からない事があったの」


 クラスに馴染みそれなりに仲良くなったイザナミ。だけどたまに話の内容で分からない事があれば、俺か真桜に確認してくる。


「期末試験とはなんだ?」

「あーもう2週間前か」

「期末テストって言うのはですね。今まで勉強してきた内容の確認テストです」

「習ってきた事を確認か。私は少ししかやってないから余裕だな」

「言っておくが、4月からやってきた内容な」

「私は4月いなかったが?」

「いなくても、周りと合わせるのが普通だ」

「それで言うと……5教科の始めの方も学ばねばならんな」

「期末だから美術とか保健体育なんか出るからな」

「「え!?」」


 何故そこで真桜も驚く?あ。真桜も転校生だった。


「そんな事より祝」

「そんな事!?」

「真桜は勉強頑張ろうな。で、何かあるのか?」

「え、えぇ。こっちに来てから挨拶がないって。だから今日会うわよ。学校が終わったら付き合ってもらうわ」

「つつつ付き合う!?」

「はい真桜ちゃん。違うから落ち着こうか。はい、深呼吸〜」

「す、はぁ〜……ごほっ」

「息吸うのを忘れないで」


 深呼吸で何故か涙目な真桜。それを頭を撫でて落ち着かせる陽。イザナミが何か変な事言ったか?特に何もないよな?そうなるとテストの教科が多い事で慌てたとか?


「いいな。祝を連れていかないと煩いし、面倒なんだよね」

「誰に会うのか分からないけど。面倒である事は分かった」


 俺が会わないと煩くて面倒って事は、例の魔導士か騎士団の関係か?

 あーなんだか帰りたくなくなってきた。絶対面倒に巻き込まれるやつじゃん……




 そう言っても時間が過ぎれば、必ず放課後は来る訳で学校も終わる。


「今日は帰るな」

「2人には悪いけど。少しシュ……祝を借りるわ」

「別に悪いとかないんだけど」

「そそそそうです」

「はい、深呼吸〜」

「すぅぅぅぅ、はぁ!」

「気合いが入りそうな深呼吸ね」


 今のを深呼吸と呼んでいいんだろうか?格闘家の気合いを入れるやつに似てなくもない。


「ほら。さっさと行きましょう」

「ちょい!引っ張るなって。ちゃんと逃げないから」

「ちゃんと逃げない保証がないから連れて行くの」

「また明日!」

「またね祝く……」


 真桜の最後まで言葉を聞けず、俺はイザナミに引っ張られるがまま学校を後にする。


「そう言えばイザナミはどこ住んでるんだ?」

「え?知らないの?」

「あぁ。聞いてないからな」

「シュウの家の近くよ。いつも通学路で会うから、言わなくても分かってるかと思った」

「イザナミがどこに住んでるかなんて、知っても仕方がないだろう?わざわざ家を暴いたところで学校で会えるし。それに用があれば来るだろう」

「シュウは個人にあまり興味なかったか。まぁその方があの人も怒らないかな〜」


 あの人。きっとこれから会う人だろうけど、俺はもしかして怒られるのか?


「でもきシュウが興味なくても、周りは放っておかないんだよ」


 そう言ってイザナミは後ろに視線を送る。


「分かってるさ。会話は聞こえていないだろうけど。変に撒こうとするなよ」

「あ。やっぱり気づいてた?あの2人はシュウに興味があるのね」

「それはどうだろうな」


 学校を出てから、俺らの後ろを尾行する2人がいる。常に周囲を警戒するイザナミ程ではないが、あんなあからさまに尾行していれば誰にでも分かると思う。


「あの真桜って子が魔王かなって少し考えたんだけど」

「突然どうした?」

「だってあの子も転校生でしょ?それにレベルも他の人に比べて高いし」

「真桜が魔王?それはないだろう。レベルは一般の人より高いが、それで言えばもっと高い人を俺はしている」

「なんだちゃんと魔王探してたんだ。ちなみにそれは誰かしら?」

「真桜の家にいる大家さんがレベル7だ」

「わぁ高いね。その人が魔王?」

「いや、歳が……」


 魔王って娘だったと聞いているから、おばちゃんが魔王である可能性はないと考えていい。


「それと俺の母さんも7だ」

「え?シュウって魔王の子供?」

「そんな時系列が崩れる事があるのか?」

「ないわ。なら違うのね」


 俺が17歳で勇者として転移している訳で。その時点で魔王が母さんであるはずがない。可能性は考えたが、そうなると時系列がおかしくなる。まぁ異世界が存在している訳だから、完全に否定は出来ないと思っていたけど。イザナミがないと言うのだから、この2人が魔王である可能性はない。


