表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
であいとなかなおり
9/38

9 しろとくろのふたご

『からっぽな頭と僕の日記』のIFルートでもあります。悲劇が起きなかった白黒双子と、あーくんのお話①

 次にあーくんが目を覚ました場所は、大都会のストリートでした。


 文字や映像が至るところにあり、町の人々は野外カフェでの会話を楽しんでいます。


 子供たちはヘルメットを被ってスケボーをしたり、ジャンクフードの買い食いや携帯ゲームで盛り上がっているようです。


「わぁ……!」


 あーくんの頭上には、首が痛くなるほどの高いビルがところ狭しと並び、とにかく人であふれていました。


 あーくんが住んでいるのどかな町や、先ほど行き着いたお茶会の世界とは大違いです。


「都会って、すごいなぁ……」


 あーくんが町を眺めていたら、どこからかボールがはねる音と、シューズがリズムよく鳴る音が聞こえてきました。


「……にいさん、こっちこっち! ヘイパス!」


「……ライム!」


「オッケー!」


 声のする方へ向かうと、少し古さびたフェンスで囲まれた公園の中で、二人の男の子がバスケをしていました。


 白い髪の毛をしたオッドアイの男の子が、もう一人の男の子にパスをします。


 バスケットボールを受け取ったもう片方の男の子は、小麦色の肌に黒い髪、こちらも左右の瞳の色が違いました。


 そして、黒くて小麦肌の男の子が見事にシュートを決めると、二人は喜びを分かち合って笑顔を浮かべます。


「さすがにいさん! いいパスだったよ」


「あ、りがとう。ライムも、ナイスシュート」


「えへへ、照れるなぁ」


 そんな人たちをあーくんはフェンス越しに、憧れと尊敬の目で見つめます。


「おにいさんたち、すごく上手(じょうず)! あくしゅして!」


「あはは、僕たちは選手じゃないけどね。ありがとう」


「何も言え、ない……」


「にいさん!?」


 有名な水泳選手が言ったように、白い髪の毛の男の子は泣く真似をします。


 黒髪の男の子は本当に『にいさん』が泣いたと思い、あわあわと慌てふためきました。


「ふふっ、あははっ」


 その光景を見たあーくんは、思わず笑顔の花を咲かせます。


 しばらくの間、あーくんと白黒の二人は笑い続けました。


「ねぇ、君。君の名前はなんて言うの? 僕はライム。こっちは、双子の兄のアルトにいさん」


「どう、も」


 ライムが自己紹介すると、アルトは律儀にお辞儀をします。


「あーくんは、あーくんだよ」


「そっか。よろしくね」


「よろし、く……」


 あーくんも自分の名前を名乗ります。しかし『あーくん』はあだ名で、本当の名前は別にあるのですが、あーくんはすっかり定着してしまいました。


「ねぇ、僕たちバスケしてお腹空いたんだ。お昼もいい頃合いだし、よかったら一緒にハンバーガー食べない?」


「うん、食べる!」


 ライムの素敵なお誘いに、あーくんは連れていってもらうことにしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