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panic4「Q.スゴロクは一日中やるものですか?  A.そうですね、出来るなら一時間程度が目安だと思います」

 遅れてスイマセン!

 スゴロクは、サイコロを振って、出た目に従って升目にある駒を進めて上がりに近づける盤上遊戯(ボードゲーム)である。

 けれど、こんな小さい教室で一日も出来る訳がない。

 ……ないよね?」



「……おばあちゃん?この教室じゃあ、流石に一日中やるのは無理なんじゃ?」


「そうですね、流石に無理があると思いますけど」



 成山さんが僕の意見に乗っかってくれた、流石だよ!

 祖母は悩むような素振りを一切見せず、呆気からんとこう言った。



「別に、ここでやるんなんで一言も言ってないよ?」



 だろうと思ったよ!



「じゃあ、どこでやるんでござるか?」


「神明君!良い質問だね!正解は……体育館でした~!」


「でも、体育館にもそのような設備はなかったと思うが」


「ノンノン!勝手な決めつけは良くないよ春凪君。早速体育館にレッツラゴー!」



 そう言って、祖母は駆け出し。

 僕たちは追いかけて行くことになったのだ。


  -----------


 うちの学校の体育館は広い、それこそコンサートホールとそう変わらない大きさがある。

 何故かって?

 そんなの大きい方が色々と便利だからさ、こんなことも出来る。

 


「そいやっと」



 祖母はいつの間にか作られていたレバーを倒した。

 すると、数瞬の間に体育館は、それはそれは大きなスゴロクマップになっていた。

 いい加減思うんだけどさ、この化学力や技術力をもう少し他の場所で使おうとは思わないの?



「簡単にルールを説明するけど、基本的には普通のスゴロクと同じ。六面のサイコロを振って、出た目に応じて進む。一番早く着いた人が勝ち。ここまではOK?」


「なんとなくは大丈夫だよ夏先生!」


「流石我が弟子、理解が速いね」


「ここまできたら、やるしかないよな」


「そ、そうですね」


「まぁ、何とかなるよ。気楽に行こう朝日っち」



 女子の方々もやる気はあるようだ。

 男子陣も、町博くんや勇人もため息を吐きながらも棄権をする気はないらしい。

 まぁ、棄権したらしたで、単位貰えないんだろうけど。



「追加としては、ラッキーマスとアンラッキーマス。デンジャーマスとウルトララッキーマスがあるよ」



 なにその名前!

 ダサい、滅茶苦茶ださいよ!

 語彙力ない人みたいに見えるよ。

 天災なのに……おっと失礼天才だった。



「ラッキーマスは止まったマスの内容を実行して+αで進める。アンラッキーマスは逆で+αで後退したり休みになったりする。デンジャーマスはミニゲームで、勝った人たちは豪華な特典が貰えるよ♪ダイス目二倍チケットとかね。そして、最後にウルトララッキーマス。止まると無償で、私が作った発明品が貰えるよ。ミニゲームを有利に進められるような便利品だから期待しといてね♪」



 長々と説明されたが、みんなが思ったことは一つだろう。

 


(絶対にウルトララッキーマスに止まりたくない!)



 祖母の発明品?

 ミニゲームを有利に?

 嫌な予感がビンビンだ。

 止まったら死が確定する気がする。



「それじゃあ、最初はダイス目で順番を決めようか」



 その言葉を合図に、祖母は何処からともなく大きいサイコロを持ちだした。

 大きい、良い例えかは分からないがバラエティによく出てくる指令が書いてあるサイコロのようだ。

 ……ごめんよ。

 祖母だけじゃなくて、語彙力がないのは僕も変わらなかった。



 みんなが一人づつサイコロを振っていく。

 一の目が佐藤さんと神明君。

 二の目がリーバさんと神谷君。

 三の目が柿沢さんと陸原さん、町博君。

 四の目が勇人。

 五の目が成山さん。

 六の目が僕。



 あれ、何か僕が一番になっちゃった。

 ……しょうがないか、元々みんなに先にこのゲームを遊ばせたくなかった。

 だって、命の保証はあるけど怪我しない保証はないからね。



「じゃあ英君から!Let's Go!」


「なんで、そこだけ発音良いんだよ……四か」



 出た目は四。

 どれどれ、書かれている内容は。



「ええっと、ラッキーマス。一番近くのマスに居る異性に頭を十秒間撫ででもらい、ニマス先に進む」



 何だ、結構良心的な内容じゃないか。

 しかも、そこそこ嬉しい系のやつだ。

 ……あれ?

