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護衛~逆転!(1)『恩知らず』

「まったくもって『恩知らず』にも程がありますね。折角、ウィル様の温情で、無罪放免にして頂けたと言うのに。」

 先刻の『見えない斬撃』の反動で、右腕に痺れが残るミンゴだった。

「ああ。悪いのは、おめぇらだろ。特に、ウィルの野郎だ! あんの野郎、あいつが、『自由にしていい』なんて言ったせいだ。」

「それは、完全に『逆恨み』と言う物でしょう。そもそも、ウィル様は、『合意を取り付ける事』を念押ししていました。にもかかわらず『睡眠薬』を使ったのは、そちらでしょう。」

「いぃぃやぁっかましい! あんの野郎、あいつが、『自由にしていい』なんて言ったせいだ。」

 ちなみに、BGMは、縛り上げられる夫人とデライラ嬢の悲鳴だ。

「ウィル様は、『羞恥心』と言うお言葉を、よく使われております。そのお気持ち分かります。」

「だがよう、ここで『愛人』を傷者にすりゃぁ、ウィルもお前らも、面目丸潰れ。どころか、侯爵から処罰されるだろうよ。」

「やはり、そうでしたか。ここで、襲撃して来たと言う事実が、如実に物語っていますね。」

「おーい、縛り終わったぜぇ。」

「へっへっへー。これで、お前らも終わりだな。よし! 俺が、一番乗りだ。」

 そう言いつつミンゴの側頭部を鈍器で殴打するヒゲ男。仰向けに倒れるミンゴ。

「げへへぇー、大人しくしなよ。大人しくしてりゃあ、気持ちよくしてやるってもんさぁ。」

「いやぁぁー!」

 ヒゲ男が吐く臭い息と、接近する薄ら笑いに悲鳴を上げるデライラ嬢だった。すると……

「ん? 窓開けたか。部屋の両側の窓が、両方とも開いてんぞ。」

「さぁ……最初から開いてたんじゃねぇの。」

 取り巻き共から、そんな会話が漏れた。そこに、不吉な羽音を立てながら、室内に侵入する実体を伴う黒い影。

「うひゃぁっ! ははははっ! ハチだぁっ!」

 蜂の群れは、『何故か』デライラ嬢を押さえていた奴らだけを集中的に襲う。

「たたたたぁすけてぇ!」

 たまらず、デライラ嬢を置き去りに逃亡する。

「おい! 逃げんな! 分け前やらねぇぞ!」

 怒鳴り散らすヒゲ男。今だとばかりに反撃に転じるのは……

「秘技『死んだフリ』。」

 仰向けのまま、軽く位置調整をするミンゴ。ヒゲ男の股下まで移動した。

「ぎぃっ……やぁああああぁぁっ!」

「まったく、男の癖にだらしない。たかが、足首にハンド・クロスボウの矢が、刺さっただけでしょうに。」


 * * * 



次回予告

第102話 護衛~逆転!(2)『魔法』

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