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僕の『番』だ!

 けたたましい音で、叩き起こされた。

「何だ、何だ、何事だぁっ!」

 檻の中からでは、はっきり見えないが、『水晶玉』らしきものを、机上に置いて、なにやらブツブツと、ツイートする『奴隷商人』。

「おい! どうした。何があった!」

 どうやら、『助け』が、来たらしい。とは言え、檻の中では、ストレッチもままならない。

 ふくらはぎなどを、軽く揉み解すに、とどめる。

「役立たず共め。」

 舌打ちを1つ。またも、『水晶玉』らしきものに、ブツブツツイートする『奴隷商人』。

「シュワルツ・ランツェレイター!」

 『奴隷商人』の「こっ……『黒龍騎士団』だとぉ!」は、「シュワルツ・ランツェレイター!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某宇宙を駆ける英雄達の伝説とも無関係に相違ない。

「冗談じゃない!」

 慌てて、悪態をつきつつ、寝間着から着替え、荷造りする『奴隷商人』。

「あいつら、賄賂が効かないから、沢山偽情報を与えたのに、何でここが、ばれたんだ!」

 今ので、4つの事実が分かった。

 1つ、『助け』に来たのが、『黒龍騎士団』だと言う事。

 1つ、他の『官憲』は、いず知らず、『黒龍騎士団』は、『買収できない』事

 1つ、机上の『水晶玉』は、通信機と監視カメラの受像機を、兼ねている事

 1つ、『奴隷商人』は、『違法行為』に手を染めており、『官憲』に終われる身だと言う事

「つか、『買収できる官憲』って、何か意味あんのかよ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

 何やら、腐敗の匂いがするが、この際関係ない。

 更に、付け加えるなら、この『奴隷商人』に、『怒り』も『恨み』も『憎しみ』も湧かない。だから、奴がどうなろうと、知ったこっちゃないし、どうでもいい。

 奴が、鞄を手に裏口らしき扉をくぐる所を、ただただ待っていた。『助け』が来るのを……

「ぴぎゃぁっ!」

 狸どころか、と殺場の豚みたいな悲鳴だった。

 扉の向こうへ消えた筈の『奴隷商人』を、こちら側へと『吹っ飛ばした』上で、仰向けに倒すほどの、何かがあったのだろう。答えは、すぐに現れた。

「こっ……『黒龍騎士団』……『団長』……。どうして……。」

 鼻を押さえながら、微妙にくぐもった声を発する『奴隷商人』。鼻の骨でも折ったのか……

「ほぉ……いつの間にやら、俺も有名人ってとこか。」

 現れたのは、そり上げた頭部に、太いもみあげ、剛毛のヒゲの大男だ。プレートメールと、兜の代わりに、鉢金付きの鉢巻きを着用していた。

 右手の手甲に、血が少し付いているのは、奴を殴ったから、だろう。

 周囲を睥睨し、目聡く僕を見つけた『黒龍騎士団団長』。目が合った。

「ほぉ……国王陛下が、禁じた『奴隷売買』に手を染めた挙句、子供まで、『商品』扱いかよ。とんだ腐れ外道だぜ。」

「ひぃぃっ! め、め、め、滅相もございません。わたくし、只の使用人でございますぅっ! 主の言いつけで、留守番をしているだけです。何卒ご容赦を!」

 ひたすら、平身低頭する『奴隷商人』。それを見下ろす『団長』。

「そう言う事なら、しょうがねぇ。……おい、(こいつを)ぶち込め!」

 後半を正面口から、雪崩れ込んで来た、同じくプレートメールに身を包んだ男達の内1名に、大声で告げる『団長』。鼻血を漏らす『奴隷商人』を、引っ立てていく『黒龍騎士団』。

「ひぃぃっ! お助けを! 私は無実ですぅ~~。」

 よし! これで、ようやく、僕の『ターン』だ!


 * * * 



次回予告

第6話 お父さん、助けて!

ご愛読ありがとうございます。

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