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生命ーいのちー  作者: ヒロっぴ
7/8

異変





      




           ー1ー









『どうしたの?何かいいことあった?』






優子が朝からルンルンしていたら、母の和子に問い詰められた。







『な、何で分かるの?』






『そりゃ分かるわよ。そんなにルンルンしてたら。』







高志と付き合い始めた時も一発でバレた優子は、母に隠し事は出来ないとその時悟り、今度のダブルデートの事を話した。





昨日の夜に高志と電話で話していた時にダブルデートの事を切り出し、快くOKを貰っていたのだ。





……



『高志さんから電話よ。』





昨日、母から受話器を受け取った優子は、母が気を使ってリビングから出ていくのを確認してからダブルデートの話を切り出していたので、その時は安心していたのだが、もしかしたらお母さんは廊下で聞いていたのかもしれない。と、優子は苦笑いをした。





優子の口からダブルデートの話を聞いたた和子は、





『あら、友子ちゃんにも彼氏出来たのね。

……そっか……だから最近あんまり友子ちゃんと出かけてなかったのね。』






『う、うん。』






『それはそうと……』






優子は『来た!』と思った。






『一体いつになったら、彼氏連れてくるのよ。お母さんは、いつでも歓迎するわよ。』







高志と付き合い始めてルンルンしていたときに、彼氏が出来たことがバレて以来、ことあるごとに、『早く連れてきなさい』と急かされるのだ。




『そ、そのうちにね……』






優子はいつもそう言ってごまかしている。






しかし、そういつまでもはぐらかしていられない。






本当は優子も一日も早くお母さんに紹介したいと思っていた。





初めての彼氏であるばかりか、自分には勿体ないと思うくらいの最高の彼氏なのだから。





中学生の時に父が亡くなって以来、母和子は女手一つで優子を育ててくれた。





そんな母には、『こんな最高の彼氏が出来たよ!』と、すぐにでも紹介したかったが、恥ずかしさが勝って、中々前に進めずにいた。





さっきも和子の方から『早く連れてきなさい。』と言ってくれたのだから、『うん。』と言えばいいだけの話なのだが、その『うん。』が出てくれば苦労はしないのだ。






優子は『はぁ……』と、ため息を着いた。





『どうして私はこうなんだろう……』





と自己嫌悪に陥ったりもするが、そんな優子だからこそ、高志が好きになってくれたとは気付かない。




誰から見ても完璧な女性を、全ての人が求めている訳ではないのだ。






高志が求めるパズルのピースに優子がピタリとはまった。





恋愛とはそういうものなのだと、経験値の少ない優子は気付かない。





それでも、いつか大好きなお母さんに、大好きな高志さんを紹介する日を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれる。





『ふふっ。』






と笑った優子は、突然全身の気だるさを感じて、床に崩れ落ちた。






.『え?……』







訳もわからず意識が遠退き、優子は暗闇をさ迷った……







.





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