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心の回避行動

この作品はスマホでポチポチやってます。

PCの前だとお仕事している気分になるので。

しかし面倒になってきたので、一章部が終わったらPC投稿に変更します。

入院は一泊だけで朝イチに退院したが、飲んだ薬が効きすぎて身体が重く感じ、病院内の庭のベンチで休んでいる。病院内の喫茶店に入って休もうとしたら、小鳥はお断りと言われエアちゃんが入れなかったからだ。

さっきまで俺に八つ当たりしていた使い魔さんは、今は地面に降りて散歩をしている。でも拾い食いはやめて。

ああ、家から誰か向かえに来てくれないかな。病院から家まで僅か2KMちょっとを帰るのに足が動かない。

何でこんなめに、本当に面倒だ。本当に色々面倒。そう考えたら睡魔の誘惑に抗えずベンチで横になった。


「あるじさん。朝ですよ。起きて」


女の子の声?寝たばかりなのに誰だよ。


「あなた。いい加減に起きないと遅刻しますよ」


「えっ遅刻?」


焦って起き上がってみたら、そういえば外で寝ていた。目の前にはスーツを着た女の子が横を見てクスクス笑いをしている。

いたずらされたのか。なぜか知らないが怒りは沸かずに、遅刻でなかったことにほっとした。騙されたのに。


「えっと誰ですか?」


「私です」


「エアちゃん?人化したの?」


(あるじ)。フォルテ』


エアちゃんは俺の手の中にいた。

でもお姫さんは昨日と見た目が違う。昨日はゆるふわな感じだったけど、今日は夏らしい藍染のスーツを着ていて、髪の色が黒ぽい茶色からピンクゴールドに染め、髪を編み込んでいた。


「昨日のお姫さんですか?笑い過ぎですよ」


ツボに入ったみたいだ。混乱していたのだ、そこまで笑うことでは無いから、箸がコロンとしても笑うお年頃か。

笑いが収まるまで、自身の体調を確認するか。まだ身体はだるいがふらつくほどではなさそう。でも眠い。現実から逃げて眠りたい。

伯母と顔を合わせたくない。

帰りたくない。

昨日は夏休み初日だったのに、旅に出るにも車を直さないと。

運が悪ければ死んでいた。

でも生きている。

殺されるところだった。

それでも助かった。

被害者が苦しむな。

顔を上げろ。

前を向けよし。


「前を向けよし?」


お姫さんが左手を腰に、右手人差し指を俺に向けて、対面指差し呼称を返してくれた。あのポーズは声が出るから仕方ない。


「指差し確認と言うか、決意の確認です」


(あるじ)さんは不思議さんですか?」


「初めてですね。そう言われたの」


「本当ですか? それは残念です。でも、これからですよね」


「いえ、不思議ちゃんにはなりません」


「何でも否定から入ったらいけません。否定は後ろ向きです。あるじさんも、前向きの決意をしたばかりのはずです」


「はい、でも不思議ちゃんは前向きとは思わない」


「また否定ですよ。不思議さんになれば私と仲良しさんになれますよ。それなら前向きになれますね」


「意味不明です。その心は?」


「類友です。私は不思議ちゃんと言われます」


「お姫さんと仲良くなれるのは光栄ですね。それで、どうして此処に?」


「むう。今日は爵位研修前にお見舞いに来ました」


「それはありがとうございます。だからスーツを、そのスーツはお姫さんが着るととても素敵です。髪もお姫さんに良くお似合いです。ピンクゴールドはお姫さんのために存在する色です」


「お褒めをいただきありがとうございます。ところで、ベンチで横になってどうしたのですか?」


「それより、研修前にゆっくりして大丈夫ですか?」


「はい。お昼からなので、あと二時間位ありますので一時間は付き合えます」


「それは結構ありますね。質問の答えは退院はしたのですが、薬を飲んだせいか身体が重く感じて、喫茶店で珈琲を飲もうとしたらエアちゃんを入れてもらえず、ベンチで休んでいました」


(あるじ)。うちは悪くない』


「エアちゃんが悪いなんて言っていないよ」


「そうです。こんな可愛いエアちゃんを入れないお店が悪いです。それでしたら珈琲を飲みに行きますよ」


そう言って、エアちゃんを肩に乗せ歩き出した。人質を取られたので追って行く。


「お店にエアちゃんが入れないのは普通ですよ。どこへ行くのですか?」


「研修会場です。お庭で珈琲が飲めますし、時間いっぱいお付き合いできます」


「関係者以外入って大丈夫かな?」


「関係者だから大丈夫です」


「私は関係者以外ですよ」


「私の関係者だから大丈夫です」


そうなのか?まあ良いか。

ついてみたら結婚式やパーティ等に使う会場。俺の時はホテルだったなあと思い出しながら、受付もいなかったのですんなり入れた。庭に出てすぐの席をとり、お姫さんは店員を探しに行った。


