港町盗難殺人事件~聞き込み(2)
「一体、何の意味があったのです。あの、『最後にもう1つ』とは。ユーロック卿。」
「犯人は、お前か!」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「これは、相手に『油断』を誘う為の手法です、スート班長。」
「……『油断』ですか……帰ると見せかけて、振り返って、質問する。それで『油断』する物でしょうか。それより、本当に何か成果は、ありましたか。ユーロック卿。」
「そう言うだろうと、思っていました。勿論、釣果はありました。パリー、説明しなさい。」
「かしこまりぃ。ウィル。実は、奥様は先程、『嘘』をついていましたわ。」
「なななっ! なぁーんだぁってぇーっ!」
しかし、平民ながら捜査班長にまで、出世しただけの事はある。『遠隔通話』程度なら、使えるんだ。流石は、スート班長だな。
* * *
次に、奥さんから、教えられた住所へ、赴いて母親から聞き込みをする。
「本日は、お時間を頂き、ありがとうございます。では、ゾーナさん、昨日娘さんが、こちらを訪ねてこられませんでしたか。」
「はい、確かに、娘は昨日、私の基へ来てくれました。結婚して、家庭を切り盛りしなければならないのに、本当、いい娘ですよ。憲兵さん。」
「では、何故、娘さんは、こちらにやって来たのでしょう。ゾーナさん。」
「はい。『病気になったので、看病して欲しい』そう頼みました。憲兵さん。」
「そうですか。ですが、今ご病気には、見えませんね。何時の間に、快復なさったのでしょう。」
「はい。それもこれも、全てあの娘のお陰ですよ。あの娘が、甲斐甲斐しく世話してくれました。そのお陰でございますよ。憲兵さん。」
「分かりました。では、本日は、この辺りで、失礼します。ゾーナさん。」
「はい。では、失礼致します。憲兵さん。」
「そうそう、最後に1つ、お願いします。ゾーナさん。」
「……はい。『1つだけ』なんですよね。何でしょう。憲兵さん。」
「娘さんは、外出しませんでしたか。したなら、何時でしょう。ゾーナさん。」
「……そうですね……そうそう、1度だけ、『買い出しに行く』そう言って出かけました。時間は……覚えておりません。この程度ですが、宜しいでしょうか。憲兵さん。」
* * *
次回予告
第134話 港町盗難殺人事件~次の『殺人事件』
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