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『好天街』

 結局、『バジリスク退治』の報奨金は、『黒龍騎士団』に4割、4割私達。残りは各種雑費。今回は、鑑定士など、金がかかった。宝石は、実家の秘蔵品を借りたので、無料だったがな。

 そこで、4等分して私にも1割入った。この臨時収入を手に、行くべき所があるんだ。

 『好天街』……通称『大人の歓楽街』だ。今日は、1人で……娼婦と打ち上げを愉しもう。

 流石、王都だ。様々な店が軒を連ねている。選ぶのも一苦労だ。

 そこで、『好天街』の入り口にある酒場に入る。ここは、2つ目的がある。

 1つ、事前に1杯引っかける。2つ、各店舗の混雑状況など情報提供拠点だ。

 初めて足を踏みいれる都市の事は、その街の衛兵に聞く。父上の助言に従って、ここ数日、彼等に酒を飲ませてやったのだ。そして、今日ようやく一人の時間ができた。

「ご主人、ラム酒を一杯。」

 店に入ってまずは、注文だ。心身共に温めておきたい。無意味な緊張をほぐす為だ。

「申し訳ございません。お客様、今しがたラム酒は、品切れになりました。その……ボトルで、購入された方が、いらっしゃいまして……。」

「へぇ、中々の酒豪だな。昼からラム酒一瓶とはな。会ってみたいものだ。」

「お呼びでございますか。」

 ……『遠隔通話』……

「何故、君がここにいる、ミンゴ。」

「おや、それを言うなら、ウィル様こそ、でしょう。」

 双方間通信が可能なのは、二人共『遠隔通話』を使用できるからだ。

「それは、私の邪魔をする理由にならないぞ、ミンゴ。」

「別に、邪魔などしておりません。皆様で『お愉しみ』しようと考えたまでです。ウィル様。」

「そう言う事か……。」

 そこに、かしましい声共が、ぞろぞろと入店して来た。

「お! 相棒、こんな所にいたのかよ。」

「あら、一人飲みですの。ウィル。」

「オレも、のみたいぞ。ウィル。」

「騒がしいな。で、ここの場所は、ミンゴから聞いたのか。」

 全員、そっぽを向く。こう言う一糸乱れぬ動きは、戦闘にこそ生かして欲しい。

「そんなに、私と飲みたいのか。」

 全員、頷く。これこそ、飼い犬の如しだ。止む無く、場所を変えて飲みなおす事で、全員を納得させる事が出来た。


 * * * 



次回予告

第89話 次の街~出発編

ご愛読ありがとうございます。

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