護衛~逃亡と追跡
「ひゅっ!」
片刃の戦斧を振り回しつつ室内を駆け巡るアム。
「はっ! はええ! 対応しきれ……」
兜すら被って無い側頭部や、前頭部に、峰打ちを喰らい、1人また1人と倒れ伏す男達。
「だめだぁっ! 強すぎる! うわ! 出入口に、剣と盾を構えたウィルが、いやが……」
事ここに至ると、ネットを押さえておく人員も不足する。脱出し、左手で砂を詰めた革袋を振るい、参戦するミンゴだった。すると……
「くっ……こうなったら、人質だ……」
「無駄だ。貴公の如き下衆な人間の考えなど、お見通しだ。デライラ嬢、パラブラス夫人、パラブラス卿の順番に、救出するようBJに、指示しておいた。」
「いっ……いねぇ! BBAも、オッサンも、何時の間に!」
「ウィル、パラブラスさんの意識が、戻りましたわ。わたくしも参戦しますか。」
「なら、その場で、パラブラス卿と協力して、デライラ嬢を守れ、パリー。」
「かしこまりぃ。ウィル。」
「おーい、かたづいたぜ。ウィル。」
「こちらも……と、言いたい所ですが、1人逃げられました。ウィル様。」
「問題ない。その逃げた奴は、例の『恥知らず』なのだろう。BJに任せておけ。」
* * *
「ちっ……ちきしょう……なんで、こんな事にぃ……。」
びっこを引きながら、明りも付けずに、森の中を逃……もとい、進むヒゲ男だった。
振り返り、家の明かりが見えなくなった辺りで、樹木に隠……もとい、背中を預け、地面にへたりこむヒゲ男。
「うううぅぅぅ……うっ!」
布切れを丸めて、かみながら矢を引き抜いたヒゲ男。
「ちきしょう。手当てする前に、矢を引き抜くと、出血するたぁ言え、いてぇな。」
いそいそと、応急処置をするヒゲ男。それを見計らって……
「へぇ……血の匂いが、家から遠ざかるから、跡をつけて見りゃ、おっさんかよ。」
木の葉を揺らす声が、ざわめく。
「なっ……その声、確か……BJ! 何処に隠れてやがる。姿を見せる。」
「ふぅん、そうかい。そんなにあたいのツラを、拝みたいかい。」
「あたりめぇだろ!」
「じゃ、遠慮無く。」
* * *
次回予告
第104話 護衛~後片付け
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