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生きたい魔王と逝きたい勇者  作者: みけな
第1章 出会う2人の道
26/52

第26話 世界の現状を知る勇者

この前もサッカーの話題があったから続き。日本代表は良い意味でも悪い意味でも、予想とは違う結果を出して来ますね。勝負ごとって分からないもんですね〜


読んでくれた皆様!

ブックマーク、評価、いいね。くれた方々も。

ありがとうございます(*'ω'*)

 高2の中間試験を無事にクリアした。社会はなんとか追試と課題の提出でクリアした。社会の先生からは料理の歴史か?俺らしい課題だと褒められた。

 そしていつものように寝ようとしたら、体が重い気がする。これが金縛り……


「って。なんでこんなところにいる?神様は暇なのか?」

「久しぶりに会いに来たのに。随分な言い方ですね」


 俺の上に向こうの世界で世話になった神様。イザナミが俺に乗っていた。


「それで?今日は何か用があってきたんだろう?」

「私が来た目的は一つしかないでしょう。魔王はどうしましたか?」

「魔王か……」


 やばい。そんなの1ミリも進展してない。それどころか探す事すらしてない。


「この前来た時以降は、この世界でどう魔法を使っていくか。それの実験をしているのは知っています。魔王との戦闘に向けての準備してたので。やる気を出したのかと、しばらく放っておいたら……これです」

「これとは?」

「貴方は勇者なんですよ?何故、普通の学生をしているのですか?」

「そりゃ俺が学生と言う肩書きだから」

「なるほど。では勇者の肩書きのみにする為に、学校を壊してきましょうか」

「はは。冗談に聞こえないんですけど?」

「ふふ。本気ですよ?学校の一つくらい貴方でも出来ますよね?」


 この神様怖ぁ〜目がマジすぎるんですけど。って冗談はこれくらいにして、早く寝たいから真面目に話すとするか。


「と言うか。魔王を探せで元の世界に飛ばされたが、ノーヒントでこの地球上から探すのとか無理じゃね?魔王だって逃げてんだから派手に暴れたりしないだろう」

「確かにうまく隠れていますね。勇者がやる気を出していないとは言え、向こうの世界の住人がこちらで生活している訳ですから」


 言われてみれば。異世界からこの世界では勝手が違う。そもそも衣食住をどうしているのか。


「それにノーヒントと言ってますが、ちゃんと魔王のいるエリアに送ったではありませんか」

「魔王のいるエリア?」

「あら?伝えてませんでしたか?魔王の魔力残滓を辿って、貴方を転移させたと。私が何も無いところに貴方を送ると思いますか?」

「思う」

「あら?まぁとにかく魔王はこのエリアにいる可能性は高いです。貴方の住むこの日本に……」


 エリア広すぎじゃね?海外にいない事が分かってるのは、少しばかり救いかも知れない。だが日本は世界地図で見ると小さいが、たった1人を見つけるのに全国各所に行けと?


「日本にいるのは分かった。だけど広すぎじゃね?上から下までぶらぶらしてたら、一体いくら交通費がかかると思っているんだ?」

「コウツウ?何を言っているのですか?私が来て少しは魔法が使えたでしょう?そんなの飛べばどうとでもなります。その為に少し多めにマナを持ってきているんですから」

「マナを持ってくる?」

「この世界でマナは少ないですから。私が少し向こうから持ってきているんです。この世界の住人は、マナ使い方を知りませんから。実質的に貴方が独り占めです」


 あーそれで俺は何個か魔法が使えたのか。少し疑問だったんだよな。マナが少ないと言っていた割に、空を飛んだり雲を蹴散らしたりもしたし。


「まぁこの世界のマナと混ざり合うまで少し時間はかかりますが。それでも自分でかき集めるよりマシですよね」

「そうか。マナが混ざるねぇ……それってこの世界に問題は出てこないのか?」

「人体に影響はありません。あったら私の世界の人達がどうにかなってます」

「確かにな。なら問題ないのか」

「そうですね。マナが混ざり合う事に世界が慣れれば、この世界でもマナを増やす事が可能になるでしょう」

「そうなれば魔力問題は解決出来そうだな」


 戦う事になった際は、魔法が使えるかそうじゃないかでだいぶ違うからな。向こうが魔法を使ってくるのに、俺だけ使えないとか無理ゲーだもんな…………ん?


「なぁ魔王はどうやって魔法を使ってるんだ?生命力を使ってみたいな感じか?」

「そんな自分を追い込むような事ある訳ありません。貴方と同じくマナを使うんですよ」

「そうか。なら魔王も今は魔法が使えないのか……」

「そうですね。少ないマナを集めて使っているのは、貴方と同じはずです」


 そうかそうか。と言う事はだ。魔法が使えて助かるって思っているのは、向こうも同じって事だよな?


