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護衛~『馴れ初め』

「朝から、夕方まで、移動しっぱなしでした。昼休みを挟んだとは言え、疲労は簡単にはとれません。しかし、この村で一泊できるよう、手配して下さった。流石……」

 ファンスター村で貰った地酒で、軽く喉を潤す。

「流石、手回しが良いですね。パラブラス卿。」

「恐れ入ります。と言いたい所ですが、全て『侯爵』閣下のご家来衆の手配です。」

 さっきも、持参の地酒を勧めたが、『仕事中です』と、断ったパラブラス卿。

「おひおひ……『ご家来衆』って、微妙に日本的な言い回しじゃねぇーか。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「しかし、気になる事もあります。今は、食事も終わり、女性陣も交代で、入浴中です。人目も無い。そろそろ、お話し頂けませんか。パラブラス卿。」

「何の事でしょう。ユーロック卿。」

「お見受けした所、『デライラ嬢』は、庶民。『侯爵』閣下のお眼鏡に叶う、とは思えません。『侯爵』閣下とは、如何なる『馴れ初め』が、おありだったのでしょう。」

「その様な事でしたか、これは、公然の秘密と言う物です。が、決して情報源に関しては……。」

「勿論、ご期待を裏切る事ございません。私は、口動かざる事、山の如しです、パラブラス卿。」

「おひおひ……そりゃ、どこの『風林火山』だよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「確かに、『山を動かす』事は、流石の『侯爵』閣下にも手に余るでしょう。これは、公然の秘密ですが、『侯爵』閣下は、子宝に恵まれないのです。御年51、焦っておいででしょう。」

「ひょっとして、『侯爵』閣下は、家臣の娘を愛人にしておりますか。何人でしょう。」

「……21人です。ユーロック卿。」

「……成程。が、『他の貴族』から、『養子』を貰うと、『実家』の発言力が増大してしまう。逆に、乗っ取られてしまう『危険性』もある。ですね、パラブラス卿。」

「その通りです。更に、家臣の子息を、養子に迎え入れた場合、『選ばれなかった』家臣の間に、『不公平感』が、生じるでしょう。ユーロック卿。」

「そこで、『実子』にこだわる訳ですね、パラブラス卿。」

「はい。ですから、『侯爵』閣下は、領地内を『視察』し、見目麗しい村娘を見つけては、愛人にしておいでです。当然無料ではありません。金品や税の免除等を、対価としています。」

「確かに、『侯爵』閣下が、妥当な対価を支払い、村や両親、それに本人が、納得している。であれば、正当な事でしょう。パラブラス卿。」

「無論です。『侯爵』閣下が、抜かりなく差配しておいでです。ユーロック卿。」

「失礼致します。お風呂の準備が、できました。」

 このタイミングで、ノックの後、パラブラス夫人の声が聞こえて来た。

 この後、パラブラス卿のご厚意で、先にお風呂を頂く事になった。無論、酒は一杯だけだ。


 * * * 



次回予告

第98話 護衛~入浴

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