お母さん、助けて!
こうして、『黒龍騎士団』は、『奴隷商人』を『捕縛』し、捕らわれの身だった『奴隷達』を解放した。その後、文官達に手続きを託し、打ち上げと称して、酒場に入った。
「団長、結局その子どうするんです?」
「俺の養子にする。もうこいつは、俺の息子だ。」
「へぇ、でも嫁さんも未だなのに、子供を引き取って、育てるなんて、結構大変ですよね。」
「まぁ……何とかなるさ。」
「なる訳ないだろ! 男やもめの中世武人が、子育て何かできるかぁっ!」
等と言う無駄口を叩かない。
「いらっしゃいませ。団長さん。ご予約の席は、こちらになります。」
店に入った『黒龍騎士団』を迎えてくれたのは、店の看板娘らしい。美人だ。
「今日も世話になるよ。」
すると、照れくさそうに、後頭部をかく団長だった。よし、これだ。これしかない!
まずは、看板娘に、駆け寄る。
「あら、どうしたのかしら。坊や。」
接近した僕の目線に合わせて話しかける看板娘。
『情けは人の為ならず』!
「『お母さん、助けて!』」
『消費』1回っと。
急に眼をパチクリする看板娘。ややあって……
「そっか、坊や、アタシの子供になるかい。」
「待ってくれよ。そいつは、俺が引き取って育てる。もう、俺の息子なんだ。」
看板娘に抱き上げられた。ここは、反論される前に先手を取る!
「お父さん、お母さん、喧嘩しないで……。」
急に、気まずい雰囲気になった。無理も無い。子供に諭されたのだからな。
「……なら、団長さん、アタシと結婚するかい。なら、二人でこの子の両親になれるでしょ。」
「いいのか?」
剃り上げた頭部を、『ピカッ』と光らせる団長。
「いいも何も……それが、この子にとって最善だと思っただけだよ。」
「よっ! お似合いの夫婦誕生だ。」
店内から、拍手喝采が、沸き起こる。それに、背中を押されたのか、照れくさそうな、貌の団長が、彼女と手をつなぐ。良かった、話しが丸く収まって……
* * *
次回予告
第8話 新生活
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