護衛~入浴
本来、石鹸は、王侯貴族が使う贅沢品。それが、この世の習いだ。
だが、某漫画に、石鹸の作り方が、描いてあった。
そこで、それを基に『黒龍騎士団騎士領』の領民に教えてやった。
今では、領民のほぼ全員が、毎日石鹸を使って、衛生的な生活を送っている。
念の為、商売しない様、釘を刺しておいたから、『この世の習い』に影響は無いだろう。
私が、国王にでもなれば、靴を脱いで家に上がる習慣を、常態化させるだろう。
勿論、全ての家には、三和土が必要になるし、習慣化させる事一筋縄ではない……
埒も無い。今は、情報だ。世界を自分の目で見て、情報を集める。まずは、そこからだ。
「あぁら、変わった香りね。騎士様の使う石鹸は、『侯爵』様のとは、違うのね。」
浴槽に浸かっていた私に、話しかけてきたのは、聞いた事も無い女の声だ。
念の為、タオルで目を隠しておく。
「ちなみに、これは独り言です。『デライラ嬢』との接触は、『契約違反』になります。」
「お堅ぁい事を言わないの。ウィリアム……ウィルで、いいわよねぇ。さ、浴槽から上がって、あぁたしの身体を洗いなさい。ウィル。」
どうやら、この様子では、パラブラス卿夫婦は、『共犯』だな。
「いくら五十路のおじさんへ嫁ぐ前に、遊んでおきたい。そう言う事でも、やり過ぎでしょう。……おっと、これも独り言です。」
「もぉ……しょうがないわぁね。じゃ、あぁたしから、お邪魔しちゃおうっと。」
素足の足音が、接近する。そこで……
「お戯れが、過ぎますわよ。『デライラ嬢』。」
「あぁらぁ、パリーじゃない。どうしてここに……ちょ! 離しなさいよ。」
足音から察するに、BJとアムもいるようだ。いや、脱衣場からパラブラス夫人の声も聞こえた。事が、ばれたので、すごすご帰ってくれるようだ。一安心だな。
「で、何故貴公が、ここにいる。BJ、パリー、アム。」
「そりゃ、脱衣場に『誰かさん』が、入ってきたから助けて欲しい。『遠隔通話』で、そう言ったのは、他ならぬウィルじゃないの。」
「だったら、さっさと出て行きなさい。今は、男湯の時間だ。」
「そりゃ、連れねぇな。折角、助けてやったのによぉ。せめて『ご褒美』はねぇのか。相棒。」
* * *
次回予告
第99話 護衛~『ご褒美』
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