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次の街~賞金稼ぎから絡まれた

 結局、『侯爵』の報酬につられて受けてしまった。

 今は、私1人で『ギルド』の、広々とした待合室にいる。もうじき、彼女達が戻るからな。

「おう! いたな。ウィル。おめぇだろ、ウィルってのは。」

 むくつけきオッサン共が、やって来た。

「貴公、『人に名前を尋ねる前に自分から名乗れ』そう言う『常識』を教えられなかったのか。」

 一瞬、沈黙した後、むくつけきオッサン共は、爆笑した。

「はぁ! 『常識』ぃ~聞いた事もねぇや。あるって言うんなら、見せてみなよ。ウィル。」

「つまり、自分の無学を、棚に上げて、他人に責任転嫁しようと言う訳だな。」

「おいおい、んなこたぁ、どーでもいいんだよ。問題なのは、おめぇが、1人だけ『いい思い』してやがるってんだ。知らねぇ訳ねぇよね。キレイ処をそろえやがってよ。ウィル。」

「何の事やらだな。『奇麗処』とは誰の事で、私が如何なる利益を得ていると言うのかな。」

「ふざけんな! お前1人だけ『ハーレム』持ちやがって! お前みたいな自分勝手のせいで、割を食う奴が、いるんだよ!」

「おひおひ……そりゃ、大多数のライトノベル主人公を、批判し批評し批正してるだろう。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「ふっ……かような凡百の嫉妬こそ、よって立つ所! 読者の自己投影先に相応しい!」

 などと言う無意味な指摘に事実を被せる者などこの世界に存在しない。

「さっきから、聞いていれば、『ハーレム』『ハーレム』と、ギャアギャア喚き過ぎだ。だが、彼女達を、『ハーレム』要員とするならば、もう少し『慎み』が必要だな。」

「ん? ……なんか、言ったか。ウィル。」

「勘違いするな。私は『ハーレム』など持ってない。あの状態は、彼女達の自由意思だ。」

「嘘だ! どうせ『チート能力』を使ったに決まってる!」

 むくつけきオッサンの「やかましい! 独り占めしないで、1人くらい、シェアしろ!」は、「嘘だ! どうせ『チート能力』を使ったに決まってる!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某なんとか系ライトノベルとも無関係に相違ない。

「先刻も触れたが、私は彼女達の『自由意思』を、阻害しない。誰と交際しようが構わん。」

「ほぉ……なら、オレらが、ヤっちまっても、いいって言うんだな。ウィル。」

「勘違いするな。私は、彼女達の『自由意思』を尊重する。例え、誰であろうとも、彼女達の『自由意思』に従う事だ。少なくとも、私は、そうしている。」

 むくつけきオッサン共は、『言質を取ったぜ』とばかりに『ニンマリ』嗤って立ち去った。


 * * * 


「ウィリアム・ユーロック、自由騎士です。本日は、お時間を頂戴し、誠に恐縮です。」

「執事のパラブラスです。こちらは、妻のメリーです。本日は、侯爵閣下の名代として、まかり越しました。では、早速依頼内容の説明からしましょう。宜しいですかな。」

「宜しくお願い致します。パラブラス卿。」

 爵位こそ名乗らなかったが、侯爵の家来ともなれば、騎士階級くらい持っていて当然。

「では、今回護衛して頂きたいお方は、『デライラ嬢』並びに、『デライラ嬢』のお世話係。つまり、私と妻でございます。報酬は、……。」

 成程、侯爵の愛人候補は、庶民だな。余程、侯爵が気に入ったので、家族に金を積んだと言う所か。当然、庶民に使用人などいる訳も無い。そこで、女性使用人を連れて来た。と……

「いえ、結構、事前に伺っております。で、この金額は、侯爵閣下が、如何に『デライラ嬢』を、大切にされているか。そういうことですね。パラブラス卿。」

「はい。ですから、『デライラ嬢』を、ご無事に城までお連れする事。さもなくば、報酬も一切支払われません。宜しいでしょうか。ユーロック卿。」

 結局依頼を受け、細々した打ち合わせをして、3日後に出発する事になった。


 * * * 



次回予告

第94話 次の街~報復

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