第13話 学生する魔王
職場の人にギルギアのクロスプレイが限定で出来ると誘われた。
格闘ゲームは20年ぶり?コントローラーでやると手が痛い(・∀・)勝率4割くらい?みんなうますぎない?格闘ゲームってこんなだっけw
ブックマーク、読んでくれた皆様!
ありがとうございます(*'ω'*)
学校での生活も数週間あれば、だいぶ慣れてくると言うもの。私はもう立派な高校2年生!
「ふしゅぅ〜」
「自分でふしゅー言うんだ」
「社会は……」
「真桜は暗記系が苦手なんだな」
「神野さんは苦手な教科ないんですか?」
「俺?強いて言うなら国語」
「へぇ〜意外です。結構本を読んでいたりされるから、得意なのばかり」
「苦手だから本を読むんだ」
「読んでる本はラノベだけどね〜」
ラノベとは何でしょう?諏訪さんが神野さんの読む本について教えてくれる。
「冒険の日誌がそこには記載されているんですね」
「日誌って。まぁ軌跡を辿るって意味では日誌かも知れないけど」
「それを読んで何が分かるんですか?」
「な、何が分かると?うーん……」
悩む神野さん。私はまた変な事を言ってしまったでしょうか。
「それなら深淵さんも読んでみればいい。これがおすすめだよ」
「藤宮さん」
前の席の藤宮さん。諏訪さんと一緒で学級委員だけど、私が難しくて理解出来てない時、とても優しく解説してくれます。そうなるとこのラノベはとても優しいものかも知れない。
「何だそれ」
「妹のおすすめ。学校の知り合いに勧めてこいって言われた」
「あの妹のおすすめ……」
「仕方がないだろう。どっかの誰かが妹に勝ったせいで、2年年上の俺はサンドバッグ。許してもらう条件にこんな条件を出してきたんだ」
「チラチラ俺を見んな。あれは不可抗力だ」
「あ。先生に見つかると没収されちゃうから、今のうちに鞄に入れといて」
「は、はい!」
私は内容がすごく気になるけど。お借りした物を没収されるわけにはいきません!家まで無事に持ち帰ってみせます!
「没収されるような物を持ってこなければいいんじゃないの?」
「おいおい。それじゃ俺に妹のサンドバッグになれと?諏訪は責任取れんのか!?」
「何で私に言うのよ。責任ならその勝った人に言えばいいでしょ。チラ」
「見んなし」
神野さんはまた何かやったのでしょうか?またいつもの親切で巻き込まれたのでしょう。
そして今日は新入生歓迎会があるとかで、授業も午前で終わりみたいです。
「そう言えば真桜ちゃんは部活とかやらないの?」
「部活ですか?」
「そう。きょう新入生歓迎会があるから、何なら見てくれば?」
「諏訪さんは何か部活をしているんですか?」
「私?私は学級委員で委員会には出るけど、基本的には家の手伝いあるからやってないんだ」
「神野さんは?」
「俺は部活はしない。甘い物を探す時間がなくなるからな」
2人は何もしてないのか。聞けば部活に必ず入らなきゃいけない訳ではないみたい。私はどうしよう。
「深淵さん。部活に興味あるか?それなら一緒に見に行くかい?」
「いいの?」
「あぁ俺はバスケ部の発表の時は、一緒にいてあげれれないけど。祝がいるなら平気でしょう」
「待て待て。何で俺が居る前提の話なんだよ」
「俺1人じゃ危ないだろう。藤宮も暇だよな?一緒に巻き込まれろ」
「渡辺君。もう少し誘い方があるでしょう」
「私も本当はついていってあげたいけど。神社の仕事があるから。いっくんに任せる!」
「おい。だから俺は行くとは……」
「一緒に行ってくれないの?」
「っぐ!?」
前に諏訪さんに教わった神野さんの誘い方をやってみる。確か下から覗き込むように首を傾げるだっけ?
