第29話 幼馴染に憧れる魔王
メールでdアニメが高くなるって来た。440円はさすがに安すぎるとは思うんで、少しくらい上がっても使い続ける!( ^ω^ )物価も上がってるけど、サブスク系も上がって行くのでしょうか?
読んでくれた皆様!
ブックマーク、評価、いいね。くれた方々も。
ありがとうございます(*'ω'*)
朝から祝君と一緒に学校に来れて今日はツイてる。なんて思ってたけど、それはすぐに終わってしまう。
「今日からまた1人転入生が来るから」
「え?本当ですか姫ちゃん!」
「こら。先生でしょう」
「今回はちゃんと姫ちゃんに連絡来たんですね」
「あーそこは私も驚きました」
転入生が来るのですね。私も4月からこのクラスに来て、少し心細い事もありましたが。同じ転入生として私が仲良くしないと。
―ガラガラ
「やぁ諸君。今日は快晴。素晴らしい転入生日和だな」
「理事長。せめてノックくらいして欲しいです。びっくりします」
「なんだ?今回は前もって言ったではないか。それであればこのタイミングしかないだろう」
「外で聞き耳してました?」
「こほん。それでは入りたまえ転入生」
「失礼致しますわ」
理事長先生が言葉をかけて入って来たのは……
「ちっちゃい。姫ちゃんと同じくらいか?」
「可愛い〜お人形さんみたい」
お人形さんって言う言葉がとても似合う感じのとても可愛らしい女の子です。
「大神 伊邪那です。皆様、よろしくお願いします」
「は!イザナミ!?」
名前を紹介されると、真っ先に反応したのは祝君だった。
「なんだ神野?知り合いか?」
「あーえーまぁ知り合いと言えば知り合いですけど」
「酷いな〜シュウとは長い付き合いじゃない」
「何だと!神野!あんな可愛い子とどこで知り合った!?」
「何処でって……」
それは私も気になります。イザナって呼んでるって事は、名前を呼び合う仲……あれ?でもイザナさんはシュウって?
「シュウとは幼少期に出会ったの。それから私が海外に行ってしまったの。まぁ幼馴染的な感じだと思ってくれていいわ」
「だそうだ」
「そう言う事なら神野に任せた。私は仕事があるからこれで失礼する。さらばだ!」
「あ。ちょっとまたこの流れかよ!?」
「神野君なら安全だし」
「だから俺はガードマンでもないと……」
「神野なら暇だし。いいと思うよー」
「お前ら前回から俺を何だと……」
この流れは私の時と全く一緒です。なんだかんだで面倒を見ちゃう姿が目に……なんかモヤモヤする。あ。いい事考えた。
「先生!私が案内とかします!」
「深淵さん?私は構いませんけど。忙しくない?」
「なんか先生の反応が俺と違う」
「はい。祝君にして貰ったように、私も誰かの助けになりたいです」
「大神さんはそれでもいいかな?」
「はい。あんな綺麗なお姉さんに案内なんて、少し緊張しちゃいますね」
「綺麗だなんて……」
「それじゃ席は深淵さんの横に座ってもらおうかな。では早速だけど1時間目の準備をしましょう」
姫ちゃん先生に言われてイザナさんが歩いてくる。近くで見るとさらに可愛い。黒髪が長いからかお団子にしている。よく見ればまつ毛も長くて……
「私の顔に何かついているかしら?」
「あ、ごめんなさい。可愛くてつい見てしまいました」
「ありがと。でも貴女も可愛いわよ」
笑った顔も凄く可愛らしいです。
「深淵さんって言ってたわよね?」
「はい。深淵 真桜って言います」
「マオね。私の事はイザナでもナミでも呼びやすい方でいいわ」
「では伊邪那ちゃんと呼びます」
「ちゃんか……なんかくすぐったいわね」
見た目は可愛いお人形さんだけど、話してみると凄く落ち着いた大人の女性って感じがします。
「おい。イザナミ。なんでこんなところに……」
「私は伊邪那よ?シュウ」
「……俺は祝だって」
「そう。ならイワイと呼べばいいわよね。それで何か問題かしら?」
「問題しかなくない?」
「そんな言い方する子に育てたつもりはありませんよ」
「いやいや。伊邪那に育てられてないから」
なんだか2人のやりとりがとても自然です。ずっと昔から一緒に居たかのような。そう言えば紹介の時に幼馴染って言ってました。それって小さい頃の祝君を知っているって事だよね。
「いっくんはなんでシュウって呼ばれてるの?」
「あーそれはだな……」
「ん?祝って呼びずらいじゃない?だから違う呼び方をしただけよ」
「幼少期って言ってたけど。幼稚園?」
「そんなとこよ。貴女は……」
「ごめんなさい。クラスの委員長で諏訪 陽子よ」
「諏訪?建御名方神の?」
「大神さん詳しいね」
「まぁ神様だから」
「え?」
「ごほん!伊邪那は昔から日本の神様に詳しいんだよ。な?」
「まぁそう言う事にしておきましょう」
慌てる祝君にとは違い、もの凄く落ち着いている伊邪那ちゃん。日本の神様が好きなんだね。
「それであれば今度、陽子のところに挨拶に行きますね」
「あ、うん。いつでもどうぞ」
「こんないい子に祀って貰って、建御名も幸せね」
「あ、ありがとう。って神様を呼び捨て?」
「私とは違う神様……」
「あー!伊邪那は神様を身近に感じるために、親しみを持った言い方をするんだ。子供の頃からそこは変わらないんだよ」
「まぁそう言う事にしておきましょう」
またまた祝君が慌てて話をした。なんか慌ててるけど、別に神様をどう呼んでもいいんでは?って思う。
「あのーそろそろ始めてもいいかな?お喋りとか挨拶は休み時間にお願いね」
「あ。すいません!」
姫ちゃん先生に注意されて、この話は一旦終わり。
「はぁ助かった…………てか、この状況がずっと続くのか……」
最後に祝君が言葉を漏らしてましたが、それがどう言う意味かは私には分かりませんでした。
そして午前の授業が終わって昼休み。私はいつも通りお弁当だけど。伊邪那ちゃんは持って来てないかな?
