第15話 準備をする魔王
ブルーロックをアニメで見て、気になり過ぎて漫画で最新まで読んだ。次読みたくなる話を書ける人はまじで凄いと思う(*´ω`*)
ブックマーク、読んでくれた皆様!
ありがとうございます(*'ω'*)
公園でちょっと散歩って思っていただけだった。それが神野さんにお休みに誘ってもらえるなんて……帰りもアパートまで送ってくれたし、るんるんな気分だった。
「どうしようおばちゃん!」
「何がどうしようなのか。まずは説明してくれると助かるね。それと外で掃除してる人も、仲間外れにしたら可哀想よ」
「爺やはいいの!」
アパートまで送ってくれた神野さんに、爺やが睨んだらするから。私は今、爺やを無視している。
「爺やがいけないんだもん」
「拗ねないの。私が話を聞いてあげるから」
「本当!聞いて!神野さんがね……」
私は神野さんに失礼な態度をとった爺やの事。それで少し怒っていると言う話から、公園であった出来事をおばちゃんに聞いてもらう。私の一方的な話もおばちゃんは、うんうんと頷き黙って聞いてくれる。
「ね?酷いでしょ?」
「おじさんが真桜ちゃんを大好きだって言うのがよく分かるね」
「今の話のどこにそんな要素があったの?」
「おじさんはね。真桜ちゃんを盗られそうで嫉妬しているのさ」
「盗られそうでって、別に私は誰のものでもないよ?」
「ふふ。今はそれでいいんだよ。真桜ちゃんにもいつか……多分だけど近いうちに分かるわよ」
誰かの物になる?別に私は私だけのものでしょう。おばちゃんの言葉はたまに難しい。いつもは分かりやすく教えてくれるけど。今日の話に関しては、後で分かるって今は教えてくれない。
「まぁおじさんもいい機会だし。真桜ちゃん離れをして貰わないとだね」
「よく分からないけど。爺やは私の事を小さい子供だって思っているのかしら?もう17にもなるのに」
「そう言うのは歳とか関係ないのさ」
「ふーん。まぁいいや。出かける訳だし、爺やにも聞かなきゃだし呼んでこようかな」
「そうしてあげな」
しょげてた爺やをおばちゃんの部屋に呼んで、次の休みに大きい公園に連れて行ってもらうと話した。
「……電車に乗るんですか!」
「一駅だよ。別に問題ないでしょうよ」
「おばちゃん。私は右側乗ればいいよね?あれ、今回こそ公園は左なのかな?」
「真桜ちゃん……まず待ち合わせは駅にしなさい」
「はい!おばちゃん!駅って電車の前で待ってれば?」
「うん。やっぱり迎えに来てもらおうかね。駅で出会えるか不安だわ」
待ち合わせの場所は決まった。まだ神野さんには伝えてないけど。神野さんなら大丈夫だよね。明日学校で聞いてみよう。
「それじゃ次は服だね……」
「真桜さんにはやはり……」
「ピンクのワンピース」
「黒のワンピース」
「おやおや。叔父ともあろうお方が黒を?」
「おばさまだって、ピンクのワンピースは些か子供すぎませんか?」
なんかいきなり2人の間でバトルが始まった。私の服なのに私の意見もなく、それぞれの主張が続く。
「私はTシャツにジーパンとかで……」
「「それはダメ!」」
そこは息ぴったりなんだ。動きやすいと思うんだけどなぁ〜
「そもそもだけど。黒もピンクも私はワンピース持ってないよ?」
「「は!?」」
「え?何?」
2人してどうしたの?服なんて着れればなんでもいいし。学校始まってからほぼ制服だし。買い物行く時は大体がTシャツにジーパンだよ。
「今すぐ行くよ!」
「もう夕飯前だよ?お店もやってないんじゃないの?」
「食事は外食!今日はおばちゃんが奢ってあげるから!」
「それは本当ですか!」
食いついたのは私じゃなくて、爺やの方だった。
「自転車で行けば商店街の服屋に行けるさ」
「おばちゃん。私達は自転車ないよ」
「ですね。それに乗った事もないです」
「んな!自転車くらい世界何処にでもあるだろうに。仕方がないわね。久しぶりだけど車を出してモールに行こうか」
「おばちゃん車持ってるの?」
「っふ。車に関してここいらじゃ、ちょいと有名人なんだよ」
おばちゃんがサングラスを取り出して、タンスの奥から服を取り出す。なんか背中に漢字が書いてあるけど。なんて読むのか分からない難しい漢字が並んでる。
