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あーくんあのね、きょうね。  作者: 吐 シロエ
ねがいとぼうけん
31/38

31 けんかするほど

 あーくんが小さいこぐまさんとの眠りから覚めたときは、そこはショッピングモールでも丘の上でもありません。


「わぁ……!」


 ただくらげのようにぷかぷかと、水中を浮かんでいます。そして、なぜか水のなかでも呼吸ができました。


「ここは……」


 ここはいったいどこなんだろう。あーくんが考えていると、下の方からこぐまさんとくらげさんの声が聞こえてきました。


「なんであの時、旦那に冷たくしたんだよ!」


「ぼくだって色々あるの! 乙女心が分からないこぐまなんて嫌いだね!」


「なんだと!?」


 どうやら、あーくんがいない間に喧嘩をしているようです。


 原因は様々ですが、こぐまさんとくらげさんはやはり、あーくんのことで喧嘩をしています。


「こ、こぐまさんとくらげさん、喧嘩してる……」


 あーくんは慌てました。二人があーくんのことで喧嘩をしているからといって、スッキリするものではありません。


「お前たちは本当にうるさい小僧と小娘よの……。おかげで目が覚めたわ」


「こぐま、くらげ」


「お星さま!」


 お星さまの突然の登場に、こぐまさんとくらげさんは口をそろえて叫びました。


 しかし、それが気に食わないのか二人はそっぽを向きました。


「小僧のことを思って喧嘩するのは分かるが、ちとやり過ぎてはないか?」


「そ、それは……」


「うう……」


「まぁ喧嘩をするほどなんとやら、だ。少しは大目に見ようではないか」


 水中越しでも三人の会話は聞き取れることができて、あーくんは耳をすまします。


「うわぁっ!?」


 ですが、水が弾け飛んであーくんはまっ逆さまに落ちていきました。


「うわああああ!」


 もちろん、あーくんには空を飛べる力も時間を止める能力もありません。重力に沿って、どんどん落ちていきます。


「旦那!?」


「あーくん……!? なんで!?」


「ほう、来たか」


 こぐまさんとくらげさんが焦っているなか、なぜかお星さまだけが満足そうな顔をしていました。


 そして、お星さまが両手を大きく広げたかと思うと、大きなクッションのようなものがあーくんを包みました。


「帰ってくるのを楽しみにしていたぞ。小僧」

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