港町盗難殺人事件~酒宴
「まったく、真に恐ろしきは、『女の嫉妬』と言う訳か。」
「そうだぜ、女の嫉妬は、恐ろしいんだ。特に、相棒は、注意しなきゃな。」
BJが、お酌してくれた酒を飲む。
「そうですわね。今回の一件、誰が最も活躍したのか、そこを考慮すべきですわ。ウィル。」
酒を飲み干す。今度は、パリーのお酌だ。
「ええーっ、オレだって、コトバはなせないBJのカワリに、はなしたんだぜ。ウィル。」
「ペースが、早い。少し待ちなさい。今、飲み干す。」
空になった酒杯を、傾ける。お酌するアム。
「私も同意ですね。あまり、依怙贔屓なさいますと、軋轢が生じます。ウィル様。」
「当然だろう、私を何だと思っている。それに、酌なら少し待ちなさい。ミンゴ。」
またも、酒杯をあおる。空になったので、ミンゴに向け、お酌して貰った。
「華やかなりし、木陰かな。見事なお手並みですな。ユーロック卿。」
「ピラト卿……部下達と会話は、もう宜しいのですか。」
「ええ、何と言っても彼は、『平民』出身ですから、小官が、いると落ち着かないのです。」
「そう言うものですか、ピラト卿。」
言われて見れば、『黒龍騎士団』は、『国防最前線』であると同時に、『一族郎党』でもあった。むしろ、アットホームとも言える関係だった。一方、こちらは『プロ軍人』だな。
「ユーロック卿の、華やかなお仲間達にも、お礼を言う事が出来ました。どうです。」
酒瓶を手にするピラト卿。
「いえ、申し出はありがたいですが、そろそろ……申し訳ない、ピラト卿。」
「そう言う事もありましょう。お気になさらず。ですが、私からも宜しいか。ユーロック卿。」
「何でしょう、ピラト卿。」
「ユーロック卿は、『知力』『武芸』『人心掌握』など多芸でいらっしゃる。卿の周囲……特に、人間関係の絶妙なバランスを、見れば一目瞭然です。」
「そうですか……私は、常に『誠実』を旨としています。恐らくそれが、良い方に進んでいるのでしょう。それが、何でしょうか、ピラト卿。」
「絶妙『過ぎる』のです。ユーロック卿。卿に向けられる好意は、多数あるのに、卿の好意は1つだけ……この状況を維持するのは、並々ならぬ努力が必要でしょう。むしろ、神業です。」
「それは、いずれ『神業』を、維持しきれなくなる。そう仰りたい訳ですか、ピラト卿。」
「小官には、そこまで先を見通す事は、できません。が、『過信は慢心の燃料』とも言います。お気を付けて下さい。ユーロック卿。」
「……承知りました。貴重なご意見、感謝します、ピラト卿。」
「これは、老婆心ながらの『忠告』『お節介』の類。そう解釈して頂きたい。ユーロック卿。」
そんなこんなで、宴は終焉に向かう。
* * *
次回予告
第141話 次の国:予習~教皇領
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