ゴブリン活性化事件~決着!
「Gwah!」
地面に飛び込み前転をするかのように、跳躍するグリムード。くっ……これでは……
両脚を、X字状に交差させていたので、簡単にこちらへ向き直る。そして、膝立ち状態のグリムードへ、蹴りを入れるシルバー。が、右手一本で振るった棍棒で蹴りをいなすグリムード。
「間に合わなかったか……さっき、ホブが、持っていた棍棒を、拾われてしまったな。」
「とは言え、ホブは相打ちで、倒れましたわ。わざわざ、持っていた棍棒を折ったり、回収する必要など、感じませんでしたわ。ウィル。」
「Gww……」
立ち上がるものの、左腕をだらりと下げてる格好のグリムード。
「ふん、どうした、グリムード。向かって来ないのか。」
名前を名乗った以上、こちらの言葉を理解できている事は明白。故に、挑発してみた。
「どうやら、こちらから攻めていかないと、決着とはいかないか、ならば……」
下馬し、シルバーに労いの言葉の代わりに、首を撫でてやる。シルバーは、察したので、後ずさる。で、徒歩で移動する。で、剣の間合い、その直前だ。
「行くぞ! グリムード!」
「GwWaaaaahh!」
こちらから走る。一気に間合いを詰める。それに呼応し、棍棒を構えるグリムード。
互いの獲物を打ち合わせる。今度は、轟く爆音だ。
「くううぅぅぅっっっ!」
「Gwwwwwwah!」
だが、鍔迫り合いのまま、動かせない。左腕の痛みに耐え、よくやっているグリムード。
「だが……だからこそ、負けられん! せぇっい!」
また、力を込めて『魔力武器』を押し込む。負けじと、棍棒を押し込むグリムード。
「『武器の切れ味は、持つ者の腕』とは、よく言った物だ。が、棍棒で味わう羽目になるとは。まさしく、とんだ『まさか』だ。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
今度は、既に盾を捨て、手甲を着けた左手を、『魔力武器』の先端にあてがう。てこの原理で、更に力を込める。今度は、何とか押せそうだ。
「Gwa……」
薄笑いを浮かべたグリムード。左脚を軸に右足を回転させつつ、引いた。更に、手首の捻りで『魔力武器』を絡めとりにかかる。さっきやった武器落しだ。
「Gwah!」
咆哮を上げ、大きく棍棒を振るう。さっきの武器落としよりも、完成度の高い出来栄えだ。
「残念だったな。『魔力武器』は、折られる事も、落す事も無い。せぇいっ!」
『魔力武器』を横薙ぎに振るう。既に、棍棒を振り切って、がら空きになったグリムードの右胸を捉え、肋骨を断った感触を味わった。
「Gbwuuuu……」
吐血するグリムード。どうやら、断たれた肋骨が、肺に刺さったのだろう。長くは無いな。
「GGGGGGGGw……」
それでも、棍棒を振るい、頭部を狙って来るグリムード。
「おっと。」
すんでの所で、棍棒を受ける。『魔力武器』とせめぎ合う棍棒。近づくグリムードの顔……
「Gevw!」
咳き込んだグリムード。肋骨が肺に刺さっている。つまり、肺の血管も切れ、肺に血液が、どんどん溜まっているんだ。血混じりの咳等よくある事……
「残念だったな。血の目つぶしは、効かないぞ。これは。『クリスタル・ヘルム』と言う透明な兜だ。それに、『魔法物品』特有の自浄作用が、血を洗い落とすぞ、グリムード。」
ここで、さっき使った『身体強化』も、今しがた時間切れになったらしい。外見が元通りに戻り、膝から崩れ落ちるグリムード。四つん這いで、紅い咳を吐いていた。
『魔力武器』を、解除して消す。側に近寄って来たパリーから、さっき落とされた剣を受け取る。使い慣れた剣を振り下ろし、グリムードの首を刎ねた。これで、こちらは終わりだな。
* * *
次回予告
第121話 ゴブリン活性化事件~巣穴に侵入
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