「ついてきな」
言われるがままに私と爺やは、おばちゃんについて行く。少し歩いたところに車が何台も止まった場所に来た。
「いっぱい車あるんだね」
「これは全部私のじゃないよ。私のはあれさ」
おばちゃんが指をさしたそれは、街中でよく見る車とは全然違う。色は青くキラキラして見えるし、車の後ろには何か黒い屋根みたいのが付いてる。
「綺麗な車だね。あの黒い屋根見たいのは何?」
「や、屋根!?ウィングの事かい?」
「ウィングって言うんだ。なんかかっこいいね」
「そうですね。私が想像していたのはもっと普通の車でした」
私も爺やも車には詳しくない。だからこの車がどう言う車か、どんな走り方をするかなんて知らなかった。
「いいから乗りな」
「おばちゃん。これ、後ろの席に扉ないよ?」
「これはこうして、こうやって……ここから入るんだよ」
「爺やが後ろいって。私、前で景色みたい」
爺やが後ろの席に乗り込む。椅子を戻して私も座る。椅子がきっちりした感じ。なんか妙にフィットする。
「シートベルト絞めなよ」
「シートベルト?これどうやってするの?」
「あー知らない子には難しかったかね」
おばちゃんがテキパキとシートベルトを締めてくれる。なんか身動きしずらい。
「それじゃ……行くよ!」
―ブロロ……ブォォォン!!!
すごい音がする。なんかいつもの通学路で聞く車の音と全然違う。
「行くわ!」
「「へ?」」
発信と同時に席の背もたれに押し返される。車は前に進んでいるはずなのに、後ろに引っ張られる感覚。
後悔した。私と爺やは知らなすぎた。
「車怖い……」
「はっはっは。法定速度は守ってるさ」
無事?に目的地にはついた。でも景色を楽しむ余裕なんていくらもなかった。
「ほらほら。服見に行くよ」
おばちゃんに言われるがまま、私達はモールの中に入って行く。あんなにバトルしていた爺やだったけど、車に酔ってしまったらしく。服は100%おばちゃんコーデになった。
「ピンクのワンピースで甘さを出して、少し肌寒いから白のジャケットで少し辛みを。公園に行くんだからスニーカーにしとこうかね。どうだい?」
「お客様、お似合いです!」
「そう?」
可愛い中にもカッコ良さ。そんな感じの服装だった。制服と同じくらいのスカートの長さだから、動きにくくもない。
「髪がストレートのままじゃあれだね。店員さん。この子に合う髪のアクセサリー貰おうか」
「はい。奥様」
終始おばちゃんと店員さんのターン。私はただただ従うのみの着せ替え人形だった。
その後、爺やが復活する頃にはご飯を食べて帰るだけだった。あまり脂っこいものは食べないで、2人でさっぱりしたものを食べました。そして帰りはあの車に乗り…………2回目となれば慣れたか、流れていく景色を見る余裕はあった。爺やは帰宅するとすぐに寝てしまった。
私は窓際で空を眺めていた。ちらっと部屋の中に見えるカレンダーには、赤いペンで丸を書いておいた。
「明日は学校に行かないと行けないのか……」
今日は月が綺麗に見える。明後日はどうなんだろう。雨降ったら、公園行けなくなっちゃうかな?それはやだな。
「私が魔法を使えたら、雨が降りそうな雲なんか吹き飛ばしちゃうんだけど」
そんな大規模な魔法は使えない。自分がここにいるって勇者に教えるようなもの。そうなれば公演どころの話じゃなくなっちゃう。
「でも神野さんが守ってくれるって言ってたっけ……それもなんか良いかも?いやいや、私は何を考えてるの」
「ん〜……」
ちょっと興奮しすぎた。爺やは寝返りをうつだけで、起きずに眠っている。どんだけ車で疲れたんだか。向こうにも馬車とかで移動はした事あるだろうに。まぁスピードが段違いだったけど。
「寝よ。体調崩したら、元も子もないよね」
私は布団に入り、目を閉じた。
翌日、学校に向かう途中神野さんを見つけた。
「神野さん!」
「ん?おはよう真桜。朝から元気……ちょっと寝不足か?」
「あまり寝れなかった!」
「おかしなテンションになってるぞ。無理するなよ?」
「うん!」
神野さんは微笑んで私の頭を撫でてくる。その気持ちよさに私はそのまま夢の世界へ……いけない!