「魔法が使えない。もしくは使いづらいこの状況は、魔王にとって不利じゃないか?絶対とは限らないが。俺のステータスの方が高いなら、物理戦がメインの今なら俺が有利じゃね?」

「はい。ですからサボっていないで探して下さいと言っているではありませんか」


 いやいや、あんたなんも言ってないからな?行ってこいだけだぞ?


「マナを持って来たのだって、最悪俺の状況を悪くしていないか?」

「あ」


 この神様『あ』って言ったか?言ったよな?まさかと思うが、この事実に今気がついたのか?


「魔王はマナが使える事実を知りません。これは有利である状況は変わりないです。うん。そうです」

「自分に言い聞かせようとしてるけど。戦闘になれば相手は魔法を使うよな。そうなればそこで気づくのは必然では?」

「あ、私はそろそろ元の世界に帰る時間です」

「あ、待てこの!?逃げるのか!」


 神様の手を掴もうとしたら、その手はすり抜けてしまった。時間切れって言うのはマジなのか?


「いいですか。よく聞きなさい勇者。魔王はこのトウキョウと言う地名に居ます。そして鑑定が出来る貴方なら、称号やレベルで容易に見つけられるでしょう。探しなさい……時間はも……せ…………」

「……最後まで喋ってから帰れし。時間がなんだって言うんだ?」


 全くあの神様はいつも唐突だよな。魔王はこの東京に居ますって…………


「は?日本の中じゃないのか?東京?」


 頭の中に無数のハテナが浮かぶ。エリアって東京の事かよ。それじゃ上から下まで飛び回る必要なくない?てか、俺が交通費問題を話した時言えばいいのに。


「あ。そうか。イザナミは交通費とか知らないのか」


 この世界の常識を知らなくて当然か。東京と言う地名って意味も、よく分かってないって事が分かる。


「そうか。知っている前提だから話が噛み合わない時があるのか」


 相手を知る。この前の試験勉強で学んだばかりじゃないか。我儘で横暴な神様だけど。向こうの世界で何も分からない俺の事を理解しようとしてたもんな……


「次は来る時に何かお土産でも買っておいてやるか」


 いつ来るか分からないけど。近々また会えるんじゃないか。俺はどこかでそう思っている。そんな予感がする。


「とにかく今は明日に備えて寝よう」


 明日からは鑑定する癖をつけて行こう。東京にいるならどこかで会う可能性が高いからな…………


 称号は向こうも馬鹿でなければ変えているだろう。俺も最初に勇者の称号は変えてあるしな。そうなれば参考になるのはレベルの高さ。この世界のでは殆どの人間がレベル1だ。たまに絡んでくる人が3くらいあるけど、それはこの世界じゃ珍しいものではない。


 今のところ母さんがレベル7が1番高い。次は桐花と真桜のレベル5。ん?真桜って絡んでくるやつより強いのか?体力もないしそんな強くはないと思うんだけどな。


「ダメだな。判断するのは情報が足りない。結論を出す前に色々と見ていかないと……あーダメだ。寝れん!」


 神様登場で色々と情報をもらった事で、頭の中で処理が追いつけなくなっている。これは糖分をゴリゴリ持っていかれているせいだな。




 そんな訳で誰もいないと思った公園にやって来た。


「外に出て鑑定しようと思ったけど……さすがに誰もいないか」


 全身黒い鎧に身を包み。誰にも気づかれないように歩く。


 ―カシャ、カシャ


「ひぃ!?」

「ど、どうした?変な声あげて」

「今の音聞こえなかったのか?」


 近くで人が喋る声がする。これは鑑定チャンスが来たと思い声の方へ歩いていく。


 ―カシャ、カシャ


「ほら!聞こえただろう?」

「聞こえたってどんな?」

「鎧が歩く音だよ。あの噂は本当だったんだよ」


 ―カシャ、カシャ


「夜な夜な徘徊する呪われた騎士が……」

「あ」

「へ?あ、あ……」


 声の方に歩いていたら、ばったり遭遇してしまった。あーこの姿見られちゃまずいか。一旦この場を離れるか。


 ―ヒュン……


「どうした?後ろに何かいるのか?……なんだよ誰もいなじゃないか」

「今!居たんだよ!全身黒い鎧の騎士が!?」

「こんな公園に騎士が出る訳ないだろう」

「いや!今絶対いた!俺を見て消えたんだ!」


 俺も不用心にも程があるな。夜にこんな黒い鎧に出会ったら、俺だってビビると思う。そしてまずいと思って目の前から超速で移動したら、消えたとか思われてるし。ただ近くの木の上に登っただけなんだけど。

 今の速さで目で追われないって事は、あの2人組はそこまで戦闘に特化した訳じゃないと。


「せっかくだから鑑定してみよう」

「!?」

「今度はどうした?」

「なんか……見られてる」

「あーそうだな」

「信じてないな!本当なんだって」


 レベルは2人とも1だな。見られてるって言ったやつは、スキルに【索敵】がある。ランクは低いから【隠密】のスキルを持つ俺の場所まで分からないだろう。


 しばらく声を出さずに潜んでいると、2人組は公園をでていった。木の上から下に降りる。


「あ」

「あ、シュウ様?」


 なんで桐花がここにいる?


