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生きたい魔王と逝きたい勇者  作者: みけな
第1章 出会う2人の道
16/52

第16話 出来てしまう勇者

なろうで評価はあったのは知ってたけど。『いいね』とかあったんですね。押してくれた方々ありがとうございます( ^ω^ )

反応があるとテンション上がります!


読んでくれた皆様!

ブックマーク、評価、いいね。くれた方々も。

ありがとうございます(*'ω'*)

 真桜と別れて家に帰る。明日は一緒に出掛けるから、その準備もしておきたい。


「あら?今日は早いわね」

「明日出掛けるから、その準備とか色々とね」

「あらデート?その感じだと……この前の黒髪ボインちゃん?」

「言い方!真桜は別に……小さくはないけど」

「ダメよ祝。私はまだお婆ちゃんになりたくないわ」

「…………この母親は」

「怒らないの〜大人の会話じゃない」

「そんな大人は嫌だ」

「私が祝を産んだの20歳の時だから。後3年ね」

「この会話続けんの!?」

「大切よ?祝も来年は成人だからね」


 高校生で卒業もしていないのに大人ねーまぁ国が決めた事だから反論する気もないけど。責任だけ増えていくだけだよな。


「半分冗談だけど。覚えておきなさいよ。相手の人生を背負うって意味もあるんだから」


 急にマジトーン……もう完全に母さんのテリトリー。これ以上変な事を言われる前に退散しよう。


「分かった。将来は俺も色々と考えているから」

「そう?今はとにかく勉強よ。お金も大事だからね」

「貯金はあるから、そこは大丈夫じゃないかな」

「高校生の貯金って言われてもね〜ちなみにいくら?」


 子供の貯金を聞くか普通?でも言っておけば甲斐性なしとは思われないかな?声に出すのもあれだから指を1本出しておく。


「一万?」

「その額を貯金とは言わないよ」

「10?」


 指を一本出したまま上に動かす。


「100?凄いわね祝。さすがお父さんの子」


 そのまま上に動かし続ける。


「え?もう一桁上って事?」

「まぁそんな感じ」

「さ、最近の高校生って凄いのね……お母さん高校生の時は全くなかったわ」

「え?これ素直に答えるところじゃなかった!?」

「祝は聞けばなんでも答えてくれるから。ついね!」

「可愛く言ってもダメだぞ母さん」


 まともに相手をする事が間違いだった。これ以上何か行ってしまう前に、話を切り上げて俺は自分の部屋にいく。


「世の中の常識が欠落していたな。普通の高校生はこんなに貯金しないのか」


 言ってしまったものは仕方がない。今度新とか陽に聞いてみるか。どうも異世界に行ってたから、こっちの常識がたまに欠落している気がする。


「過ぎた事は忘れよう。それより現実的な問題……こっちの常識として、てるてる坊主でも作るか」


 頭になるような丸いもの……白い布もないぞ。首の部分の紐は何とでもなるけど。

 あ。そう言えば使えそうな物が入ってた気がする。


「《空間収納》」


 ―ブゥゥン


 丸い物の一つや二つあるよなー……これか?


「ゴットイーグルの魔眼か。丸いけど……キモい」


 何入れてんだ俺。確かに丸いかもしれないけど、てるてる坊主の頭にするとか、夜寝てる時見つめられそうで怖いわ!


「自分で出しといて、自分でつっこむって言うね……あ、これでいいかカーバンクルの宝玉」


 無害だし。色も透明でいい感じだ。


「次は白い布だな。宝玉包むから、魔力が漏れたりしない方がいいかな。そうなるとこれだな!セイレーンの腰布」


 倒したら出て来た白い布。魔法耐性の高い布だけど、俺自身が耐性高いから使い道なかったんだよなー


「ハサミはー……あった」


 ―ガキン!


「おいおい。ハサミが壊れるとかありなのか?」


 ただの布を切るのにハサミが壊れるって?あ、これ紙用のハサミか。布切りバサミが必要だったんだな。


「確か押し入れの中に小学生の頃使ってた裁縫箱が…………あった」


 気を取り直してセイレーンの腰布にハサミを入れる。


 ―ガキン!


「マジかよ!布とかそう言うレベルじゃないって事?」


 どうなっているんだ?ただの布だろう?


「ふぬ。《鑑定》」


 なになに……セイレーンの腰布。自身の翼から編み込んだ腰布は、逃げる者を捕える。剣で切れないそれに捕まれば逃れる術は……


「ええい!説明が長い!剣で切れんなら、日本のハサミで切れる訳がない!ならば、この腰布より上位の剣で斬ればいいだけ」


 俺は収納の中で1番上等だと言われる剣を取り出す。


「黒龍の邪炎剣!黒龍の牙から作ったこれは、全てを斬り伏せる。そして斬られた相手は黒龍の呪いを受け、青い炎に焼かれて……焼いちゃダメっしょ!次!」


 駆け出しで使ってた剣はランクが低いから、結果はハサミと一緒だろうな。そうなれば付属効果のないただ斬れ味がいい剣は……


「ダイヤの剣か。ただ高いだけで一応世界一硬いって言われてるけど。まぁ折れてもいいしやってみるか」


 ―ギギギ、ギン!


