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……に行きたいかぁっ!

「おかしい……。」

 いつまで経っても地面に着かない。どうして、そう思った時だった。

「あっちゃぁ……どうして、こうなっちゃうんかなぁ。」

 空中浮遊状態で隣に現れたのは、神主風の和服を身に着けた子供の頭部を『狐』にした者だった。

「何か、用かい。そろそろ、死にたいんだけどな。」

「おっ、よく気付いたね。今、あんたの『主観時間』を『限りなく無限』に『伸ばして』いるんだよ。で、あんたみたいないい子が、死ななきゃならないって、悲しすぎるだろぉ。」

「……それって要は、この『無意味な時間』を作っているのは、君だって事かい。そろそろ、持って回った言い方を、やめて本題に入るか。さっさと、死なせてくれ。」

「おいらは、見てたよ。あんたが、この5年間ずっと耐えて来てた事くらい。盗まれた物は、教科書、ノート、上履き。100件を超えてた。暴力も毎日。何でかなぁ。」

「楽しいか。他人の『嫌な思い出』をほじくり返すのは。で、さっさと、死なせてくれ。」

「ネットの誹謗中傷も無視できた。その、あんたが『自殺』なんて、あいつらが、『あんな事』さえ、しなきゃ……。」

「これ以上言うな!」

 驚くほどの大声を、放ってしまった。

「兎に角、『他人の傷口』を、ほじくり返すな。さっさと、死なせてくれ。」

 ため息をつく『狐』だった。

「………………決意は、堅いんだな。分かったよ。本題に、入ろう。おいらは、『神使しんし』だ。あんたの『最終意思確認』に来たんだぁ。」

 『神使しんし』……確か、神の使いだったか。すると、『どの神』なのか、と言う疑問はある。だが、むしろ……

「『最終意思確認』? 何のだ。」

「さっき、あんたは、言った。『この世界よ、さようなら。』となぁ。」

「そういえば、言ったな。で、それが何だ。」

「この世界から離れ、『異世界』へ旅立つ気は無いかぁ。」

「問題だらけだな。第1に、僕は『異世界語』を知らない。第2に、違う土地の食事、水を飲んだだけで、お腹を壊す。それに、死人のまま旅立っても、しょうがないだろう。」

「大丈夫だよ。あんたが、『体験』するのは、『異世界転生』……『異世界』で、新たな生を授かるんだ。そう言った問題は無いよ。そうだな、『毒と病気』は、『無効』にしとこぉ。」

「おひおひ……今更、手垢まみれの『異世界転生』か。そんなんで、人気出んのかよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「さっき、君は『神の使い』を名乗った。つまり、これは『神の意思』なんだな。」

「そだよ。で、ちこっと『サービス』する事もな。これから、あんたに、『チート能力』を授ける。で、その『チート能力』の内容も確認しておきたい。どんな『能力』がいいかなぁ。」

「そりゃ、当然モテまくりの人生がいいな。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「ん? なんか言ったかぁ。」

「きっと、気のせいだ。そうだな、次の人生は、『他人から助けられる人生』にして欲しい。」

「分かった。あんたの希望は、『可能な限り』叶えるさぁ。」

「自分で言っておいて何だが、よく『神様』が、そんな事許可したな。」

「大丈夫、あんたをイジメた『加害者共』の『才能』を『没収』した。罰としてな。そいつが、あんたの『チート能力』の『源泉』さぁ。」

「成程、なら尚の事、大した『能力』は、手に入りそうにもないな。」

「ちげぇねぇ。」

 なんだろう、変な……そう、河原で並んで夕陽を見つめる友達……そんな感じがした。

「ニューヨークに行きたいかぁっ!」

 『神使しんし』の「じゃ、最終確認だ。『異世界転生』したいかぁ。」は、「ニューヨークに行きたいかぁっ!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某クイズとも無関係に相違ない。


 * * * 



次回予告

第3話 『情けは人の為ならず』

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