ゴブリン活性化事件~逆転!
「GwaWooohhh!」
牙をむき、轟く咆哮を上げるグリムード。
「ちっ……嗤ってやがる……だが、参ったな。剣が無い。これは『アレ』をやるしかないな。」
ここで、『詠唱』を開始する。『遠隔通話』と違い、『詠唱不要』まで『習熟』していない『魔法』故に、『詠唱』が必要だ。
「GwWahh!」
棍棒を振りかぶり、突っ込んで来るグリムード。それも、予想通り。
このままなら、詠唱完了直前に、奴の攻撃が来るだろう。それも、予想通り。
振りかぶった棍棒を振り回す。単純な動作に無駄が無い。だからこそだ。
奴が、棍棒を振りかぶった状態で、間合いを詰め、振るう直前……合図を送った……
「?」
奴の貌が、驚きに歪んだ。一瞬、奴の動きが静止。その瞬間、私の『魔法』が、完成した。
「『魔力武器』!」
「やはりと言うか、『定石』通りですわね。『魔力』で生み出した『武器』の『力場』。維持するには、『魔力』を消費しますが、落したり、折られる事も無い。切れ味抜群の剣……。」
こうして、たった今作成した『魔力武器』を振るい、動きの止まった棍棒を、断ち切った。
更に、返す刀で、奴の左肩を斬りつける。鎖骨を断った感触を味わう。
「GyyyyeeeeeeAhhhh!」
流石に苦悶の悲鳴を上げるグリムード。使い物にならなくなった棍棒の残骸をこちらに投擲。
「おっと。」
軽く避けたが、その隙に、振り返って、来た道を引き返すグリムード。逃げる気か……
「違う! まずい! 気付かれた!」
既に、シルバーを全力疾走させた。必ず、一瞬だけ『隙』がある。そこを蹴るしかない!
* * *
とは言え先刻グリムードが、驚いたのも無理からぬ事だった。あの時、私の『合図』を受けたパリーが、援護してくれたからだ。
と言っても、特別な事では無い。『遠隔通話』で、グリムードに話しかけただけだ。
「後ろに、気をつけろ!」
これが、文言だ。だが、その程度で、奴の心を動かす事は、できなかっただろう。
こちらの言葉を理解していたのは、明白だったグリムードにも、1つ予想外があったからだ。
それは、母国語……ゴブリン語だ。つまり、日常的に使っている言葉で、耳では無く、脳に直接送り込まれた言葉……それが、奴の驚きを燃料に動揺を誘い、あの結果になったのだ。
「おい! そりゃ、往年の『ささやき戦術』のパクリだろ!」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
某往年の名選手名監督とも無関係に相違ない。
* * *
次回予告
第120話 ゴブリン活性化事件~決着!
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