『廃嫡』
話は、約1年前に遡る。
「『廃嫡』ですか、父上。」
「時代劇で、聞いた事がある。後継ぎ息子として育てていたが、『やっぱやーめた』とするのが、『廃嫡』だ。後継者として養子を取ったが、後に『実子誕生』するのが、主な例だ。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「おひおひ……そりゃ、一体何処の『応仁の乱』だっつーの。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「すまん! 俺は……本当は……お前に……あとを……。」
「大丈夫ですよ。それは、5年前、弟が、生まれた時、既に予想してました。ロジャーは、間違いなく、父上と母上の子です。養子は、用済みになったのでしょう……」
「違う! 『用済み』なんて言うな! お前だって、俺の息子だ。」
「しかも、実子にばかり愛情を注いでいるのは、母上の方ですしね。」
そう言えば、こんなにも苦しそうな声を出す所を見た事が無い。結局、この後僕が16歳になった時、家を出て行く。それと引き換えに、ある『約束』を取り付けた。
* * *
次回予告
第10話 ファンスター村
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