港町盗難殺人事件~捜査開始
ここらで、少し整理しよう。
そもそも、件の窃盗事件を小耳に挟んだのは、ミンゴだ。そこで、彼女の案内に従って、あの倉庫に辿り着いた訳だ。勿論、事件に首を突っ込む気満々でな。
彼女の言によれば、盗難事件の被害者は、フェイス、31歳、男性、砂糖商人だ。倉庫に収めた多量の袋入り砂糖(4トン相当)が、1袋も残って無かった。そこで、被害届を出した。
ちなみに、港に着いた船から上った荷物や、船に降ろす荷物を、保管する為に、沢山の倉庫がある。しかも、法律で倉庫内での盗難は、倉庫の管理責任者が、責任を追うものとする。
この場合、王国が盗まれた損害を責任持って保証するそうだ。このお陰で、倉庫業務は、大盛況。勿論、警備は厳重だ。
しかし、盗まれてしまった。だから、スート捜査班長が、急いで捜査に乗り出したのだ。
だが、ここで予想外の事件が、発生した。そう、『殺人事件』である。
被害者は、ブラン、37歳、男性、職業は、倉庫検査官。要するに、倉庫に入れる荷物や、倉庫から荷物を出す際に、チェックする人だ。だから、『倉庫検査官』なのだ。
ひょっとすると、ブランも窃盗団の一味で、仲間割れでもしたのだろうか……
* * *
「おはようございます。いい天気ですね、スート班長。」
「おはようございます。ユーロック卿。今日は何か。」
「実は、ピラト卿から許可を頂きまして、今回の捜査に『全面協力』する事になりました。」
そう言いつつ、ピラト卿から貰った直筆の『許可証』を見せる。
「……ほっ……本当だ。まさか、局長が許可したとは……」
「如何しましたか、スート班長。」
「分かりました。ご協力感謝致します。ユーロック殿。で、そちらのご婦人は……」
「こちらは、私の仲間で、アム。こちらは、パリーです。ちなみに、パリーは、『魔法』……特に『虚偽感知』などを使えます。如何でしょう、スート班長。」
「『魔法』……! 憲兵隊でも、局長以上でないと……!」
「何か、仰いましたか。局長が、何か? スート班長。」
「あ、いえ。何でもありません。そうそう、今日は、ブラン倉庫検査官の奥様に、聞き込みに行く予定なのです。ご一緒に向かいますか。ユーロック卿。」
「分かりました。ご一緒しましょう、スート班長。」
* * *
次回予告
第132話 港町盗難殺人事件~聞き込み(1)
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