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海賊船~狙いは……

「で、ようやく準備が、整った。全員、準備はいいな。」

「いつでも、いいぜ。相棒。」

「オレに、まかせな! ウィル。」

「よし! 進め! パリー。」

「かしこまりぃ。ウィル。では、出発!」

 等と仰々しく見えているが、原理は単純だ。BJを左、アムを右に配置し、3頭のイルカをロープで繋いで、動かない私のイルカを2頭がかりで、引っ張らせる。ただそれだけだ。

「単純だけに、中々早いな。この分なら……と言いたい所だな。」

「相棒。あたいのイルカだって、疲労するんだ。でもよぉ……」

「こういうトキに、ビビっちゃイケねぇ。ガンガンいくぜ! ウィル。」

 海賊船が、ぐんぐん近づいて来る。もう少し、あと少し、引きつけて……

「……よし! 『今』だ。」

 予備の短剣を二丁使って、左右のロープを斬る。すかさず、泳ぎ出す私のイルカ。

 勿論、ナイフは、ヒップホルスターにしまい、姿勢を低くして速度に備える。

「いいぞ。二頭がかりで、引っ張られた速度は、『慣性』で、残っている。そこに、今まで温存していた体力を、ここぞとばかりに使って『泳ぐ』。これで、速度は上乗せされる。」

 等と言う無駄口を叩かなかった。舌をかむ恐れがあるからだ。

「つか、むしろ、ロケットの加速方式かよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

 そんなこんなで、ようやく海賊船に追いつくと、右側に回り込む。私が右利きなので、イルカに船と並走させながら、船に向けて弓を撃つには、こちらに回り込むしかないからだ。

 長弓に矢をつがえて、放つ。この一見すると、単純作業が意外ときつい。流鏑馬ならぬ、ヤブサイルカと言う所だ。唯一の朗報は、漕ぎ手の為に灯された明りが漏れている事だ。

「うっ……狙った筈の窓じゃない。隣の窓に吸い込まれた。悲鳴が、聞こえなかったのは、外れたのか。狙いについては、何とかなりそうだが、ままならないな……。」

「おひおひ……船の漕ぎ手を狙って『狙撃』なんて、お前は、何処の源義経だ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「つか、一撃で船の推進力が、失われたら、『あの弓には戦艦主砲並みの威力があるのか!』って言う事になるだろうな。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

 某赤い彗星とも無関係に相違ない。

 何やら、船の方が騒がしいが、中の様子を伺い知る術は無い。兎に角、矢を叩き込む。

「おっ……今度は、悲鳴らしいのが、聞こえたな。ようやく、当たったか。次弾装填……。」

 そんなこんなで、矢を叩き込む。3本目を『窓』に叩き込んだ所で。次のアクションだ。


 * * * 


次回予告

第151話 海賊船~反乱

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