 でも、僕の頭を撫でてくれる異性なんてこのクラスに居たっけ?

 一番近くってことは……うん!

 


 みんな同じ場所に居るから、どうすればいいか全然分かんないや!



「ねぇ、おばあちゃん?この場合どうなるの?」


「う~ん誰か撫でても良いよって子は居ない~?」



 止めて!

 その言い方で居なかったとき、僕の心がポッキリ折れちゃうから!



「私は構いませんよ」


「ありがとう成山さん。助かるよ」


「いえいえ、前回の体育の試合は信濃川くんのお陰で勝てましたから。お礼のようなものです」



 社交辞令だとしても、成山さんみたいな可愛い人に撫でて貰えるなんて……。

 ここは天国か?

 そして僕は、至福の十秒間を過ごした。


  -----------


 その後も、スゴロクは続いた。

 九時ごろから初めて早二時間。

 まだ、三分の一程。

 でも、今回のゲームはそれなりに面白く。

 みんなは、和気藹々とはしゃいで過ごす。



 けど、ここで事件が起こったのである。

 今まで踏まなかったことが奇跡とも言えるが、僕がデンジャーマスに止まってしまった。

 内容と言えば……



「一番前に居る者と、トランプのポーカーで勝負。自分が一番前に居る場合は一番後ろに居る者と勝負。勝った場合はお互いの場所を入れ替える。自分が前の場合は負けた時のみ入れ替える」


「これって~、あれ?下剋上ゲームって奴?」


『みたいだな』



 ……僕の順位は三位。

 一位が柿沢さん。

 二位がリーバさん。

 四位が勇人。

 五位は神谷君と神明君。



 七位は陸原さん。

 八位は町博君。

 九位は成山さん。

 十位が佐藤さん。

 こんな感じになっている。

 


 トップとドベで、十五マス位の差がある。

 僕と柿沢さんも四マス差。

 逆転するのは案外難しい、四マスは意外と遠いのだ。



「取り敢えず、英人っちと勝負か~。お手柔らかにね~」


「こちらこそ…」



 祖母がテーブルを用意し、カードを配る。

 一回限りの一発勝負。

 交換は一回だけ。



(…♦9・♦8・☘6・♥7・♠10。中々良い、ストレートの役が既に出来ている……けど)



 柿沢さんは微笑みを絶やさない。

 営業スマイル……ポーカーフェイス?

 この際どっちだっていいが、確実にあちらも悪くない役。

 ディーラー役は祖母がやっている為、イカサマなんて出来はしない。

 ……どう切り抜けるか。



「ここは勝負!チェンジ」


「三枚チェンジね。柿沢ちゃんはどうする~」


「私はチェンジなし、そのまま勝負します」


「おお~、勝負師って感じがするね~」



 帰って来たカードは……これなら勝てる!



「せーっの!で行くよ?せーっの!」


「「はい!」」



 僕の手札は♦の6~10のストレートフラッシュ。

 対する柿沢さんの手札は……ノーペアだった。

 う、嘘。

 確実にフラッシュくらいはあると思ったのに、演技だったのか?



「私の負けか~、残念。楽しかったよ英人っち」


「ちょ、ちょっと待って……あの笑顔とか……全部演技だったの?」


「そうだよ?これくらい出来なきゃ。やってられないからね」



 結局、僕が勝ったが。

 全くもって勝った気はしなかったし、完全に遊ばれてる気がしてならなかった。

 ゲームはまだ続く。



 普通の授業は今日も出来そうにない。

 次回もお楽しみに!


 誤字脱字などがありましたらご報告お願いします!


 感想もお待ちしております!

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