捕り物~本気
悲鳴をBGMに、全員が驚愕していた。
「なんだ! あの女の上着から、『蜂』が、出やがった。」
背の高い男は、悲鳴を上げつつ、『隠し扉』を通って、『蜂』から逃亡する。
「何やってんだ! 包囲しろ! 全員で、かかれ!」
棍棒や砂のつまった革袋などを手に、包囲を狭める男達。それを遠巻きに見つめるスキンヘッド。
「あらあら、血走った目……本気ですねぇ……では、仕方ありません。わたくしも、本気を出すとしましょう。……狐ぉぉぉぉぉっ!」
仮面と帽子を脱ぎ捨てた時、『変身』を完了した仮面の女性。
「まさか! 『獣人』。しかも、全種族中、最も『魔法適性』が、高いと言われる『人狐』かよ! 冗談じゃねぇ! こんな化け物、やってられるか!」
「ではでは、わたくしの『本気』をお見せいたしましょう。……狐ぉぉぉぉぉっ!」
直立二足歩行する『白狐』が、咆えると黒いカスミが、掛かって見えた。
「な……なんだとぉっ!……おっ……音ぉぉぉっ! 『蜂』ぃぃぃぃぃぃっ!」
相手が、か弱い女と見れば、居丈高になる男達も、『蜂』に刺されたくはない。我先に、一目散に、来た道を引き返して、逃亡する。
「……報告は、以上ですわ。ウィル。」
* * *
「冗談じゃねぇ! こんな化け物、やってられるか! あの野郎、只じゃおかねぇ!」
スキンヘッドが、取り出したのは、『遠隔通話』が、込められた『魔法装置』だった。
「へっ、これさえ、ありゃあ、『魔法』なんて覚えなくても、済むってもんだ。金さえありゃあ、こんな便利な物だって買えるんだぜ!」
そして、『魔法装置』に込められた『遠隔通話』を発動させる。
「おれだ! 兎に角、『魔法』がいる! 人を寄こせ! おい! 答えろ!」
隠し通路を走りながら、まくしたてる。『遠隔通話』を受けている人物が、『遠隔通話』を使えるかどうかは、知っているのだろう。
「ちっ……『遠隔通話』に出やがらねぇ……まぁ、いい。取り敢えず、アジトに行くか。」
隠し通路の出入口を、開け外へと出るスキンヘッド。
「ひぎゃぁっ!」
顔面に、馬の後ろ蹴りを喰らい、後方に吹っ飛び、すっ転んだスキンヘッド。
「『黒龍騎士団』だ。神妙にお縄に着け。……って、気絶してやがる。」
こうして、一網打尽になった悪党共だった。
* * *
次回予告
第86話 捕り物~黒幕
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