「斬れると言うか、削れている感じがする。やってやれない事ないけど、断面汚いとか嫌だな」


 異世界の俺はまともな装備を持ってないんだな。やれ呪いだの、属性ダメージ追加とか即死効果なんてのもあったな。


「ん?これは……懐かしい。妖精王の剣か」


 始めの方に仲良くなって、譲り受けた剣だったか。見た目が煌びやかで鎧に合わないからって、倉庫の肥やしと化していた剣。


「腰布斬るならこれでもいいか。確かコイツは込める魔力の量によって、斬れ味を上げていく持ち主依存の剣だったな」


 この日本じゃ魔力はあまりない気がするが、出来る限りで込めてみるか。


「頼むぞ妖精王の剣!はぁぁ……」


 ―ドクン!


 剣が脈打つように感じた次の瞬間。剣から溢れ出す魔力の風が部屋の中で暴れ回る。


「ちょいちょい!何だよこれ!?いや、今は腰布優先!せい!」


 ―スパパ!


 上等!よし魔力を抑え込んで……


 ―ドンドン!


「ちょっと兄貴!煩いんですけど!」

「ちょっと待て!今、散らかってるから!」


 ―ガチャ、キィ……


 妹が入ってくる。あんだけ大きな音がすれば気がつくのは当たり前か。

 俺は妖精王の剣を急いで収納するので手一杯。その辺に散乱する宝玉や腰布が妹の目に入る。


「何してんのさ?」

「てるてる坊主を作ろうかなって。裁縫箱探したりしてたら……押し入れの物が崩れてさ」

「ちゃんと整理しなさいよ。全く何かあったかと思ったじゃない」

「俺を心配?」

「してない!勉強するんだから静かにしてよね!」


 ―バタン!


 俺の咄嗟に出た言い訳。妹の恩は疑う事なく部屋に帰っていった。


「セーフ?しかし片付け出来ないお兄ちゃんと思われしまったか?」


 妖精王の剣によって吹き飛ばされた物を片付ける。そして手元にはカーバンクルの宝玉に、ちょうどいいサイズに斬り刻んだセイレーンの腰布だった物。


「あとは紐か。丈夫な紐なんて何かあったかな……これでいいか」


 土龍の髭。あぁ土龍のやつは面倒かったなぁ。土竜みたいな可愛い見た目の割に地震攻撃とか、髭で鞭のように攻撃してくるし、剣で中々斬れないから倒すのも面倒だった気がする。


 荷物整理してて、思い出に花咲かすとかよくある事。俺は揃った材料で早速てるてる坊主坊主を作った。


「顔を書いて……出来た!中々に上出来じゃないか?」


 ―ゴン!


 てるてる坊主が重くて、結び目が解けて落ちてしまった。


 ―ダンダンダン……


「これは恩の足音」


 せっかく出来た完成品。怒られるついでに感想を聞いてみよう。


「兄貴!」

「すまん。てるてる坊主を床に落としてしまった」

「てるてる坊主落としてそんな音するか!」

「いやいや。見てくれ」


 完成品を恩に突き出す。


「何それ?」

「何って?てるてる坊主だろ?」

「いや、なんか違う。なんか禍々しい何かだよそれ」


 禍々しい何かってなんだ?


「明日洪水にしたいの?」

「晴れにしたいから作ったんだよ」

「……ティッシュと糸があるから貰うよ」


 すると恩はものの数秒でてるてる坊主を作り上げた。


「あれだけ時間かかったのに、一瞬で作り上げた!?天才か!」

「念が強すぎんの。てるてる坊主は子供が作るくらい気楽に作るもんなの」

「これはどうしよう」


 俺の作ったてるてる坊主を渡す。


「顔が怖……重ぉぉ!?」


 ―ゴン!


「な?てるてる坊主が落ちた音だろう?」

「てか、何をしたらこんな重さになるのよ」

「頭に宝玉……水晶みたいなの入れてる」

「兄貴は美術苦手だったね……」


 え?俺は別に美術が苦手ではない。提出する課題も誰よりも早くて、他人が真似出来ない独創的な作品だって、先生も褒めてくれてるんだぞ?