「なんでここにいるかって顔してますね。兜で見えないんですけど、きっとそう思ってるはずです」

「あぁ……こんな夜遅くに何をしている?」

「この時間は誰もいないから。たまに見に来るんです。シュウ様に会えるかなって」

「誰もいないとはいえ、女性が1人で出歩くのは危ないだろう」

「大丈夫。僕、強いから!あ、シュウ様と師匠と……あと師匠のお母さんの次に!」

「そ、そうか」


 それは俺だと言う訳にもいかないから、特に何も突っ込まないでおく。何故か母さんが桐花より強い認定されてるけど。


「シュウ様はここで何を?」

「ん?人の観察をしていた」

「観察ですか?」

「正確に言うと【鑑定】スキルを使うだけだ。その者のレベルやスキル、他には種族などが分かるんだ」

「鑑定!?なるほど!種族が魔族とか、レベルが高い人が魔王って事ですね!」

「そ、その通りだ」


 鑑定を少し話しただけなのに、魔王を見つける方法に直結させる桐花。あれ?この方法は割と誰でも思いつく事なのか?俺は神様に言われるまで気が付かなかったんだけど。


「騎士様!私はレベルいくつなんですか?」

「ん?君は……レベル6だな」

「レベル6!」


 あれ?この前見た時より一つ上がってるぞ?


「桐花だったか。最近誰かと戦ったような経験はしているか?」

「戦うですか?そんな物騒な事はありませんが……師匠に稽古をつけてもらったり。兄を倒したり、道場で組み手とかはしてますけど」


 兄を倒したり……あいつ苦労してるんだな。でも確か藤宮はレベル1のはずだから、そんな経験値が貰えるとは思えない。そうなれば俺の稽古や道場の組み手で経験値が貰えるとか?


「シュウ様。私って強いんですか?」

「どうした突然」

「レベル6ってどう考えても初期レベルに近いじゃないですか?自分では強いと思ってたけど、それってもしかして弱いのかなって」

「そんな事はないぞ。俺が出会った中じゃ桐花のレベルは2番手だ」

「2番……1番は誰なんですか?」


 やべ。これは俺が身の回りの人での話だ。桐花と出会っているけど、母さんの事は言ったら不自然だよな。ここは知らないフリをしよう。


「誰かまでは分からん。見た目は普通の女性に見えたんだがな」

「もしかして師匠のお母さんかな?」

「その者かどうかは分からないが。人族は大体の者がレベル1だったぞ。その中でレベル6はだいぶ高いと思うぞ。それに初めて出会った時はレベル5だったから、少し強くなっているのは確かだ」

「そっか……強くなってるんだ」


 落ち込んではいないか?


「僕はまだまだ強くなれる!シュウ様ありがとうございます!」

「あぁ。もう夜も遅い。家まで送ろう」

「え?僕の家近いから大丈夫ですよ。それにその格好で歩いたら目立ちますよ?」

「そうだな……ではこうしよう」


 収納から杖を取り出す。それを見た桐花は若干だけど引き攣った顔をした。


「掴まれ桐花」

「シュウ様……もしかしなくても空から?」

「マナもだいぶ安定してきた。前のようなヘマはしないさ」

「で、ですが……」

「誰かが来る前に行くぞ」

「って、うひゃぁぁ…………」


 公園を飛び立ち。空から桐花の家目掛けて急降下。


「うっぷ……シュウ様。出来れば次からはゆっくり飛んでいただければ……」

「すまん。もう少し練習しておく」

「それは助かります」

「分かった。また夜に出会った場合は送ってやるから、次回を楽しみにしているんだ」

「わ、わーい…………少し夜の外出は控えよう」

「何か言ったか?」

「なんでもありません!ではこれで!シュウ様も誰かに見つかる前に」

「そうだな。ではさらばだ!」


 この後は家までひとっ飛び。1人であれば重力操作も訳ないな。イザナミの言う通り、マナが少しづつ安定してきている証拠なのか。

 あとは魔王がどう動くかだな……世界が変わる事に気づかれる前に見つけたい。この世界で魔法で戦う戦場にしたくないかたな。



祝「空を飛ぶのもだいぶ上手くなったと思うんだけど……」


勇志「また外に行ってたのか?こんな時間に危ないだろう?」

桐花「うん。しばらく夜出るのは控えるよ」

勇志「そうか。今日はやけに素直だな?」

桐花「もう少し上達してくれるの待つ事にしたの」

勇志「え?」

桐花「こっちの話だよ。シャワーして寝よ。おやすみ兄」

勇志「あぁ。おやすみ桐花」

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