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港町殺人事件~騎士と死体

「……これは、予想外でしたな、スート班長。」

「よっ……『予想外』では済みませんよ! 死んでるじゃないですか!」

「そりゃ、まさか『匂い』を追跡したら、『そいつ』の『死体』を見つけたのかよ!」

 などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。

「グルルゥ……」

「間違いありません。こちらの『遺体』が、『足跡』の主です、スート班長。」

「小官は、『窃盗事件』の捜査をしていたのです。『殺人事件』ではありません!」

「でしょうな。『窃盗犯』だと思って、追跡したら、背中から刃物で刺された挙句、死亡していたとは。恐らく、同じ刃物で、滅多刺しの様です。素人か怨恨の可能性が高そうです。」

「冷静に、分析している場合では、ありません! ユーロック殿!」

「やむを得ません。ここは、私が死体の第一発見者になりましょう。」

「大丈夫ですか? ユーロック殿。」

「幸い私は旅行者です。『道に迷った』ので、こちらのお宅で、道を尋ねようとした所、玄関が開いていて、死体を発見してしまった。その後、偶然スート班長と出会った。いかがです。」

「そ……それなら、報告も可能です。では、暫くイールドに、留まるのですね。」

「ええ、私にできる事があれば、捜査に全面協力しましょう。お約束します。スート班長。」

 この後、宿の名前を教えると、スート班長は、報告に戻る。私とは別行動になった。


 * * * 


 翌朝、宿で朝食を済ませた頃だった。来客者は、班長より立派な制服を身着した、大柄な憲兵だった。この国特有の習慣、陸軍式の敬礼を、奇麗に決め、口を開いた。

「失礼します。ユーロック殿。小官は、憲兵隊所属捜査局局長ポンテオ・ピラト騎士です。昨日は、部下が大変お世話になったとの事、ご協力感謝します。」

「こちらこそです。むしろ、犯人扱いされなかった事に、お礼申し上げます、ピラト卿。」

「で、いくつか質問させて頂いても宜しいか。ユーロック殿。」

 承諾すると、密談用の部屋を1つ借りたピラト卿。一緒に部屋に入る。

「まず、旅行者と言う事ですが、通行証を確認させてください。ユーロック殿。」

 無言で、通行証を差し出した。それを手に取り確認するピラト卿。

「……これは、失礼を……ユーロック卿、でしたか。」

「いえいえ、私の権限など、ボヘミア王国の外では、通用しません。只の外国人で結構です。ピラト卿。」

 通行証を返還してもらい、しまった。で、色々質問されたし、きちんと答えた。その後……

「ピラト卿、こちらからもあります。1つ、『お願い』したい事があるのです。それは……」


 * * * 



次回予告

第131話 港町盗難殺人事件~捜査開始

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