「良いね真桜ちゃん。可愛いよ!」
「陽が教えたのか?余計な事を……」
「どう?真桜ちゃんの破壊力」
「どうもこうもない」
「一緒に来てくれる?」
「あーもう!行けばいいんだろう!」
「これさ。俺と渡辺君いらないよね?」
「帰ろうとするな藤宮。旅は道連れって言うだろ」
「ただの新入生歓迎会って、部活の紹介だろ?一体なんの危険があんだよ!?」
なんだかんだで皆様が一緒に行ってくれます。どこで勇者が見ているか分かりませんが。ここでしっかり学生していればバレる事はないはずです。
そう言う訳で私達は新入生歓迎会と言う、部活紹介を見ています。
「何だか皆様の視線を感じます」
「こんな特等席に椅子を並べるからだろう」
「良い見せ物だよな〜舞台を見ろっての」
「そう言えば渡辺さんは?」
「結局部活の準備があるんだって」
私達は今、体育館の2階にある通路みたいなところに椅子に座って見てます。新入生の皆様が何故か私達を気にしてます。普通の学生をしているはずなのに、何故目立っているんでしょう?
「まぁ後輩君達が何で気にするかは、分からないでもないけどな」
「どう言う事だ藤宮?」
「2人とも目立つんだよ。存在が」
「真桜が目立つのは分かるが、俺らが目立つ理由はないだろう」
「え?私変ですか?」
「変じゃないよ。いや、その可愛さはある意味ではおかしいかも知れない」
「えぇ!?そんな私は可愛くなんて……」
どうして2人はこんなに褒めてくるのでしょう?私はただここにいるだけですのに。
「後輩君達には刺激が強すぎるかもな。真桜に一目惚れしたっておかしくない」
「わ、私はそんなんじゃ〜」
「それでいて礼儀正しいし。さっきの入口で後輩全員に挨拶したもんね」
「あれは、新入生さんの席にお邪魔する訳ですし」
「あれは度肝抜かれただろう。男子は言わずもだが、女子も熱い視線を感じるな」
「私はどうしたら……」
「手でも振っておけば?なんて……」
言われた通りに目が合った人に、一人一人手を振って返す。
「うわ!今、俺に向かって手を振ってくれたぞ!」
「気のせいでしょ!きっと私に振ってくれたのよ」
「こらーそこ静かに!」
手を振ったせいで新入生の方が怒られてしまいました。
「本当にやるんだ……」
「神野さんがやったら良いって言ったから」
「いやまぁそうなんだが」
「私だけ不公平です。神野さんも手を振って下さい!」
「俺?俺を見ている奴なんていないだろう」
「いいから!」
神野さんも手を振った。
「「「きゃぁぁ!」」」
「こらーうるさいぞ新入生!そして上の席!手を振るな!」
「「すいません」」
先生に怒られてしまいました。もう大人しくするしかないです。
「何故、俺に黄色い声があがる?」
「神野君の場合は、人を助ける噂が広まってるから。学校内ではちょっとしたヒーローなんだよ?容姿だって、喋らずじっとしてれば悪くないし」
「さりげにディスってくるのなー」
「事実さ。ね?深淵さん」
「え?あ、はい。神野さんはカッコいいと思います」
「そりゃどうも」
神野さんがヒーローって分かる気がします。人を助けるのに躊躇はしませんし、それでいて自慢したりもしない。容姿だってカッコいいですし、背も私よりも高い。
「俺より真桜の方が可愛いから目立つんだって」
「神野さんがカッコいいから皆様見ているんですよ」
「2人の世界に入るな〜俺帰っちゃうからな」
「別に2人の世界とか入ってないし」
「そ、そうです」
「甘いよう。空気が……」
「あ。渡辺さんが出て来ましたよ」
藤宮さんが変な事を言うから、顔が熱くなって来ちゃいました。別に私は神野さんをそんな目で見てなんか……発表が始まると、体育館内は暗くなる。
顔が少し赤いのもバレてませんよね?ちらっと神野さんを見ると視線は真っ直ぐ舞台を見ています。あ、まつ毛結構長いんだ……
「あの真桜さんや?俺に何かあるのか?」
「はっ!?なんでもないです」
「そうか?それならいいんだけど。こうじっと見られるのは気になる」
「ご、ごめんなさい!」
「2人とも静かに」
「「すいません」」
いけません!私は今、部活の紹介を見ていないといけないのに。そしてバスケ部の発表はあっという間に終わってしまいました。