「お待たせ。珈琲を頼んで来ました。」


「お手数をおかけしました」


後ろには店員さんが珈琲を持って立っている。お姫さんの前にはケーキも一緒に置かれた。


「普通に営業していて安心しました」


「はい。でもケーキは上げません」


「取りませんけど、おいしそうに食べますね」


「はい。ブルーベリームースが良い仕事をしています。でも、あるじさんにあーんもしませんよ。まだお友達です。もっと親しくなってからです」


「ええ、取りません」


珈琲が微妙な感じがする。好みの問題では無い。体調のせいかな。


「それならば良いです」


お姫さんがケーキを食べ終わったタイミングで、店員さんが珈琲を持って来た。


「ありがとうございます。ちょうどでした」


「ちょうど?うん。さっきよりうまい」


店員が下がってから疑問を口に出したが、さっきのはポットのやつで、今度のは入れたてらしく芳ばし香りがする、お姫さんに聞くと肯定した。なぜそうなったか疑問を感じたが質問はしない。


「それで、お悩みはなんですか?」


少し垂れぎみの目に力が入り聞いてきたから


「さっき声が出ていましたか?」


「いいえ。でも分かりやすいです」


「そうですか。なんか家に帰りづらくて」


相手が不思議ちゃんだからか俺が誰かに聞いてもらいたいからなのか、素直に話していた。


◆◇◆


「私が感じたのは、おうちに帰りたくないというより、おうちを出たいと思っている」


エアちゃんを撫でながら姫さんはそう言う。


「はい。そうですね、学校の近くに下宿がないか探したこともありましたが、地元民しかいない学校近くには無かった。でも夏休み明けから自由登校になるから、範囲を広げて探してみようかな」


「でも来年の春から兵役ですよ、それまで待てませんか?」


「はい。決めました。話しを聞いて下さり、ありがとうございました」


「はい。お役に立て私も嬉しく思います。さっきより良い顔になりました。」


「そうですか。確かに気持ちが晴れた気がします」


「良かったです。ただ自由登校だからおうちを出るだと逃げた感じがします」


「本当ですね。実際にそうだから良いです。心の回避行動です」


「それでも、なにか新しいことを初めてみませんか? 卒業まで半年もありますよ」


「新しいことですか?うちを出てバイト生活を始める。兵役に備えて身体を鍛える。スキルを磨くで十分かな。他に何かありますか?」


学校なんて資格取得の場だ。既に爵位もあるし卒業資格もあるから、今より魔法工と剣の腕を落とさないことぐらい。

徴兵されても魔法工が出来れば良いが、あまり剣で強くなり過ぎると教育隊の期間が減って近接主戦力なってしまう。何でも強い順から減った分の穴を埋めるとの噂だし。減った分とか怖いわ。

近距離戦闘手当て狙いのやつもいるが、遠くから魔道具を使って攻撃していた方が教育隊を含め三年もある任期が勤められる。


「例えば、うちの学校に転校するとか」


「転校ですか?お姫さんはどちらの学校ですか?」


「王立魔法学校です」


悪くない提案だ。教育隊に入ると同じ学校、地域でチームを組みやすい。今の学校は人数が少ないし、俺が強さで上位だから、責任が俺に来る。剣気道場でも上の方だがあくまで支部内、本当の上位の方は本部に移っている。

学校でやっていることは魔道具作製がメインだから、魔法を使う時に魔法陣を組む方法は、魔道具を作る方法と同じだ。

魔法学校へ行ったやつらのように、頭に思い浮かべた魔法陣を一気に表化する方法は慣れてないから構築スピードで負ける。

それが転校すれば、今の学校のやつらと組むよりバランスが取れる。それに元女子校だった王立魔法学校は美少女が多いとクラスの奴らも言ってたし、知り合いが増えるのは悪くない。

でも、魔法は以前より上手くなり最近は気にしてなかったが、魔法学校に推薦で行ったやつらに比べたら優秀ではなかった。差は広がっているだろうし、詠唱(うた)魔法は諦めているから転校は無理だな。


「王立は越境組も多いですし、ご家族が首都へ移ってしまい残る方がいますので寄宿舎もあります。卒業資格を取得していれば転入試験をせず転校できたと思います」


それでいいの?


「良い提案をありがとうございます。学校の受付で確認すれば大丈夫ですか?」


「少し待ってください」


ノートを破って紹介状を書いて渡してくる。


「こんなんで良いの?名前はフォルテだし」


「はい。名前は珈琲を頼む時に確認しました。紹介状の方はですね、うちの学校は定員割れしているので、紹介者には商品券を頂けるのです。だからちゃんと渡して下さいね」

 


それは良かったですね


同姓同名が出ないように国が調整してる設定です。

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