次の街~関所編
「さて、これから西回りで、世界を巡る。そこで、『ミリオネア侯爵領』を越える。では、問題だ。『ミリオネア侯爵領』に関して、何か知っている者、答えなさい。」
「じゃあ、あたいから。」
「よし、BJ。」
「西側と言えば、養蚕業だ。あたいが、履いてるパンツやブラだって、『ミリオネア産』の絹で出来てる。」
「おひおひ……ブラって『履く』ものだったのかよ……」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「そうだな。北部では、『ゴム』。西部では、『絹』。南部では、『木綿』と『小麦』。様々な植生があり、輸出品に事欠かない。逆に、輸出を拒否されると、干上がる側面もある。」
「オレは、キヌより、モメンがいい。ウィル。」
「川の恵みも忘れては、いけませんわ。飲料水、農業用水、川船輸送……等々ですわ。ウィル。」
「そうだ。絹織物を、輸出する事で、『ミリオネア侯爵領』は、総じて豊かだ。だが、それが不正や腐敗の温床となっている。と言う噂だな。」
* * *
こうして、適度に暇つぶしをしていると、関所の順番がやって来た。
まず、『通行証』を見せると同時に、通行料を支払う。張り紙の記載通りの金額だ。
横柄そのものの態度を崩す事無く確認する衛兵。
統一されたデザインの簡素な皮鎧に、つばの広い帽子で、目元に影を作っている。
受付と看板がある小屋で、『通行証』を確認する衛兵、こちらは、ひさしの下だ。
「訪問の理由は?」
事務的そのものの態度は、何処の衛兵でも変わらない。
「観光です。ついでと言っては何ですが、良い酒場をご存じありませんか。」
事実を、テンプレート通りの回答ですます。こういう時こそ、『時は金なり』だ。
「通ってよし。」
机上の側に積んだ書類の上から、1枚取って渡してくれる。これが、『通行証』の確認済みと言う書類だ。大事に持っていないと……
「そうそう、酒場なら『デライラ』がお勧めだ。『スターファの紹介』と言いな。」
小声でツイートする衛兵に、小声でお礼を言って、門を通過する列に並ぶ。
* * *
次回予告
第91話 次の街~城郭街
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