紹介を終えた渡辺さんが戻って来ました。
「どうだったバスケ部?と言っても、深淵さんが入るなら女子バスケだけど」
「は、はい!皆楽しそうでした!」
「それが伝わってるなら成功だな」
ごめんなさい渡辺さん。正直言って、隣にいる神野さんが気になって覚えてません。女子バスケって言うのも記憶がないかも知れないです。
「それじゃ、俺もそろそろ行ってくる」
「藤宮さん?」
「俺は手芸部だからな。運動部が終わったら俺らの番だからね」
そう言って藤宮さんは席を立ちました。
「藤宮って手芸部だったの?」
「私も知りませんでした」
「深淵さんが知らないのは分かるけど。何で祝が知らないんだよ」
「最近席が近いから話すが、そんな深い話は陽と新しかしないからな」
「友達少ないもんな……」
「別に無理に増やすつもりがないだけだ」
「さいですかー」
そんな話をしていると、藤宮さんの所属する手芸部の番が来ました。そして舞台に並べられる数々の作品……
「何でウェディングドレス?」
「き、綺麗です」
「すげぇな……しかもあれ作ったの藤宮かよ」
「おいおい。あいつの説明やばいぞ。客が引いてる」
「言ってる事がガチすぎるな。あれじゃ新入生も入りずらいぞ」
手芸部の発表は各作品を、作った人が説明する流れだった。ウェディングドレスは藤宮さんが作ったみたいで、その刺繍やデザインに至るまでの全てを語るその姿は、もはや学生にレベルを超えている気がします。
「最後のぬいぐるみを作った人がいてよかったな。あれで少し場が和んだ感じがした」
「そうだな。それにしてもプロあま問わずって、企業の説明会か?」
「部活は将来を見据えた修行の場だったんですね」
「あーあ。ピュアな真桜は硬いイメージを持ってしまったぞ」
「実際は部活で功績を上げて、プロになろうとするのも多いけど」
皆様、それだけ本気と言う事ですね。高校生も3年間と聞きますし。必死にやるのは当たり前なのかも知れません。
そして運動部と文化部の発表は全て終わった。新入生が退場した後、部活の人達と一緒に椅子を片付けて私達は体育館を後にする。
「それじゃ。俺は部活があるから」
「俺も手芸部に行ってくる」
「おう」
「お2人ともありがとうございました」
「それじゃ……帰るか。送るよ」
「はい」
部活のない私と神野さんは、一緒に高校の門を潜ります。そう言えば、最近は一緒に帰る機会も増えました。部活に入ってしまったら、一緒に帰る事も減ってしまうのでしょうか。
「部活はどうだった?結構ガチでやってるところもあるけど。色んな人と関われるから、やってみても面白いと思うよ。もしかしたら、それがきっかけで将来の選択肢が増えるかも知れないし」
「そうですね……」
将来の選択肢……私はこの世界に勇者から逃げるように来て、生きたいって目標はありますけど。その先の事は何も考えてませんでした。
「まぁすぐに決める必要もないさ。ゆっくり考えれば良い。その為の学校だからな」
「うん。ありがとう神野さん」
そう言えば神野さんは甘い物を探すと言ってたけど。将来はその関係の道に進むんでしょうか?
「む?あれは……真桜。ちょっと寄り道しないか?」
「え?はい。大丈夫です。それより何を見つけたんですか?」
「コンビニスイーツだ。最近はコンビニスイーツも種類が増えてな。しかし1人で買いまくると目が気になるんだよ」
「ふふ。では私が一緒にいればカモフラージュなりますね」
「分かってくれるか?助かるー」
今は急がないでいいかも知れません。
私はこうして同じ歳の人と帰るのが楽しい。学生ってこんなに楽しいが詰まってたんだ。向こうの世界とは全然違う。
「どうした?行くぞ真桜」
「置いてかないで下さい〜」
少しだけ足取り軽く、私と神野さんは一緒にコンビニへと寄り道しました。
真桜「面白い部活がたくさんあるんですね」
祝「まぁ数はかなりあるから、何かしらハマる物はあるかもな」
真桜「神野さんはハマらなかったんですか?」
祝「俺は甘い物食べたいだけだから。作るのも興味はないしなー」
真桜「作るですか」
祝「まぁ悩めばいいさ。相談したい事があったら、いつでも声かけてくれ」
真桜「ありがとうございます。やっぱり神野さんは……」