31 けんかするほど
あーくんが小さいこぐまさんとの眠りから覚めたときは、そこはショッピングモールでも丘の上でもありません。
「わぁ……!」
ただくらげのようにぷかぷかと、水中を浮かんでいます。そして、なぜか水のなかでも呼吸ができました。
「ここは……」
ここはいったいどこなんだろう。あーくんが考えていると、下の方からこぐまさんとくらげさんの声が聞こえてきました。
「なんであの時、旦那に冷たくしたんだよ!」
「ぼくだって色々あるの! 乙女心が分からないこぐまなんて嫌いだね!」
「なんだと!?」
どうやら、あーくんがいない間に喧嘩をしているようです。
原因は様々ですが、こぐまさんとくらげさんはやはり、あーくんのことで喧嘩をしています。
「こ、こぐまさんとくらげさん、喧嘩してる……」
あーくんは慌てました。二人があーくんのことで喧嘩をしているからといって、スッキリするものではありません。
「お前たちは本当にうるさい小僧と小娘よの……。おかげで目が覚めたわ」
「こぐま、くらげ」
「お星さま!」
お星さまの突然の登場に、こぐまさんとくらげさんは口をそろえて叫びました。
しかし、それが気に食わないのか二人はそっぽを向きました。
「小僧のことを思って喧嘩するのは分かるが、ちとやり過ぎてはないか?」
「そ、それは……」
「うう……」
「まぁ喧嘩をするほどなんとやら、だ。少しは大目に見ようではないか」
水中越しでも三人の会話は聞き取れることができて、あーくんは耳をすまします。
「うわぁっ!?」
ですが、水が弾け飛んであーくんはまっ逆さまに落ちていきました。
「うわああああ!」
もちろん、あーくんには空を飛べる力も時間を止める能力もありません。重力に沿って、どんどん落ちていきます。
「旦那!?」
「あーくん……!? なんで!?」
「ほう、来たか」
こぐまさんとくらげさんが焦っているなか、なぜかお星さまだけが満足そうな顔をしていました。
そして、お星さまが両手を大きく広げたかと思うと、大きなクッションのようなものがあーくんを包みました。
「帰ってくるのを楽しみにしていたぞ。小僧」