「顔は直してあげるから。飾るんだったら落ちないようにしてよね」

「ありがとう恩。助かったわ。すまんな勉強中に」

「べ、別にこれくらい。気分転換よ!次はそれ落とさないでよね!」


 照れたように部屋を出ていく恩。そして部屋に残った2体のてるてる坊主。


 せっかくだから並べて吊そう。今度は落ちないようにしっかり結んで、カーテン冊子がミシっていったから補強もしておこう。


「ふむ。良い感じじゃないか」


 ―カシャ


 写真を撮ってみる。せっかくだから真桜に送ってみよう。


「あ。俺、真桜の連絡先もIDも知らない……」


 学校は同じクラスだし。ここ最近は一緒にいたから、聞く必要がなかった。明日は出掛けるけど、待ち合わせは真桜のアパート前。


「明日、聞こう」


 とりあえず撮った写真を新と諏訪に送る。左が天才の妹が数秒で作った物で、右が俺の自信作にメイクを妹っと。


 ―ピローン


 すぐに返事が来た。


「(祝の作ったものは何だ?顔は可愛くなってるが、何か禍々しいオーラを放っていないか?)」

「(お前もか新)」

「(何が?てか、てるてる坊主とか小学生の遠足以来見なくなったな)」


 ―ピローン


 今度は陽からの返事。


「(芸術って比べると酷だよね)」

「(どう言う意味だし!)」

「(なんて言うの?念が強すぎるよ。てるてる坊主って子供が気楽に作るおまじない的なやつじゃないの?)」

「(恩にも言われた……)」

「(まぁ明日は晴れのち雨だから。飾っておけば〜)」


 何だと!?急いで携帯の天気アプリを見る。すると本当に晴れのち雨と書いてあった。降水確率は……40%って割と降るじゃないか。

 天気アプリによると今西にある雲が、関東に流れてくると書いてある。


「雲を散らす……俺に出来なくはない」


 しかしそれはあまりにも不自然。個人の予定のために雲が突然爆散したら、戦争と勘違いして国が動き出すかもしれない。それこそ遊ぶどころじゃない。

 天気についてはあまり多くの事を知っている訳ではない。暖気と寒気がぶつかって、湿った空気が空に上がり雨雲が出来だったか?理科の教科書は学校に置いてある。調べる術がスマホしかない。


「どう調べりゃいいんだよ。雲を消すとか?」


 すると雲を消す方法が何個か出てきた。なになに……雲を消すと疑う事なく念じるか。これなら出来そう。


「念じて雨が降らなくなれば、このてるてる坊主達で十分だわ!次!」


 お。これは割と現実的な話。雨粒の種になるものを雨雲の中に散布することで雲粒を雨粒に成長させる。そして目的地に着く前に雨を降らせればいいと。


「これは1番現実的だけど。日本は冷たい雨だからドライアイスを散布?こんなんどうにも出来んし……やっぱ吹き飛ばすか?」


 1番シンプルで分かりやすい方法である。

 その後色々調べたけど。空気を冷やすとか温めるとかが重要だとか。そんな魔法はあるけど。下手にいじくって土砂降りで大洪水とか天変地異になりかねん。どこかの偉い学者も実験を重ねてこの方法に辿り着いたはずだし。


「むずい!こんなに晴れて欲しいとか今までなかったのに。俺も変わってしまったのかな?」


 てるてる坊主を眺めながら、俺はベットに飛び込む。俺には晴れろと念を込めるしかないのか。




 そして俺は今、上空にいます。寝ようと思ったんだけど。居ても立っても居られない。空を跳ぶ事は過去に分かっていたから、空の状況を実際この目で見てみようと思った。


「空は少し寒い気がする。どれくらい跳んだんだろうか?」


 下には街が小さく見える。ビルの高さとかそんなレベルではないと言うことだけは分かる。


 西の雲…………肉眼で見える訳ないか。てか西ってどっちよ?


 家があそこで……学校があそこにあるから。こっちが西かな?


「ちょっとだけ。ちょっとだけ試すだけだから……」


 右手にある万有の杖は重力を操作している訳だから、手放す訳にはいかない。そうなると風を起こす装備となればやっぱりシルフの杖だな。


 漆黒シリーズの全身鎧で、両手に杖装備とかもはや何者?まぁ誰が見ている訳じゃないし。そんなの気にしなくていいか。


「シルフと仲良くなって、船で旅をする時によく使ったよな。おっと思い出に浸ってる場合じゃないな」


 西の方角に敵影なし。一応飛行機とか飛んでたら洒落にならんしな。俺って気遣いが出来る男だから。


「頼むぜシルフ…………ぶっ飛べ雨雲野郎!!《ストームレイ》」


 ―バシュン!!!


 左手に握る杖からごっそり魔力を持っていかれた感覚。心なしか地上より空にはマナが多い気がする。そのせいか想像よりどぎつい軌道で魔法が飛んでいく。


「どうなったんだ?」


 とりあえず見えないから結果が分からない。


「まぁ悪あがきはした訳だし。帰って寝よ」


 俺は何事もなかったかのように地上に降りる。今度は重力操作をミスって、隕石騒動にならないように微調整は欠かさない。


 そしてやり切った俺はベットでぐっすり眠るのであった。




 隕石に続いて大騒動になっているとは、この時の俺は知る由もない。

恩「兄貴は寝たのかな?静かになると逆に不安だわ」

母「明日はデートだし。寝てるんじゃない?」

恩「は?デート?」

母「この前話してた真桜ちゃんと出掛けるんだって」

恩「それでてるてる坊主……子供か?」

父「母さん。また臨時ニュースだぞ。最近多いな」

恩「今度は何?宇宙からの攻撃?何、このチャンネルはオカルトなの?」

父「何か。上空5,000メートル付近で光線が通った跡だって。雲が真っ二つらしいな」

母「この前は隕石がどうのって言ってたわよね?最近は変なニュースが増えるわね」

恩「お。明日の雨予報なくなってるじゃん。ラッキー」

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