30 うけいれるこころ
「ううっ……ひぐっ……」
ショッピングモールの片隅で、小さなこぐまさんは泣いていました。雨のような涙を流して、座りこんでしまっています。
「大丈夫だよ」
そんなこぐまさんに、あーくんは優しく頭を撫でました。
「え……?」
こぐまさんは顔をあげ、あーくんの方を見ました。撫でられたのは初めてなのか、動揺しているようです。
「さっきは、ごめんなさい」
あーくんはこぐまさんを拒絶したことを謝りました。誰だって、嫌われるのは怖くて寂しいのです。
あーくんは一人ぼっちになった気持ちが分かるので、続けてこぐまさんの頭を撫でます。
「うん……。ぼくも、無理やり友達になろうとしてごめんなさい」
こぐまさんも自分がしたことを謝り、ごめんなさいをしました。『ごめん』と言えることは大切です。
「お兄ちゃん怖かったよね、辛かったよね……」
こぐまさんはぼろぼろと頬に涙を伝わせながら、あーくんの背中をさすりました。
なぐさめるのはあーくんのほうなのに、なぜなのかあーくんは一瞬分かりませんでした。
しばらくしてそれを理解したあーくんは、口を開きます。
「ううん、それはこぐまさんの方。こぐまさんの方がよっぽどつらくて悲しいよ」
あーくんはこぐまさんの頭を撫でた後、なぞるように頬を軽く撫でました。
「あ……」
「ぼくのこと、わかってくれた……」
こぐまさんは瞳をうるわせ、暖かい涙をこぼしました。熱い涙があーくんの手につたいます。
「うっ、うう……」
小さいこぐまさんはあーくんをすがるように抱きしめ、泣き疲れるまで瞳からしずくを流しました。
泣き疲れたこぐまさんはいつの間にかあーくんの胸のなかで眠っていました。心地いい寝息をたてながら寝ています。
「あーくん、こぐまさんのことずっと大好きだよ」
あーくんはそう言って、こぐまさんとともに眠りにつきました。




