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海賊船~一人では、ない

 こうして、意識を失ったのか、甲板から足が離れ、海へと落下する『壁男』。

「戦闘自体は、終わった訳では無い。が、一山越えたか……。」

「ひ……ヒトリでは、4……7……いっ……『流星陣』!」

 空中で、素早く矢をつがえ、放つ『壁男』。矢は、天高く飛翔。『壁男』は、海に落ちた。

「普通、『死んだフリ』とは、生き残る為にやるもの。それを……まずい! 嫌な予感が!」

「嘘っ! さっき撃った矢は、『一本』だったのに! 何時の間に、あんなに多量の矢が!」

 そんなパリーの叫び声など、耳に入らない。兎に角、矢の『絨毯爆撃』から逃げないと。

「頑張れ! 矢の『範囲外』まで、泳ぐんだ!」

 まずい……イルカは、頑張っているが、完全には間に合わない。こうなったら……

「こうするんだよぉっ!」

 イルカの背中に、またがった状態から、両脚を海面に上げる。V字開脚の姿勢で、尻を支点に180度回転。仰向けに、寝そべる。で、ぎりぎりまで矢を引き付ける。

「ちょっ……と、危ないわ。矢が、降って来るわ! ウィル!」

 左手で持った弓を、一薙ぎする。驚くべき事に、矢は『幻』ではなかった。

 かなり多数の矢を、払い落とす事ができた。が……

「くっ……左脚と、左肩に刺さったか……イルカが、無事だし、良しとするか。」

 今回は、鎧を着けていないので、やむを得ない。むしろ、『クリスタル・ヘルム』様々だな。

「おや、矢が『消失』している。傷は、そのままなのにな。すると、さっきの『技』は、1本の矢を『分身』させて、『範囲』を攻撃する訳か。結構、厄介だな。」

 むしろ、こんな『隠し球』が、ある事が驚きだ。恐らく、回数制限でもあるのだろう。

「海賊の一味の死体を、くくりたい。ロープを降ろして欲しい、パリー。」

「かしこまりぃ。ウィル。」

 こういう時こそ、便利だな、『遠隔通話』。

「手当をして下さい。ウィル様。」

「大丈夫だ、矢こそ、刺さったが、矢尻が食い込んだ訳では無い。気にするな、ミンゴ。」

 まあ、カショーギ号が、海賊船に追いついた事で、ミンゴも追い付けた訳だ。

「いけません。例え小さな物でも傷は傷。手当てさせて頂きます。脱いで下さい。ウィル様!」

「おひおひ……男の裸なんか出して、誰得なんだよ。……」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

 で、上半身だけでもと、脱がされて、『診察』された後、ミンゴに海に落ちた者の救助と、死体の回収を任せて、船に上がる事にした。


 * * * 


次回予告

第155話 海賊船~海賊船に突入

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