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今回の仕事~偽造

 終わった頃合いを見計らったかのように、声をかけられた。但し、室内に姿は見えない。

 これは『密偵局』……『黒龍騎士団』が、召し抱えている『諜報工作員』に該当する連中だ。

「『密偵局』か。私に話しかけて来るとは珍しい。が、用件の前に、手紙を届けに行きたい。その後にしてくれたまえ。」

「では、雑用はこちらで、済ませておきます。用件に入っても宜しいでしょうか。」

「手紙が、無くなっているぞ。私の許可無くやったのか。」

「火急の用件につき、ご容赦願います。」

 『密偵局』は、優秀だ。『済ませておく』と言った以上、すぐに終わる事相違ない。

「やむを得ない。その『火急の用件』について、説明して欲しい。」

「はい。実は、王都で『偽造免罪符』が、出回っております。それで……」

「おひおひ……『免罪符』だけじゃなく『偽造免罪符』って、どんだけ『香ばしい』んだよ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「『偽造免罪符』の出元を調査し、犯人は、可能な限り生かして捕縛して頂きたいのです。」

「待ってくれ。そもそも、『偽造免罪符』とは何だ。どの様な『偽造』が、為されているのか、教えて欲しい。」

 本来、『免罪符』とは、『教皇』が、発行販売する物だ。が、現在では、『枢機卿』も、『免罪符』を、発行販売可能だ。何を『偽造』する必要が、あるのやら……

「はい。王都で発行販売する『免罪符』は、『枢機卿』猊下の名前で実施しています。しかし、『偽造免罪符』は、『教皇』猊下の名前です。」

「それは、あれか。『枢機卿』の名前だと、『免罪符』に『箔』がつかない。だから、『偽造』してでも『教皇』の名前にすると言う事か。」

「おひおひ……『免罪符』に『箔』がつくって、どういう違いがあるんだよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「そりゃ、『教皇』の名前は『金メダル』だ。が、『枢機卿』だと『銀メダル』だからな。」

 などと言う無意味な指摘に事実を被せる者などこの世界に存在しない。

「はい。『枢機卿』猊下の名前で発行された『免罪符』は、『教皇』猊下の名前で発行された『免罪符』より『安く』しないと『売れません』から。」

「おひおひ……そもそも『免罪符』自体が、香ばしいのに、ずれた所を問題視するなよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「当然、『教皇』の名前で、発行販売された『免罪符』より、実際の流通量の方が、多いと言う『ウラ』は、取ってある訳だな。」

「はい。ウィル様。」

「では、最後の質問だ。それを調査するべきは、聖教会だろう。『利益』を損なわれている『直接被害者』なのだからな。私や『黒龍騎士団』が、調査する義務があるのか。」

「この話を団長になさったのは、国王陛下でございます。ウィル様。」

「成程、国王陛下は、『免罪符』そのものに、『憂慮』されている。が、その上『偽造免罪符』とくれば、それを上回る。それに、聖教会に『恩』を売るいい機会でもある訳か。」

「ご明察恐れ入ります。ウィル様。」


 * * * 



次回予告

第80話 今回の仕事~説明

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