海賊船~反乱
何と、海賊船甲板から、矢が放たれたのだ。が、かすりもしない。海に落ちた。
そりゃ、そうだ。私は、海賊船が灯した明りを、頼りに射撃している。だが、私自身は、明りを持って無い。星明りだけで、命中させるには、獣人並みの知覚力が必要だ。
しかし、海面からガレー船のオールを出す『窓』を狙うと、上に撃つ必要がある。これも、難易度を上げているんだよな。外しても、地道に撃つしかないな……
「その時歴史が動いた。」
「だが、状況が動いたのは4本目の矢が『窓』に吸い込まれ、悲鳴のような声が聞こえた時だった。」は、「その時歴史が動いた。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某テレビ番組とも無関係に相違ない。
「何だ。随分騒がしいな。それに、全部では無いが、海賊船のオールが、止まってる。」
「おっ……上手くいったみたいじゃねぇか。相棒。」
「そりゃ、ウィルのカタクて、ぶっといモン、ぶちこまれて、あせってるんだろ。」
「含みのある物言いをするな、アム。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
「おお、追い付いたか。お疲れ。」
BJと、アムのイルカの頭を撫でてやった。
「おい、見ろよ。相棒。海賊船のオールが、どんどん、止まってるぜ。きっしっし……。」
「成程、明りを消せば、撃たれるのも防げる。が、見張り番が、拒否した。それに、激怒した『漕ぎ手』が、内部で反乱を発生させた。そう言いたい訳か、BJ。」
「当然じゃねぇーか。見張り番は、明りが無いと、漕ぎ手がサボっても、分からなくなる。だから、『漕ぎ手』が『殺意』を持つに決まってらぁ。相棒。」
「すげぇ、オレたちにできないことを、カルくヤっちまう。それが、ウィル。」
「そこに、ひかれる。あこがれるぅ。」
彼女達の感嘆と称賛の声は、「そこに、ひかれる。あこがれるぅ。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某奇妙な吸血鬼とも無関係に相違ない。
「ん、海賊船のオールは、全て止まった様だな。左舷は、どうだか不明だが……」
「おっ……そうだなぁ、どうする。見に行くか。ついでに、殺るか。相棒。」
「おう! オレも、ユミ、もってきたぜ。ヤるなら、ヤるぜ。ウィル。」
「いや、内部が大混乱に陥ってくれれば、それでいい。下手に移動して、場所を発見されてもつまらない。ここは、移動せず、監視するだけにしよう、BJ、アム。」
「それもそうだな……まぁ、相棒が、ここにいるんだ。あたいは、相棒を守るぜ。」
「オレだって、まもるぜ。ウィル。」
甲板から、放たれた矢を、戦斧で弾くアムだった。
* * *
次回予告
第152話 海賊船~光よ!
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