「伊邪那ちゃん。お昼は何か持って来た?」
「ええ。昼食は必要と聞いていたので持って来ました」
「それじゃそのまま教室で食べますか?それとも案内がてら食堂に行きますか?」
「そうね。行った事ないとこなら先に言っておきたいかも」
「それじゃ食堂に行きましょう。いいですか?諏訪さんと祝君」
「私はいいわよ」
「俺も問題ない」
いつも3人で食べているから、今日は4人だ。そうと決まれば早速移動しよう。
食堂までの道を歩いていると、色んな人の視線を感じます。やっぱり転校生って目立つのでしょうか?
「見ろ!深淵さんだ。今日もありがたや〜」
なんだか拝まれてます?あの男子に私は何もしていないと思うのですが?
「隣にいる子も可愛いぞ!」
「そこは後ろにいる諏訪さんだろう」
廊下を歩くと道を譲って、廊下の端に寄ってくれる生徒達が、そんな会話をしているのが聞こえてくる。
「やっぱりこのメンバーじゃ目立つよな」
「え?私達は何かしてしまいましたか?」
「そう言う意味じゃないと思うよマオ。こんな美女3人に1人の男。目立たない方がおかしいわ」
「自分で美女って……」
「あら?美女に作ったつもりだけど?」
「作った?」
「あー!髪な?このお団子が昔から苦労してるって言ってたよな!」
「まぁそう言う事にしておきましょう」
確かに伊邪那ちゃんのお団子は可愛いですけど。朝からセットするのも大変そうです。
「それに小さき身体は需要が多いと聞いているのだけど」
「何その偏った知識」
「何処かで聞いた話よ。私を見てやけに熱弁してくるから、記憶に残ってたのよね」
「需要があったやつなんだろうな」
「と言う訳で。美女3人よ。タイプもそれぞれ違うから、色々な需要があるのでしょう。それに祝も見られてるわよ?あそことか」
「ひぃ!?」
伊邪那ちゃんが視線を向けると、恨めしそうな目でこっちを見ている何名かの男子生徒がいます。
「さすがに美女3人も侍らせれば、いっくんの良い人パワーも薄れちゃうんだね」
「侍らせるって……言い方よ」
「現にそうじゃない?でもあの手の視線は私と真桜ちゃんの時もたまに見かけたけど」
「それは知っていたが、知らないふりをしていたんだが」
「ふむふむ。それでは……えい!」
「きゃ!?」
「おう!?」
伊邪那ちゃんが私を突然押してきて、思わずよろけて祝君に抱きっ!?
「ごごご!?」
「いや、大丈夫か?伊邪那。そう言う事はやめろ。危ないだろう」
「えい!」
「きゃ!?」
「おふっ!?」
今度は諏訪さんを押した伊邪那ちゃん。
「だーかーらー!」
「えい!」
そして両サイドを私と諏訪さん。正面から伊邪那ちゃんが祝君に抱きつく。どう言う事?
「「「!!!」」」
「いやいやいや!」
「私達は祝のモノ!」
「「「!!!!!」」」
「こらこらこら!」
「これで私達に変な人達が声をかけてくる事はなくなるよ?」
あーそう言う事か〜
…………どう言う事!?