「き、気持ちよすぎて寝そうでした」
「立ったままじゃ危ないぞ」
「そうだね。頑張って起きる!あ、それでね!明日の事なんだけど!」
おばちゃんに言われた内容を神野さんに話して、待ち合わせ場所は私のアパートに決まった。電車が右に来るのに乗ればいいのとか聞いてみたら、少し笑顔がひきつってた気がするけど。
そして学校に着いたところまでは記憶がある。
「あれ?夢?」
目を開けると、そこは何処かの天井だった。
「起きたか?寝不足って聞いてたから、保健室のベットだけ借りといた」
「え?」
ここは学校の保健室。私はどうやら校門をくぐる前に倒れたみたい。
「調子が悪かったのか?それなら明日は……」
「違うの!明日が楽しみすぎて寝れなかっただけなの!」
「はは。子供の遠足前かよ」
「あ。へへ……」
「明日の待ち合わせも集合場所もしっかり聞いたから、今はゆっくり寝とけ」
頭を撫でられて私は……
「ふぁい……」
意識を手放した。
気がついた時、私の近くには誰もいなかった。
「あら?起きたかしら?」
「あ。先生。朝からありがとうございます」
「いいのよ。女子は朝から体調崩しやすい人もいるから。それより体調はどう?彼氏さんには寝不足なだけって聞いてたけど」
「体調は元気ですか!…………彼氏!?」
「あら?違うの?倒れた生徒がいるって聞いた時、貴女をお姫様抱っこで連れて来てたわよ?」
またあの抱っこ!でも私は意識ないから、恥ずかしいとかないか。
「いやいや!恥ずかしいって!」
「ふふ。青春ね〜。もう4限も終わるから、しっかり食べて午後の授業も頑張りなさい」
「はい!勉強頑張って、明日は公園に行きます!」
「あらあら。デート?なら尚更彼氏に心配させちゃダメよ」
「はわぁ!?私は何を言って!」
「それだけ元気なら大丈夫ね」
保健室の先生に見送られ、私は教室に戻る。皆が心配してくれて、神野さんは私にだけ見えるように口パクで大丈夫か?と言ってくれる。私は隣の席までとことこ小走りして、小さな声でありがとうと伝えた。
彼氏……漫画で読んだあの事だよね?デートって彼氏と彼女がするあれの事だったんだ。
その後の授業は何をしたか正直覚えていない。帰り道は神野さんと一緒に帰った。何か特別な話をした訳じゃないけど、そんな他愛もない会話が私は好きだだたりする。
「そうだ!神野さん!明日が晴れになる方法ってありますか?」
「絶対晴れになる?雲でも消すの?」
「出来るんですか!?」
「いや、普通できないから。出来たとしてもおまじない程度だよ」
「おまじない?」
「知らない?てるてる坊主って」
作り方を聞いてそれをノートに書く。
「こんな感じですか!」
「あー……真桜の絵心は随分と…………幼く?いや、ピカソの域だから芸術なのか?」
「私の絵が上手じゃない事くらい知ってます」
「あ、すまん。おばちゃんだったら知ってると思うし、材料なんかもあるんじゃないか?」
「そうですね!聞いてみます!」
そしてアパートまでつきました。でも今日は寝不足で倒れたんだからと、寄り道も散歩なし。
「それじゃまた明日な」
「はい!また明日です!」
私は背中が見えなくなるまで、ずっと手を振っていた。
おばちゃん「青春だわね。あんな見えなくなるまで手を振っちゃって」
爺や「あの男……しっかり見極めなければなりませんね」
おばちゃん「明日着いて行ったりするんじゃないよ?」
爺や「ハハハ!何を言っているんですか?」
おばちゃん「後をつけたら嫌われるから」
爺や「ではどうすれば!」
おばちゃん「名前もまだない私達に出来る事なんてないよ」
爺や「!?それであれば!私は……」
おばちゃん「はい。時間切れー」