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聖都『ラーボリア』~ついでに仕事を引き受けた

「実を言えば、エーテ・トゥリー尼官は、『枢機卿』のご令嬢なのです。」

 ああ、そっちか。貴族令嬢ではない訳だな。だが……

「しかし、聖職者は、結婚を『禁止』されているはず。つまり、『愛人』の子ですね、司祭殿。」

「おひおひ……聖職者の『結婚禁止』とか、『愛人の子』とかって、何処の中世だよ。」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「ええ。ですから、これは『公然の秘密』なのです。察して下さい。ユーロック卿。」

「はてさて、私は何を『察すれば』宜しいのでしょうか、司祭殿。」

「本日は尼官が、大層ご迷惑をおかけしました。入国審査含など、手続きさせて頂きました。」

 何だろう。この、もって回った言い回し……嫌な予感がするな……

「今しばらく『ご迷惑』をおかけするかもしれませんが、何卒宜しくお願い致します。」

「そ・れ・は、エーテ・トゥリー尼官は、私の事を『まだ疑っている』訳ですか、司祭殿。」

「そこで、明日から聖教会による『定期監視聖務』に、ご参加して頂きたい。何卒……」

「しかし、私の一存では、決められません。仲間達と協議したい所です、司祭殿。」

「そこで、本日は我が家にお越しください。ご逗留いただき、決断すれば宜しいかと……」

「では、私から1つお願いがあります。全員が、満腹になるまで、食事を提供して頂きたい。」

「分かりました。準備いたしましょう。ユーロック卿。」


 * * * 


「いやぁー、うまかったぜぇ。相棒。」

「本当、素晴らしいお料理でしたわ。ウィル。」

「オレも、マンゾク。ごちそうさまぁ。ウィル。」

「ありがとうございます。ウィル様。」

「お礼なら、お礼はブライトン司祭にしなさい。今日の一宿一飯を、提供して下さったんだ。」

 一飯どころか、100飯くらい食べたかの様な、勢いで食べたからな。

「ありがとうございます。ブライトン司祭。」

 全員の声が、唱和ハモったした。

「……そ、それは、なにより。」

 対照的に、やや引きつった貌のブライトン司祭。『取調室』での余裕は、消え失せていた。

「で、今回の『仕事』を、引き受ける。で、いいんだな。」

「イイとも!」

 彼女達の、承諾は、「イイとも!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某番組とも無関係に相違ない。


 * * * 



次回予告

第146話 聖都『ラーボリア』~仕事の説明

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