護衛~逆転!(2)『魔法』
「いやいや、あんた結構えげつねぇな。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「あぁーれぇー。」
そこに、窓から飛び込むように侵入した『狼』が、デライラ嬢を縛る縄を咥えて、反対側の窓から飛び出す。余りの速さで、誰も反応できない。
デライラ嬢の悲鳴が、どことなくわざとらしいのもきっと気のせいだろう。
「よっこいしょっと、ジャマすんゼ。」
ここで、片刃の戦斧を構えたアム登場。出入口に仁王立ちになる。
「ちっ……出入口を、塞がれたぞ! おめぇら! ビキニアーマーをブッ飛ばせ! 倒した奴は、好きにしていいからな!」
「ひゃっはぁー!」
男達の「よし! 俺様のモンだ!」は、「ひゃっはぁー!」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某世紀末救世主伝説とも無関係に相違ない。
「ひゅっ!」
片刃の戦斧を振り回すアム。兜すら被って無い側頭部に、峰打ちを喰らって倒れ伏す男。
「バカ! 何やってやがる! 『アレ』だ。『アレ』をやれ!」
ミンゴの時の様に、投擲されるネット。
「な……なんだ! 横っ飛びしやがった。『2つ』のネットが、見えていたのかよ!」
「当たりマエダのクラッカー。」
ミンゴの「当たり前です。私が、『遠隔通話』で、伝えておきましたから。」は、「当たりマエダのクラッカー。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某CMとも無関係に相違ない。
「相変わらず便利に使ってるな。『携帯魔法』。それって、詠唱必要ないのか。」
などと言う無意味な指摘をする者などこの世界に存在しない。
「ぐぎゃぁぁぁっ!」
「まったく、男の癖にだらしない。たかが、アムの後方で待機していたウィル様が、放ったロングボウの矢が、右肩に刺さっただけでしょうに。」
「数を頼る者は、数に負ける。自分で使った手を、自分で喰らう気分は、いかがかな。」
「ちぃっ! 奴は、重装甲の鎧を着てる分、一番身支度に時間がかかるのに! 何故だ! どんな『魔法』を使いやがった! ウィル!」
「確かに『魔法』を使ったな。これは、『幻影変装』と言って、任意の『姿』になる『幻』を、身に纏う『魔法』だ。体形は変化しないが、これで十分だ。流石に風呂上りではまずい。」
等と言う無駄口を叩かなかった。
* * *
次回予告
第103話 護衛~逃亡と追跡
ご愛読ありがとうございます。
面白ければ、ブックマークと、星をお願いします。
励みになります。




