捕り物~黒幕
それから、準備に10日近い日数かかった。それでも早い方だと言えよう。
「ウィリアム・ユーロックまかり越しました。」
扉の前に立ち、中の人に声をかける。
「入りたまえ。」
扉を通過したのは、岩をこすり合わせたのか、とも感じられる初老の男性の声だった。
「失礼致します。」
入室する。内装は、豪華そのもので、壁には絵画が多数飾られていた。
「君の『お礼状』は、見せて貰った。丁寧な出来栄えだったよ。」
「とんでもない。『枢機卿』猊下。『お礼状』の返礼まで頂き、お礼を申し上げるのは、私の方です。『枢機卿』猊下のご信仰心に、助けて頂いた事、感謝申し上げます。」
「……例には、及ばずだよ、ユーロック卿。それもこれも、全て『神』の思し召しだ。我らにできる事は、ただただ『神』に感謝する事のみ。」
祈りを捧げる『枢機卿』に、本題を突き付ける。
「では、『偽造免罪符』を作成し、『犯罪組織』に、売却したのも『神』の思し召しですか。」
「……今すぐ退去したまえ。さすれば、『暴言』も『妄言』も『失言』も、聞かなかった事にしよう。ユーロック卿。」
「しかし、『犯罪組織』が、自供しましたよ。『枢機卿』から売却されたと。自分達は、転売したに過ぎない、とね。ご存じでしたか。」
「はっ……そんなもの、下賤な者のいい訳であろう。口先だけの妄言に過ぎない。」
流石、『枢機卿』まで上り詰めた男だ。。この程度では、びくともしないか。なら……
「……では、こちらを、どのように、ご説明なさいますか、『枢機卿』。」
そこで、件の『偽造免罪符』と、『お礼状』の返礼を机上に並べた。
「時に、ご存じですか、『枢機卿』。王都には、『筆跡鑑定士』がおります事を。ちなみに、鑑定結果の『写し』もこちらに、ございます。」
毒杯でも見せつけられた。そう言いたげな目で、書類を睨む『枢機卿』。
「話が、まだるっこしいね。欲しい物があるのだろう。さっさと名言したまえ。」
「流石に、『枢機卿』まで上り詰めただけの事はある、これらの事実が、『教皇』の耳に入れば、破滅する事を『予測』できている。それ故の発言だ。」
「……何か言ったかね。」
「お話が、早くて助かります。そう申しました。では、2つございます。1つ、『石化解除』の支払い免除です。そして、2つ目ですが……」
* * *
次回予告
第87話 後日談
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