5 いまじなりーふれんど
「くうそーじょうのともだち?」
「うん、イマジナリーフレンドとも言うよぉ」
「い、いまじ……?」
くらげさんのよく分からない単語に、あーくんは戸惑います。
「分かりやすく言うと、ぼくと君は他の人には見えない。けれど、確かな絆で繋がってるんだぁ」
「きずな……」
絆という言葉に、あーくんは幸せとは違う暖かさを感じました。
「まぁ、そんなことは置いといてぇ。君ってば、自分の思い通りにならないからって、むやみに怒っちゃダメだよぉ~」
「人の気持ちを考えなきゃ。お母さんにはお母さん、こぐまさんにはこぐまさんの事情があるんだから」
「事情……」
ふわふわとした話し方なのに、くらげさんの妙に納得できました。身長はあーくんの方が大きいのに、くらげさんは大人びています。
「くらげさん、ありがとう!」
「んあ、どうってことないよぉー」
そう言うと、くらげさんは大きなあくびをしました。すると、あくびと共に大きなシャボン玉が出てきます。
「わぁ……! すごい! なんで、あくびをしたらシャボン玉が出るの?」
「うーんとねぇ……。くらげさんだからだよぉー」
「なるほどー」
くらげさんの口調につられて、あーくんも和やかな口調になりました。
あーくんは口元を手で隠しましたが、それが面白くて笑ってしまいます。
くらげさんもけらけらと笑い、最初に出会った頃と同じようににへらっと笑いました。
「あ! あのね、あーくんね、いいこと思いついたの」
「ん? なぁにー?」
あーくんはくらげさんにないしょ話をして、それから思いっきりくらげさんとベッドにダイブしました。
こぐまさんは二人の下敷きになっているのですが、ダイブしても衝撃はほとんどなく「うーん」とうなりながら、寝返りをうちます。
「おやすみなさい」
「おやすみぃ」
そしてあーくんは、『こぐまさん』と『くらげさん』と一緒に眠りにつきました。
お母さんが夜中にあーくんの様子を見に来ます。
そこにはぬいぐるみのこぐまさんを抱きながら、あーくんが幸せそうに眠っていました。