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教皇領~入国

 テイル王国は、東西に長い為、教皇領までの直通便であったとしても、寄港地を幾つか挟む。そうして、同じ事を繰り返しつつ、教皇領、聖都『ラーボリア』に到着した。

「で、何度も言っているのだが、さっさと、『首輪を外しなさい』、BJ。」

「ええぇー。これ、相棒が、あたいの為に『初めてプレゼント』してくれた物なんだぜぇ。」

「だ・か・ら、『首輪を外してしまいなさい』。早くしなさい、人が見てるだろう、BJ。」

 そう、今私達は、下船し入国審査の列に並んでいる。そこに、これ見よがしに、l犬用の首輪を着けた女性がいる。正直、リードを叩っ切りたい気分だ。こういう時の『遠隔通話』……

「BJに首輪を外させなさい、パリー。」

「それが……この子、意外と精神が強くて、かかりにくいんですわ。ですが、頑張りましょう。勿論、上手くいったら、ご褒美が、あるのでしょうねぇ。ウィル。」

「BJの首輪を叩っ切りなさい、ミンゴ。」

「申し訳ございませんが、気付かれる前に、素早くとは出来かねます。ウィル様。」

「気付くのは、BJだけだろう。港の役人や通行人なら誤魔化せる。大丈夫だ、ミンゴ。」

「ですから、そんな事をすれば、私が恨まれます。申し訳ございません。ウィル様。」

 『遠隔通話』で、密談していたところ、いつの間にかやられていた。私の右手首に、首輪のリードが、巻き付いていた。恐らく、投げ縄の応用だろう。

 左手で、ほどきにかかる。くっ……なんで、こんなにきつい。左手だと上手くほどけない。

「何をしているのです!」

 すごい勢いで走って来たのは、女性用神官服を着用した金髪碧眼の若い美人だった。今しがたの怒声も、声の主でもある。

「貴方! 奴隷商人ですか! 女性に首輪をつけてリードで引き回すなど、神は許しません!」

「何をしている。さっさと首輪を外させなさい。指差されているだろう。どうした、パリー。」

「……中々上手くいきませんの。まだ、時間がかかりそうですわ。ウィル。」

「……貴方、ひょっとして『魔法』を使っていますね。何を誤魔化そうとしているのです! これは、看過できませんね!」

 要するに、この女性は、『魔法を視る能力』ないし『魔法』を使っている訳だな。

「あ……済まないが、手伝ってくれませんか。縄が、食い込んでほどけないのです。」

 そう言いつつ、女性に右手首を突き出す。呆気にとられた貌をする女性。

「ええ、ですから、これは縛り付けられたものです。自分の意志で、やったのではありません。何なら、神に誓いましょう。」

 結局、説明も虚しく、女性が呼びつけた聖騎士十数名に、連行される羽目になった。


 * * * 



次回予告

第144話 教皇領~入国するだけで大騒ぎ

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