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成さねばならぬ事

「ごちそうさま。美味しかったよ。」

 村長宅で、村長夫人の料理に、舌鼓を打った。薄味と言えば、聞こえもいいが、我が国には、海が無い。そこで、慢性的な塩不足対策に、特化したのが、我が国の料理文化とも言える。

「はい、お粗末様でした。……わ……。いえ、失礼しました。」

 ここは、『聞こえなかったふり』に限る。すると、リリィが、何か言いたげにしている。

「『シルバー』の様子を見て来る。」

 そう言って、席を立った。食事の後片付けは、夫婦の作業と言うのが、この家の習わしだ。珍しい事だが、ここは感謝だ。

 まずは、馬小屋へ向かう。給仕や、ブラッシングなどは、従者の仕事なので、その点検に過ぎない。ちなみに、従者は、村人の家で1晩の宿と、洒落込んでいる。

「若君、おいででしょうか。」

 そこに、人目を忍んで、やって来たのは……

「何か、用かい、リリィ。」

「はい、若君…………。」

「大丈夫だ。ここにいるのは、私と、君、それに『シルバー』だけだ。」

 そう言いつつ、馬小屋に繋がれた『シルバー』の、おとがいを撫でてやる。気持ちよさそうな声を上げる『シルバー』。

「保証する。こいつの、口の堅さは最大級だ。何を耳にしようと、口外する事あり得ない。」

 つい、吹き出してしまったリリィ。

「……若君……その冗談こそ、最大級ですよ。『馬が口外』だなんて……。あの、若君は、お家を、お出になられるのでしょう。」

「そうだ、リリィ。」

「……なら、……若君! この家に住めば、いいじゃないですか! 空き部屋もあります! 父も、母も、村の人達全員が、歓迎しますよ! だから……」

 うん、一世一代の『告白』だとよく伝わる『名演説』だ。そこで、右手を挙げた。

「皆まで言うな。申し出は、嬉しい。だが、それはできない。何故なら、私には、成したい事、成さねばならない事がある。何か、分かるか。」

「若君は、今まで村の為に色々して下さいました。だから、この家に住んでください。」

「違う、違うぞ、リリィ。私の為すべき事は、『この国を豊かにする事』だ。この家に住んでしまっては、『この村』しか『豊か』にできない。だから、無理だ。」

 別れと言うのは、辛いものだ、だからこそ、きっぱり言う事で、未練を断ち切った。


 * * * 



次回予告

第13話 別れ

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