「それにしてもこの世界の人達は、こんなレベルでよく生きておけるわね」

「経験値を稼ぐ手段が限られてるからな。魔物は出てこないし、誰かを倒せば多少は入るが殺す訳じゃないからな」

「ふーん。そうなると真桜ちゃんの5って凄いわよね?諏訪さんは1な訳だし」

「まぁそうだな。外国から来たって言ってたから、もしかしたら紛争地帯だったのかもな」

「聞いたの?」

「あまりそう言う事は触れない方がいいと思って、詳しく聞いたりはしていない。仮に魔王だとしたら、少し弱すぎると思う。体力はないし、運動神経もいいって訳じゃないし」

「くしゅん!」

「ちょっと真桜ちゃん!?静かに」


 何を喋っているか近づいて来てたか。このタイミングでくしゃみとか、真桜はやっぱり魔王が似合わない。


「そうね。あんな抜けた魔王なら簡単に倒せちゃうもんね。数日警戒して見てたけど、見れば見る程にただただ可愛い女の子ね」

「それは同意だ」

「へ〜女の子に興味はないかと思ってたけど」

「俺はノーマルだ。変な想像するなよ」

「そう言えば騎士団の副団長がシュウの事を……」

「……やめてくれ。あんな髭面で筋肉にどうにかされるとか恐怖でしかない」

「あらそう?向こうの世界では同性愛には寛大よ?」

「俺はお断りだ」


 異世界はなんと恐ろしい世界なのか。そう言えばスキンシップが多いなとは思っていたが、もしかしてアイツらも?


「着いたわ」

「ここって……俺の家じゃん」

「そっちじゃないわよ」


 イザナミに言われて振り返る。お向かいさんの家を指す。


「ここって老夫婦が住んでる家だったはずだけど?」

「その人に借りたの。そして話をした次の日にはどっかに行ってしまったわ」

「どこに?」

「さぁ?紙切れを何個か束で積んだ時に、世界を見て回れるぞって言う事は言ってたけど」

「あー前々から旅行好きだったのは知ってたが。外国に旅立ったのか」


 紙切れを積んだってところは聞かないでおこう。知らなくていい事は世の中にたくさんある訳だし。


「それで俺に会わせたい人って言うのは誰だ?騎士団の連中か?真桜達が近くにいるから、あまり目立った行動は避けたいのだけが」

「1人よ。今呼んでくるから待ってなさい」


 そう言うとイザナミは家に入っていく。


「そこにいるのは分かってるぞ」

「ひゃ!?」

「完璧な尾行だったのに……真桜ちゃんがくしゃみをするから」

「それ以前の話だけどな。そんな事より2人は何してんだ?」

「それは〜その〜……」

「真桜ちゃんが2人で何するのか気になるって言うから」

「諏訪さん!?それは言わないでって」


 顔を真っ赤にして、陽の口を塞ぎにいく真桜。うん、可愛い。


 ―ガチャ!ダダダ……


 玄関が開く音がして、扉の方を見ると1人の男が俺に向かって走ってくる。


「貴様が!」

「うお!?なんだよ!危ないな!」

「避けるな!」

「無理言うなよ。てか初対面の人に殴られる覚えはないんですけど!」

「煩い!分からせるにはこれが1番手取り早い!」


 ―ブン!ブン!


 突然現れたと思ったら、殴りかかられた。格闘技はやっていないんだろう。型はめちゃくちゃだけど、いかんせん速いから避けるのも大変だ。


「祝君!?」

「!?出てくるな真桜!」


 ―パシ!


 突然俺の前に出てこようとした真桜を止めて、拳が当たる前に受け止める。受けて分かったけど、速いだけじゃなく力強さもある。


「俺の拳を止めたか。さすがは勇……」

「おーっと!何を言っているのかな!」


 コイツ俺の事を勇者と言おうとした。慌てて掴んだ拳を振り解き話を遮る。


「娘。俺はコイツに1発殴ってやらねば気が済まない。危ないから退いているのだ」

「殴ると言われて見ているだけなんてしません!」

「ぐぬぅ……ならば仕方がない。娘諸共……」

「やめい!」


 ―スパーン!


 後ろから出て来たイザナミが男の頭を引っ叩く。


「イザナミ!痛いではないか」

「伊邪那よ。あなた」

「む。そうだったな。痛いではないか伊邪那!」

「あなたが突っ走るからです。それに会話が出来ない馬鹿な人は嫌いですよ?」

「まずは話そうじゃないか勇……シュウ」


 コイツは一体誰なんだ?俺の事を勇者と知っていて、名前も知っている人物。


「伊邪那ちゃん。この人は?」

「この人は……」

「俺は伊邪那岐……ではなかった。ナギだ」


 コイツ今、イザナギって言ったよな。そうすると、イザナミの旦那?


「シュウは私の妻を誘惑した罪で殴らねばならんのだ。分かってくれ娘!」

「私は真桜です。深淵 真桜」

「そうか真桜。では退いてくれるか?」

「だから退きませんて」

「ナギ?」

「はい!対話だな!分かっている」


 こうして、突然紹介されたイザナミの旦那であるイザナギ。神様がこんなところに2人も居ていいものなのか?


 これからどうなるのか。不安でしかないのだが!

真桜「行っちゃった……」

陽子「心配なら後をつけてみようか?」

真桜「で、でも誰かと会うって言ってましたし!」

陽子「バレなきゃ良いのよ」

真桜「でもでも……祝君には内緒ですよ?」

陽子「勿論よ。さぁそうと決まれば行くわよ!」

真桜「なんか諏訪さん楽しそう」

陽子「そ、そんな事ないわよ。探偵の漫画とか見てないし!」

真桜「?それならいいんですけど」

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