「私を巻き込まないでくれる?」
「え?でも諏訪ちゃんは祝の……むぐ」
「ナニカナー?」
「んん!」
何か言おうとした伊邪那ちゃんは、諏訪さんによって拘束された。さっきまで祝君にくっついてたけど。いつの間にか回り込んでる。
「伊邪那ちゃんは何がしたかったのかな?」
「アイツの思考回路は基本的に俺への嫌がらせだから。男子達に睨まれる俺の反応を楽しむつもりだろうな……おい。その親指立てたのはなんだ?」
口を塞がれて喋れない伊邪那ちゃんは、祝君に親指を立てて何かを伝えようとしている。
「正解とか言ったら、その指へし折るぞ?」
「え?」
「あ。物騒だったな。ガムテあたりでぐるぐる巻きにしておく」
「そう言う問題?」
「それで済む問題じゃないな。はぁこれからどうし…………」
言葉の途中で祝君が止まる。
「ぷはっ!?私を抑えるとは、さすが神に仕える者」
「余計な事は言わない。いい?」
「仕方がない。少しだけ様子見しておくとします」
「口をガムテでぐるぐる巻きかな?」
満面の笑みだけど目だけが笑ってない。少しだけぶるっyとしたから掴まってた腕を強めに締める。
「っ!?」
「いっくんは随分と幸せそうね」
「そそそんな事ないぞ?」
「動揺しすぎでしょ。まぁ真桜ちゃんに腕組まれたら仕方がないか」
「え?」
諏訪さんに言われて自分の状況を改めて見る。よろけた拍子に掴んだままの祝君の腕。
「ひゃ!?ごめんなさい!痛かったですよね?」
「いや。むしろ柔ら……問題ない。おい、陽よ。その目で見るのはやめようか」
「祝はでかい方が好みか。ならば私は大丈夫なようね」
「私のを見たりしないでね」
「俺をなんだと……」
「狼ですかね」
「獣かな〜」
胸を張る伊邪那ちゃん。何が大丈夫なのかな?
そして項垂れる祝君。祝君は狼でも獣でもないと思いますけど。
「では行こうかマオ。腹が空いたわ」
「あーうん。こっちだよ」
「ほら。置いていくわよ〜」
「俺は少し離れて行く」
「1人でいると狩られちゃうかもしれないけど」
「お供します!」
皆で食堂に来た。席がちょうど空いていてラッキーだったです。
「さぁ食べよう!」
小さな袋から出て来たのは、包まれたおにぎりと漬物。
「竹の皮を使ってるって本格的よね。江戸時代のご飯みたいね」
「よく知っているわね。竹の皮は確か江戸時代の中期くらいからかしら。おにぎり自体の歴史はもっと長いけど。こんな簡単に出来て、しかも中身を変えたり混ぜ込みご飯とか種類は無限大なのよ」
「おにぎり愛が凄いのね」
「偉大な食べ物よ」
おにぎりを語る伊邪那ちゃんは、すごく饒舌であり歴史も詳しそう。確かにおにぎりは私もよく作るし、中身を何入れようか考えるだけでも楽しい。
「中身は何入れてるんだ?」
「中身は梅とおかかよ」
「王道だな」
「普通そうでしょう。鮭って選択肢もあったけど」
「前に真桜のおにぎり食べた時は、想像の遥か上にいってた物が入ってたな」
「ほう。何が入ってたのかしら?いくらとかお肉かしら?」
「ふっふっふ。甘いな。たくあん、ソーセージ、味噌きゅうり、タコワサだ」
「たくあんはまぁ分かる。しかし数々の具がある中から、何故にそれらが選ばれたんだ……」
「それは俺にも分からん。製作者のみぞ知る事だ」
わぁ〜私が作ったおにぎりの中身をちゃんと覚えてくれてる。一生懸命作った甲斐があるな。
「マオよ。おにぎりの中身はどのように選定したの?」
「ご飯と一緒で問題なさそうなもので、家にあったものを入れただけだけど?」
「その思想は料理が出来ぬ者の発想だが。いやしかし、そう言うところから天むすのような物が生まれるのか?」
「真桜はすごいだろ?」
「なんでいっくんがドヤるのよ」
「はっはっは。やはり祝の側は面白いな。これからも宜しく頼むぞ」
おにぎり一つで盛り上がる会話。私はその光景を見ている。
幼少期に出会って今も仲が良さそうな伊邪那ちゃん。諏訪さんは小学校から祝君を知っている。そんな3人の会話は、優しく落ち着いた感じがする。
そこに私はいないけど。私も祝君ともっと仲良くなれればああなれるかな?でもいつもドキドキしちゃって、落ち着く事はないんだけど。
「幼馴染っていいなぁ」
もっと早く皆と出会えていたら。もっと違う世界が広がったんじゃないか。そう思えば思うほどに、魔界での私は誰かと仲良くなりたいとか考えてなかった。
幼馴染…………。
伊邪那「む。祝よ。少し耳を貸せ」
祝「なんだよ。耳元で大声とか嫌だからな」
伊邪那「そんな事はたまにしないわ。それより……」
真桜「あの2人仲がいいですよね」
陽子「いっくんにあんな喋れる友達がいるって、正直言って驚いてるわ」
真桜「やっぱり幼馴染っていいなぁ」
陽子「真桜ちゃんはそのままでいいのよ。伊邪那さんや私みたいになると……友達のままになるわよ」
真桜「それってどう言う?」
陽子「それは私の口から言えないわ。こう言う事は自分で気が付かないと」
真桜「友達のまま?私が気づく事って?うーん」
陽子「ほら。昼休み終わる前に早く食べちゃうわよ」
真桜「はい。食べてから考えます!」
陽子「ふふ。真桜ちゃんはそのままでいいんだよ……」